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父母の愛と願い

「どうしたの!?」



霊が消えた瞬間、雅が飛び込んできた。



「ん?特に危険なものは...」



「入ってしばらくぼーっと突っ立ってるなと遠目で見てたら急に部屋からすごい光がぱっと光ったからって何かしらって...ひっ!」



サーッと血の気が引いていく雅の視線の先を見るとそこには2体の手を繋いでいる骸があった。



普段ヒビキは作り物の骸骨でも飛び上がるが、その時は何故か驚かなかった。さっき現れたこの人達も生きてたんだ。よく分からないけどとっても悲しい亡くなり方をした気がして...そう思うと涙が溢れてくる。



「ヒビキ...あとは私とレタちゃんとで見てくるからもう外に出てていいよ。」



自分の感情を汲み取ってくれたようだ。ヒビキは静かに頷いてマンゴーと屋外へと移動した。外はもう薄暗くなり、夜空に星がまたたいている。



「(RPGの主人公って屍に出会った時、どんな気持ちなんだろうか...)」



ダダの屍とは思っていないんだろうな。でも多すぎるから無理やりそうとしか思わないように決めてるのかもしれない。



だめだ、考えると心が弱ってしまう。



雅がゆっくりと出てきた。



「中には何もいなかったわ。」



さっきまでフル回転していたせいでしんなりとなったレタが飛び出してきた。



『これが、あの霊からのメッセージ...』



レタの10枚のメモが綴られている。



【あっ、ダーリン!人よ!】


【でも俺達の声は届かないぞ。】


【あの手紙の女の子がお話しを聞いて伝えてくれるんですって!】


【それは助かるな。】


【ごめんなさいね。この人、口数少ないの。】


【時間が無いぞ...】


【あぁ、急がなくちゃね。色々省略するけど私は悪魔でダーリンは人間なのよ。】


【いわゆる禁断の恋という奴だ。】


【それで子を授かってこの田舎に引っ越したんだけどね。森の悪魔は私達が気に入らなかった...しかも追い打ちをかけるように産まれた私達の子は強大な力を持っていたの。息子を隠して暮らしていたんだけど悪魔からすれば邪魔だったんでしょうね。大きくなってって力が隠しきれなくなった時、息子の力に気づいた奴は突然襲ってきたわ。】


【俺達は息子を守るのに精一杯だった。襲われた場所からどうにか家まで逃げたけど私達はもうボロボロだった。ただ、息子にだけは生きて欲しかったの。最後の力で彼をどこか遠くへ転送した。その魔法の反動で彼は記憶を失いながらも生きているわ。】


【しばらくは魂でもアイツを見るぐらいの力はあったんだが、次第に力は弱まっていった。】


【8年以上もう彼を見ていない。だけど彼は生きている。ちょうど貴方と同じくらいの年よ。私達は間近で彼の顔が見たいの。】


【道具の力を借りて実体化できたがこれが本当に最後の力、あとは魂として魔法でこの家に残ることしかできない。】


【お願い!彼をここへ連れてきて欲しいの。何年かかってもいい。認識されなくてもいい。だけど一目見たいの!】


【二人だから寂しくないし、俺達も魔法を使えた身だ。そんな何年かで消滅したりはしないから急がなくていい。だから頼まれてくれないか?】


【私達からのメッセージは以上よ。これから貴方とそこの男の人に託すものをあの子と会えたら渡してくれないかしら。】


レタが静かに自身に文字を浮かび上がらせる。


『あまりにも悲しい目をしていた。叶わぬ夢を叶えさせてあげられるのは私しかいないと思ったから了承したの。ここからはその続きよ。』


【男の子には俺達の気持ちを。】


【手紙には私達の記憶を。】


【【最後に、貴方達の旅路に幸あれ___】】



俺は彼らに託された宝石をなくさないようにそっと袋に入れた。レタも託された記憶をマンゴーからもらった空の魔法箱に詰め込んでいる。



すっかりと暗くなった夜空の下、振り返るとボロ小屋は少し離れて小さく見える。



その一階の骸の横たわる部屋で、2つの魂が静かにレクイエムにのって優雅に踊っている。



ただただ、そんな気がした___

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