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5話 先延ばし

PS4買いました~


でも直後に学年末テスト…。ツラい…

 ロイさんに告白されました。


 正直、何がなんだか分かりません。ロイさんは奴隷商人であり、私はただの奴隷…つまり彼にとってはただの商品でしかないのです。


 いえ、もっと悪く言えば3年間一度も売れないけど中途半端にスキルを持ってて値段を下げることもできない、役立たずで穀潰しの奴隷と思われても不思議ではないのです。他ならぬ私自身がそう思っていたのですから。


 それを唐突に『好きだ』なんて言われて、驚かない方が無理でしょう。


 私は彼の商品、彼は私の取扱者。無論ただそれだけの関係ではなかったでしょうが、どこまで家族のように過ごそうと、どこまで周りから見たら夫婦のようであろうと、どれだけ信頼関係があろうと、私とロイさんの関係には奴隷と奴隷商人というものがついて回ります。それを忘れたことは一度もありませんし、それでいいと納得していました。そして私を買った側のロイさんが、そう感じていないとは夢にも思わなかったのです。


 しかし、告白されてしまいました。


 何らかの冗談であればいいな~と、ひとかけらの希望をもってロイさんに訪ねてみます。


「……ロイさん、本気なんですか…?」


「ああ、これ以上無いくらい本気だ。そもそも冗談なんかでこんな話はしない」


 真顔で即答されてしまいました。


 しかし、どうしましょう。私としてはロイさんに恋愛感情などこれっぽっちも抱いていないのですが、それは今までの私達の関係が奴隷と奴隷商人だったから恋愛感情を持つ対象ではなかっただけだとも思うのです。


 もし出会い方が違えば、ロイさんのことを好きになっていてもおかしくはないと思うのです。


 しかし今更そんなことを言っても…という気もします。


 これから関係を築くのであれば十分に互いを好きになれるでしょう。しかし、一度完成した関係を変えるというのはとてつもなく難しく、また非常にリスキーなことです。


 既に商人と商品という関係が定着してしまっている今、それを変えることは正しいことなのでしょうか。


 しかし、バッサリ断ってしまうのもロイさんに悪い気がします…。


断るべきか受けるべきか、思考がぐるぐるまわってしまいます…。あまりにも突然過ぎて思考をまとめることができません。


「あまり悩まないでくれ。今の時点で答えが欲しいとは思っていない。今日告白したのは、まぁ…俺の決意表明みたいなもんだ。あのままヘタレてると、お前と恋愛関係なんて持てそうになかったからな。ま、これからはすこーし今日の告白を意識してくれってことだ。話は以上だ」




 ロイさんは考え込んだ私に気を使ったのか、話を切り上げて席を立ちはじめました。


 告白された後、ひとりの異性ということを意識してしまった今では、このような気遣いひとつにも、彼の想いが込められているように感じます。


 しかしそれに甘えてははいけないような気がしました。


 このまま行ってしまうと、私はずっと答えの出せないまま、どこかに売られるまで、下手したら一生返事をしないままに、ロイさんの決意を台無しにしてしまいそうだったからです。


 しかし、今のままではロイさんに返事を出来そうにありません。


 だから私は、ロイさんにこう言いました。


「…一週間、待ってください」


「ん?」


「一週間後、この時間に部屋でもう一度話しましょう。それまでに絶対に答えを出します。ですから一週間、待ってください。あ、もちろん、お仕事があるのなら別の日にしますが」


 時間が有りすぎるのがいけないならば、予め期限を決めてしまう、というのが今回の私の決断でした。


 一週間あれば、気持ちを落ち着けてこの件を考えることも出来るでしょう。


「そうか。お前は強いな。俺は3年間は待つつもりだったが」


「いえ、さすがにそんなに待たせられませんよ」


 3年間なんて、スパンが広すぎます。その間に何が起こるかもわからないじゃないですか。


「いやでもなぁ。俺はお前に告んの、3年間も渋っちまったし」


 え、え~…。それってつまり、ずっと告白する勇気がなかったってことですかね…。


 ちょっと…なんか、ヘタレ過ぎというか…。今のでロイさんのポイントが一割くらい減った気がします…。さすがに口には出せませんが。

「ほんっと、どうしようもないヘタレだよなぁ…」


 あ、ロイさん自分で言っちゃいました。


 …ってあれ?待てよ…3年間…?


「…3年間って、あの、もしかしてそれって……」


「ん?ああ。御察しの通りだ。会ったその日から好きだった。一目惚れだな」


 えええええ!!


 ちょっ、ロイさん、本当ですかっ!!


 さっきのヘタレ具合といい、ロイさん実はとっても乙女ですっ!


「…ぷっ…」


「わ、笑うなよ…。俺だって恥ずかしいんだ…」


「ふふっ、すいません」


 なんだかかなりロイさんに親近感を感じました。


 なんというか、少しだけこれまでの関係から近づけられたような気がします。


「では、後片付けは私がしますので、ロイさんは…」


「ああ、いや。後片付けは俺がやるよ。開けた瓶は飲まないとだからな」


 それはそうですが…。まだ瓶には沢山のお酒が入っています。さっき一杯だけ飲んで酔っていた人が、果たしてその量を一人で飲めるでしょうか。


「なんでしたら、私も御一緒しますよ?」


「バカいえ。匂いでダウンの一歩手前になったやつが、この量の酒を飲めるか」

 確かにそうですが、それじゃあコップ一杯で酔っていたロイさんも五十歩百歩な気が……。


「それに、酔った時にお前と2人っきりでいると…その…」


 何故かそこで口ごもるロイさん。


「その、なんですか?」


「………襲っちまうかもしれないだろ…」


「襲う…?」


 意味が分かりません。酒に酔って暴れてしまうという意味でしょうか。


「…なんでもねーよ。とにかく、片付けはやっとくから今日は一人で飲ませてくれ」


「はぁ、分かりました」


 最後のはよく分かりませんでしたが、まぁそこまでして一人で飲みたいのであれば、好きなようにさせた方がいいですね。


「あまり飲み過ぎてはいけませんよ」


「分かってるよ」


「では、失礼します。おやすみなさい」


「あぁ、おやすみ」


 こうして、私の誕生日の夜は更けていきました。


 余談ですが、翌日どうしても気になって事務室に行くと、私達が居たとき以上に散らかされた机と、二日酔いで唸っているロイさんの姿を発見し、ロイさんの評価がガクッと下がりました。



ここまで読んで下さった方、ポイントやお気に入り登録等してくださった方、本当にありがとうございます。


四話にしてお気に入り登録数が二桁に届きました!pvも2000を越え、本当に嬉しい限りです。早いのか遅いのかは分かりませんが。


更新ペース遅いですが、これからもよろしくお願いします

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