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第15話・気合いを入れる時は

寒くなってきましたねぇ……1話で1月と決めているせいで季節感が真逆!!


なお、年を取らないサザエさん式のつもりですが……一応10カ月を5周したら、加齢しようかな(爆)

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 若葉は、自分でも驚くくらいのため息をついて、その事実にため息をつきたくなる。

 4月と言えば当然ながら年度初めであり、新入社員が入ってきたり、担当者が異動になったりしてと、思い通りに事が運ばない時期でなのである。

 なのに、企画の立ち上げも多い時期でもある。


 フレッシュな人や異動したてで気合いの入っている人は、なかなか楽しいことだろう。

 しかし、彦野若葉は新人でもなければ、今年も営業プランナーとして年度越え案件も抱えている状態である。


「疲れたから、肉を食べたい……肉を食べよう……」


 肉を食べると言えば、一般的には焼肉を思い浮かべるだろう。


「……疲れてるから、家で食べるなら……やはりアレよね」


 キラリと目が光った様にも見えた。



「陽も長くなってきたなぁ」


 夕陽で空が茜色になったころ、定時退社をして家時へ急ぐ。

 谷中銀座でふらりと野菜を調達しつつ、そのまま肉屋へ直行する。


「すいません、しゃぶしゃぶ用の豚ロースと牛ロースを一〇〇gずつお願いします」

(気合いを入れたいのに、肉をケチると言うのは無いよね)


 肉の準備をして貰っている間に、段取りを考える。

 しかし、目の前のケースに入っている美しい肉達に魅入ってしまい、思考を邪魔される。 いや、テンションが上がり心を躍らせる。

 肉にはエネルギーが詰まっていると思う。


 ホクホク顔で帰宅した若葉は、早速準備を始める。


 鍋に水を張り料理酒を三回し入れて、昆布を入れる。

 それを火にかけている間に、野菜の下拵えをする。


 旬にはまだ早いけれど、生のきくらげが並んでいた。

 薬膳として優秀な食材であるきくらげは、まさに女性の味方である。

 特にしっかり熱を入れる必要もないので、しゃぶしゃぶの食材としても適しているのだ。

 水で汚れを洗い流し、キッチンペーパーで表面の水分を拭ったら下拵え完了。

 まだ旬で無い事もあり、大きくないのでカットするほどでもなかった。


 そして、旬が終わったばかりの水菜。

 とは言え、路地物ではなくハウス栽培であればいまは通年でいつでも出回っている野菜である。

 取り出して水で洗って付け根を切り落とし、二分割したらこちらの下拵えも完了。


 本当は黄ニラが良かったけれど、流石に旬が過ぎてしまって普通のニラを買って来た。

 とは言え、黄ニラは早春が旬なのに対してニラは今がまさに旬で、柔らかくしゃぶしゃぶに使うなら春の食材だ。


 最後は、レタスである。

 一枚一枚剥がして、手で千切る。

 それで準備完了である。


「そして、実はこの前、いつか坦々麺を作ってみようと買っておいた芝麻醤ちーまーじゃん


があるから、胡麻だれも作ってみようかな♪」


 まずは、料理酒とみりんと酢を等分で混ぜて、煮切る。

 アルコールが飛んだら、そこに同量の醤油にたっぷりと芝麻醤を加えて、弱火に掛けながら練って完成。


「う~ん、胡麻の香りが断然いいよね」


 市販のごまだれよりさっぱりとした仕上がりになる。

 これに付けてビールを飲むのを想像するだけで、心が弾む。


 火に掛けっ放しだった鍋から昆布を出してアクを取ったら、ダイニングテーブルのカセットコンロ上にセット。

 しゃぶしゃぶのスタートである。


「まずは、っと」


 きくらげを数枚鍋に入れて、早速ファーストバイトとなる。


「最初の一口目は、やっぱり牛肉だよね……これをビニールから剥がして……さっ、さっ、さっと潜らせて……」


 牛肉特有の赤さの強いピンク色が官能的にも見える。

 表面の汚れをすすぎ流すかのような程度にしゃぶしゃぶして過ぎに鍋から上げる。


「ここは胡麻だれじゃなくて、塩を振ってっと……ん! ………」


 テーブルに常備してある岩塩を付けて頬張る。

 そのままゆっくりと味わう。


「ん…… 口の中が肉の美味しさでいっぱい……」


 そして、レタスをささっと湯にくぐらせてそのまま口に入れる。

 口の中をリセットしたら、次は豚肉に箸を伸ばす」


「次は豚。 お肉の美味しさをきちんと確認してからじゃないと、いきなり胡麻だれなんてお肉に失礼よね」


 牛肉と同じように湯にくぐらせると、同じ程度の火の入りだが、淡いピンクになる。

 同じように岩塩をパラパラと掛けて頬張る。


「豚は豚の良さがあるね」


 プシュッと切れの良い音を立てて、缶ビールを開ける。

 本当は瓶ビールにしたいところだが、瓶ビールは瓶が重い事もあって手が伸びない若葉であった。


「さぁ、ここからは胡麻だれで行こう♪」


 箸で一つまみの水菜を鍋に入れて、すぐさま牛肉をつまみ上げシャバっと鍋に放り入れたら、そのまま水菜をくるんと巻く。

 肉巻き水菜になったものを、胡麻だれをつけて口に運ぶ。

 まだしゃきしゃき感の残る水菜と牛肉の旨み、そして手作りのさっぱりした胡麻だれの風味と香り……


「んー、幸せ♪」


 そして、最初に入れておいたきくらげも胡麻だれを付けて頬張る。

 コリコリとしたきくらげ特有の歯ごたえが、他と違う新鮮な感覚だ。


「お肉をストレスが解消されると言うし、きくらげは若さの薬♪ お酒もお薬だよね♪」


 人の目を気にしないで良い自宅なので、気兼ねなくビールを煽るのであった。

と言う事で、4月設定で『しゃぶしゃぶ』をお送りしました。

しゃぶしゃぶは何のお肉が好きですか?


僕は、羊です(爆)

火鍋が良い(爆~2)


牛の方が好きかな。

霜降り程度で行きたいですね。


なを作中の『塩で食べる』ってのもお薦めですし、これなら日本酒も行けます!!

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