10月11日 宴の夜 5/14
スピーカーの音量が勝手に上がり、平静を装っていても、画面中央の男性の息遣いから緊張が伝わる。
撮影の現場はオフィスのようで、男性の座るデスクは半透明のガラス質の壁の前に置かれていた。
その壁の所どころに刻まれたロゴマークに、美緒の目が止まった。
――え?
「あれって、新世界連盟のマークですよね?」
耳元で声がし、いつのまにか廉が隣に来ていた。
「――てことは、速報というより、世界に向けたアナウンスなのかな」
画面から目を離さずにつぶやいた。
『新世界連盟総裁、ジェームズ・マッキントッシュから、全世界の
みなさまに重大なご報告をさせて頂きます』
スピーカーから英語で放送が流れ、日本語訳が画面下に表示された。
『新世界連盟は、平和で安全な世界の維持と人類の存続を目的とし、
現存する最後の国際協力機関として活動してまいりましたが、本日、
十月十一日、この放送をもちまして、全活動を終了することと致します』
「これ、新世界連盟がなくなるって発表なの?」
「もう何年も、活動なんてしてなかっただろ」
「へえ、まだ存続してたのね」
「事実上、消滅してたよな」
「今さら、わざわざ緊急速報にする必要なんてあるの?」
生徒たちは大型モニターの前に集まり、ぶつぶつ言っている。
『様々な分野での専門家の研究や分析から総合的に判断した結果、私
たちの地球は、人間が日常生活を営むことが極めて困難な段階へと、
より加速しながら移行していくことが予測されます。
人類の生存可能な場所が更に限られ、減少していくであろうことは、
すでに明らかになっています。いつ終焉を迎えてもおかしくない状態
であることを、お知らせしておかなければなりません』
更新:週一、月曜




