第17話・この客はよく牡蠣食う客だ
年末依頼の執筆!!
しかも、作中は3月!!!
全てがチグハグ(笑)
そんなんでも楽しんで頂ければ幸いです。
(投稿後、加筆)
なんと、2話分ズレが……あちゃー本来5月を書かなきゃだめだったじゃん!
……悔しいのでそのまま。
後で投稿順を弄って直すかもしれません!!
「う~ん、今年の桜は遅いのかな?」
若葉が見上げているのは、上野恩賜公園の桜だ。
東京都心部では真っ先に咲く桜として有名である。
若葉としては花見自体は好きな方である。
満開の桜を見ながら、日本酒をくいっと飲む。
風情こそが何よりの肴となる。
ただ、騒ぐお花見となるとちょっと話は変わってくる。
これはこれで楽しいお酒で嫌いではない。
……そう、嫌いではないだけで好きとは言えない。今は。
ついていけなくなったのだ。
大学の頃はバカ騒ぎするだけのお花見にも参加したことがあるし、端っこの方でバーベキューコンロで焼いたソーセージをビールで流し込むのは爽快で、程よく酔った状態で友達とダベるのが楽しかった。
それなのに……いつからだろうか、学生の頃に感じた楽しさと言うのは社会に出てしまうと味わえない物なのだと痛感した。
とは言え、そのままアメ横の方へ足を延ばせば、まだ日が高いこの時間でもご陽気に飲んでいるおっちゃんたちがガハハと笑い声をあげている。
桜が咲けば、きっと話の花も咲いてさらに多くのお酒を口にするのであろうことが想像に難くない。
「ついでに今夜の食材でも買って帰ろうかな」
アメ横をふらふらと見て歩く。
乱雑な食材の数々。
鮮魚に乾物に、野菜・果物、駄菓子に服に時計……ちょっと一本入れば居酒屋に洋食屋や寿司屋など飲食店がひしめき合って、インスピレーションも湧く。
「らっしゃい、マグロどう、マグロ。 トロに赤身もつけてサービスしちゃうよ」
さすがにこの時間まで残っている食材は、色が悪くなっている。
トロと言うか、脂の乗りとしては大トロなんかではなくて、良くて中トロ、なんなら赤身に分類されそうである。
若葉は横目に品定めをしていると、買う気があると思ったのか直接声をかけてくる。
「美人さんだね。 魚をたくさん食べると良いよ♪ カロリーが低くてたんぱく質がしっかりと取れるんだから♪ ほら、マグロだけじゃなくてこのサーモンもつけてサービスするからさ」
押しが強い。
アメ横なのだから当然だろう。
「ごめんなさい、サーモンはそんなに好きじゃないの」
女性や子供ならサーモンが好きだなんて思わないで欲しい。
例外だっているのだ。
(……好きじゃないってだけで、食べるけどね)
心の中で舌を出しつつ、とっとと歩みを進める。
アメ横で買おうと思っていないのだ。
今日並んでる魚を見ながら、そのまま御徒町まで行って鮮魚専門店で買うつもりである。
「あ」
牡蠣が目に入った。
真牡蠣である。
(『牡蠣を食うのも花見まで』か。冬が旬の真牡蠣は、産卵直前の今がクライマックスだね)
もう気持ちは牡蠣を食べる気になってしまった。
願わくば、行く予定の専門店で売り切れになっていないで欲しい。ただそれだけだ。
…………
「生食用がラスト1パック!」
思わず声を出してしまった。
何は無くとも籠に入れる。
(う~ん、1パックだけじゃ物足りないかな……牡蠣料理、作るか)
若葉は加熱調理用の剥き牡蠣の袋詰めも籠に入れた。
これも残り3袋だったので、もうちょっと遅かったら手に入らなかったかもしれなかった。
急いで帰宅した若葉は早速キッチンへに立つ。
生食用はそのまま冷蔵庫に突っ込んで出番待ちとなる。
用意した牡蠣以外の食材は、玉ねぎとブロッコリー、そしてカットレモン。小麦粉に牛乳に白ワイン。そしてピザチーズとパン粉。
何を作るのか分かった人は多いのではないだろうか。
玉ねぎをみじん切りにしてミルクパンでバターと一緒に炒める。
火が入って透き通ってきたら、ざっと洗った加熱調理用の牡蠣と白ワインを入れて弱火にする。
そのまま蒸すのだ。
その空き時間に、冷蔵庫の残り物を漁ってみる。
たくあんとクリームチーズがあった。
(スモーカー、すぐに出るところにあったっけ?)
コンロの隣の口でスモークをする準備を始めた。
即席のいぶりがっこだ。
スモーカーを用意してる間にミルクパンの中の牡蠣が蒸しあがる。
蒸しあがった牡蠣の身を取り上げ、そこに小麦粉を入れて牡蠣のエキスごと練り上げる。
小麦粉に火を入れて、それを牛乳で伸ばしていく。
それを塩コショウとコンソメで味を調えたら、牡蠣のエキスたっぷりのベシャメルソースの出来上がりだ。
耐熱皿にベシャメルソースを流し入れて、レンジで加熱したブロッコリーと先ほど取り出した牡蠣の身を乗せ、残りのベシャメルソースをかける。
そして、ピザチーズをたっぷりかけてパン粉をまぶし掛ける。
それをトースターに入れて、ピザチーズが溶けて、パン粉がカリッと焼き色着いたら牡蠣グラタンの完成である。
平行作業で作ったいぶりがっこチーズを付け合わせにして、生食用の牡蠣にはカットレモンを添えつつ、お酒を割る用のレモン果汁を振りかける。
(レモンをざわざわ絞るより手軽だしね)
キンキンに冷えたビールと、料理でも使った白ワインをテーブルに用意して、牡蠣パーティーが始まる。
「今シーズン最後の牡蠣かな? 夏の岩牡蠣までのお預け…… では、頂きます」
次話は四月か……何にしましょうかね。
前の四月は岩下の新生姜だったようです(第2・3話)
一話に付き一か月進める。
でも年齢的にはサザエさん方式と思っています(笑)
四週したら、一歳年を取ろうかな(一か月四週ってことで)
投稿後修正……前書きの通りです……次は5月を書きますorz




