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2章 13

昼休みも終わりに近づいていた。

お守り見本について案を詰め、クラスに戻る。


パウラ様も、縫い物が得意だから手伝いたいとおっしゃってくださるので

お守りをアマーリエ様が気に入って下さるなら、その際はお願いすることにした。


大量生産をするならお針子達にもお願いしたいが、いまはドレス作りに忙しいだろう。

王族やヤズマ皇国側への献上分だけならば、クラウディア様とパウラ様とで製作可能だ。



クラスメートからの視線は相変わらずだが、いまは構う余裕もない。

知りたければ、聞きに来れば良い。

力になってくださるなら、自主的に名乗り出て欲しい。


私が公爵家令嬢ならば、話しかけにくいこともあるだろうが、伯爵家だ。

いつもはパーティーがあればドレスの相談などに乗って欲しいと話しかけてくるのに、何故遠巻きに見るだけなのか。


とはいえ、クラスメートの気持ちも分かるのだ。

話しかけたくともこれだけ耳目を集めていれば、勇気が湧かないのも頷ける。

じれったいような、もどかしいような気持ちになる。




下校時刻になっても、誰も話しかけて来なかった。



何人かは私が一人になるのを見計らっているようで、朝よりも近い距離から視線を感じる。

いっそ皆で、話しかけて下されば良いのに。



ため息を吐きながら歩みを進めると、柔らかな男性の声に呼び止められた。


「リートゥス伯爵令嬢、いまからお帰りでいらっしゃいますか?」


驚いて顔をあげる。

「サミュエル様!? なぜこちらに?」


「私もここの卒業生でしてね、時々、教師陣に会いに来ているのですよ。」


先ほどまでとは違い、周囲からキラキラとした視線を感じる。

眉目秀麗なサミュエル様に対するものなのか、私たちの恋仲を疑っているのだろうか。

年頃の子女がその手の話が好きなのは、古今東西変わらないのだ。


視線を意識しないよう、けれども周囲に会話が聞こえるように意識して話す。


「まあ、それは存じ上げませんでしたわ。

 今日はお役目は宜しいのですか? 王女殿下はおかわりなくお過ごしでしょうか?」


ヤズマ皇国側との調整役を担っていることを、公にして良いのか分からないため、

周囲を気にして、ぼやかしながら聞く。

サミュエル様もそれを察して答える。


「それについて、貴女に相談したいことがありましてね。

 お屋敷に伺おうかとも思いましたが、いきなり訪ねては驚かれるでしょう。

 こちらに参りました。」


こちらに来られても困る、とはハッキリ申し上げられない。

曖昧に微笑むにとどめておいた。


「お力になれることでしたら、なんなりと。

 王女殿下のためですもの。」


王女殿下という言葉を強調し、周りに聞かせる。

私が公爵家のパーティーで、アマーリエ様にヤズマ皇国風ドレスをプロデュースしたことは知られているのだ。


使者の謁見で着用することになっているヤズマ皇国風ドレスに関与していることも、自明の理だ。

参列する身分の者ばかりの学園で、隠すことのほうが無理である。



「やはり、テレーゼ様が関わっていらっしゃいますのね」 「リートゥス家はバーナー公爵側についたのか。」という呟きが聞こえてきた。



「ありがとうございます。嬉しいです。」

爽やかな笑顔を向けられ、少し面映ゆくなる。



学園職員に御者と家への連絡を頼み、私たちは中庭の東屋へと移動した。


話している様子は周りからも見れるが、話は聞こえない。

男女で会話をする必要がある際に、健全な関係であることを証明するには良い場所だった。









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