↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/39

5-6

 ビルの屋上から夜の街を見下ろす。

 このビルは三階建てなのでそう高くはないが、地上との距離を感じるには十分だ。

 こうして無心に眺めていると、街の煌めきがどこか遠くに感じる。

 現実と虚構が入り交じり、夢への扉が開くのだ。


「……なにをしてるんですか? マスター」

 振り返ると、塔屋の側に小夜ちゃんが立っていた。先程の呼び出しで急遽戻ってきてくれたのだ。

「ちょっと雰囲気に浸ってみたくて」

「それでわざわざ屋上に呼び出したんですか?」

「だって、そっちの方が格好いいだろ?」

「そういうのは一人でやってもらえませんか? いちいち付き合うのは面倒です」

「……ロマンがないね」

「なくて結構です」


 怪盗に必要なものはロマンとスリルだというのに。

 小夜ちゃんは仕事は優秀でも、根本的理解がまだなっていないね。どうやら、紬ちゃんと一緒に補習授業が必要なようだ。

「それで、用件はなんですか?」

「ああ、ついに君との約束を果たす時が来たようだ。……怪盗ヘルメス、久しぶりの大仕事といこうじゃないか」

「……そうですか。計画は予定通りで?」

「そうだね。どうやらイレギュラーがいるようだが、変更はなしだ」

「わかりました」


 せっかくの決起だというのに、小夜ちゃんは変わらない振る舞いを見せる。

「もしかして、あまり嬉しくない?」

「いえ……あなたがとても楽しそうにしてるので、私も少し浮かれてます」

「そうか、それはよかった。ここに至った経緯はどうあれ、この仕事の祝杯は最高のパートナーである君に捧げよう」

「……その歯の浮くようなセリフはなんとかならないんですか?」

「あれ、ダメだった?」

「……今回はありがたく受け取っておきます」


 そう言いながらはにかむ小夜ちゃんは、いつにも増して可愛らしかった。

 それでこそ私も盗み甲斐があるというものだ。






 これより私は怪盗ヘルメス、世界に潜む影となろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。