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3章 3

お茶会に呼ばれ、三人でドレスの試着会を辞する。

令嬢たちに口々に褒められたり感謝をされ、取り組んでよかったと心から思う。


お茶会には、王族に加え公爵家、侯爵家で占められ、我が家を始め外交や式典などに関する役職のある一部の伯爵家だけが参加している。

基本的にはお父さま世代の人が多く、次いで祖父母世代、私たち世代の者はごくわずかだ。

令息たちもわずかに見受けられるが、すでにサミュエル様を中心として固まっている。



「本当に参加してよかったのでしょうか。なんだか場違いな気がいたします。」


不安になり口にすると、パウラ様が首を横に振

る。


「アマーリエ様たってのお願いですもの、堂々としていたら良いわ。

 貴方のおかげで歓迎式典が成功したようなものよ?」

「いえ。職人たちのおかげです。

 商会長と職人たちに、お礼を伝えていただけますか?」

「もちろんよ。でもきっと沢山注文が殺到して貴女にお礼を言いたいぐらいだと思うわ。」




王族とともに使者たちが入室する。

アヤメさん、ソウビさんは十二単より動きやすい打掛に着替えていた。

クラウディア様が不思議そうに首をかしげる。

 

「あのお衣裳は、見たことがありませんわ。パウラ様、ご覧になったことありますか?」

「いいえ、なかったと思うわ。式典の時よりもすっきりとはしているけれど、刺繍がとても豪華ね。髪飾りも増えていて素敵だわ。」


貴婦人たちも、二人の衣装に釘付けのようだ。


国王陛下の挨拶、トネリ様の挨拶が終わると皆思い思いに会話を始める。

王族方とトネリ様は同じ卓についていた。

アヤメさんとソウビさんは、私たちを見つけると来てくれた。



「お三方とも、式典のご準備お疲れ様でございました。

 異国にいながらヤズマ皇国を感じられて、懐かしさと新しさを感じました。」

「アヤメさんとソウビさんも、使者としての役割を果たされるのは大変でしたよね。

 いまのお召し物も素敵ですけれど、式典の時のは重そうで歩くのもとても大変そうでしたもの。

 着てみたいなとは思いましたけれど、動けなくなりそうでしたわ。」


おどけたように笑うクラウディア様を見て、アヤメさんも笑みをこぼす。


「十二単が気に入ってくださったのでしたらお召しになられますか?

 ご連絡いただければ、準備いたしますよ。」

「まあ、素敵! ほかの令嬢も興味を示していたのよ。ね、パウラ様。」


「えぇ、お二人さえよければほかの令嬢たちにもヤズマ皇国の衣服を教えて欲しいわ。

 いまのお二人の衣装も、きっと皆気に入ると思うの。

 ほら、周りのご婦人方もずっとこちらを見ているわよ。」


パウラ様が周囲を見渡すのでつられて見てみると、確かに会場の女性陣からの視線を感じた。

衣類に関心があるだけではなく、渡したいtが何を話しているのかを気にしているのだと思うけれど。


「ほかのご婦人方を招いてもよろしいかしら?」

パウラ様に問われ、誰も否とは言うまい。


パウラ様がお母様に目配せをすると、公爵夫人は周囲にいた人々を連れてきた。

思い思いにアヤメさんたちと会話をする中、公爵夫人が声をかけてくれた。

周囲に聞かせるためだろうか、少し大きめの声である。


「テレーゼさん、今回のあなたのアイディアはどれも素晴らしかったわ。

 パウラから聞いてはいたけれど、ヤズマ皇国と我が国の文化が見事に合っていて調和がとれていたもの。

 あなたが職人たちを説得した話も商会長から聞きました。頑張りましたね。

 夜の舞踏会には参加されないのでしょう? 貴女の考えたドレスが舞う舞踏会を見られないのは残念ね。」


「おほめに預かり光栄です、公爵夫人。

 公爵夫人もお力添えいただき、ありがとうございました。率先して着用して下さるおかげで、ご婦人方も着用しやすくなりました。

 私のしたことなど微々たることで、パウラ様やクラウディア様、職人たちの力があってこそですけれども、少しでも王国のお役に立てたのならば嬉しいです。」


パウラ様、クラウディア様、そして私たちがドレスや扇作りに奔走していたことは、上位貴族の間では知られていたが、何処までかかわっているのかは知られていなかった。

夫人が、私が職人たちを説得したことを披露すことで、成果をより強調する形となったため、慌ててそれを打ち消す。

成果を隠す必要もないが、必要以上に目立ちたくはない。

今回の功績をもとに立身出世を狙うわけでもないし、あれこれ詮索されて前世の記憶のことがばれては面倒だ。



「確かに職人たちの努力あってのことね。でも、あなた自身の能力はもっと誇っていいのよ。

 アマーリエ様も褒めていらしたわ。 もうお話しされたかしら?」

「いいえ、今日はまだお目通りかなっておりません。」


夫人は王族たちの卓をさっと見て小さく頷く。

「そうなの。いますぐ王族の卓に行きなさいな。

 大丈夫よ、うちの夫もいますから。うまいこと抜け出させてくれるわ。

 アヤメさんとソウビさんのことなら安心なさって、何かあったら私が対応するわ。」


優しく言われ王族卓に目をやると、アマーリエ様もにこっと笑みをうかべた。

アヤメさんたちに断りを入れ、パウラ様、クラウディア様と一緒にアマーリエ様の元に向かった。

 

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