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魔法勇者ダイデンダー ーDDDー  作者: 夏目八尋
第3章 ダイデンダーVSブラックスワン!
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第19話 Aパート② ーダイデンダーVSブラックスワン!ー

読んで下さりありがとうございます!


対決!


 放課後。

 校舎裏の一角に、照也、哀、円と。


「それじゃ、人払いの結界を張るよ?」


 連絡を受けて合流した、絵瑠の姿があった。



「ロイヤルジュエル! ハイドオニキス!」


 中学校の制服を着た絵瑠が秘石(ジュエル)を天に掲げると、それは黒い輝きを放ち、辺りに帳を下ろすように光のカーテンを張る。

 直後。

 ちょうどこちらへ向かって歩いていた女生徒が、無意識に向きを変え、遠ざかっていった。



「……うんっ! これで大丈夫だよ。お義兄ちゃん」

「ありがとうっ! 絵瑠っ!!」

「えへへっ。もぅ、声が大きいってばぁ」


 爆音で感謝を伝え、照也がよしよしわしゃわしゃと、絵瑠の桃色ツインテがふわふわ揺れるくらいに撫でまわす。

 いつもなら学校中に轟く彼の声は、光のカーテンに遮られ、見事に消音されていた。



「ご協力感謝します。姫様」

「どういたしまして、哀さん。でも、敬語はいらないよ?」


 恭しく礼をする哀に、義兄の可愛がりから逃れた絵瑠は柔らかに微笑み向き合う。


「あと、二人とも大怪我するような真似だけはしないでね?」


 その微笑みはすぐさまむんっと真剣な表情へと変わり、哀と照也とを見回した。



「各種計測器の準備出来たよ、哀ちゃん。弟くんっ! 派手にやっちゃっていいからね!」


 持ち込んだ機材(ガジェット)たちを調整していた円が、二人に向かってサムズアップすれば。


「……状況は整ったようね。大殿照也?」

「だな」


 哀と照也は頷き合い、西部劇の決闘のように距離を取って向き合った。


 否。

 実際にこれは、決闘である。



「黒羽。俺が勝ったら歓迎会に出席する……で、いいんだな?」

「ええ。あなたが私に勝てたなら、歓迎会でもピクニックでも付き合うわ」


 哀が提案した、折衷案。

 それは照也との、互いの持ちうる力を最大限に使っての、真剣勝負による決着。


「勝っても負けても俺のデータは取れるし、わかりやすく結果も出る。黒羽は賢いな!」

「あら、私に勝つつもりでいるの? 年期の違いって知ってる?」

「言ったな!?」


 戦う前から言葉の応酬。

 二人のボルテージは際限なく高まっていく。


「……意外、かも。哀さん、あんな風にお義兄ちゃんを煽るなんて」

「うんうん。わたしたちはまだ、哀ちゃんのこと、全然知らないからね」


 二人の魔法少女がそれを見守る中、遂にその時は来た。



「それじゃあお互い、構えて!」

「「!」」


 円の合図に、照也と哀が身構える。


「行くぞ! ブレイブ・オン!」

「ナーサリー・ライム……起動っ」


 デンダーブレスが。

 黒鳥の装飾品(アクセサリー)が。


 呼びかけに応えて輝きを放つ!



「魔法勇者(マジカルブレイブ)! ダイ、デン、ダァァァァーーーー!!」

「ブラックスワン。変身シークエンス、完了……!」


 そして現れた、緋色の戦士と黒銀の戦士が。


「行くぞ! 黒羽っ!!」

「かかってきなさい……!」


 戦いの開始と共に、真っ正面から激突した!



      ※      ※      ※



「うおおおおっ」

「遅いっ!」


 最初の一撃を放ったのは、哀だ。

 飛び掛かる照也の間合いへ自らも飛び込むと同時、大鎌の石突部分を槍のように突き出して先手を取る。


「なっ?!」


 単純に大振りの一撃が来ると考えていた照也は虚を突かれ、とっさに篭手で受け止めるも。


「はぁぁぁっ!」

「うおおっ!?」


 予想を超える力で押され、構えていた両手を浮かせてしまった。



「そこぉっ!」


 間髪入れずに撃ち込まれるのは哀の左足。

 右足で地を蹴り、持ち上げた左足を真っ直ぐ突き出すヤクザキックが、照也のお腹へブーツの踵をクリーンヒット。


「ごっ」

「まだまだっ!」


 突き出した大鎌を引き、手首でくるっと回転させる。

 即座に手放し半月を描くように背面で回せば、反対の手で柄を握ると同時に、横から薙ぎ払う刃の追撃!


 ガギッ!


 照也のまとう緋色の鎧と刃がぶつかり、断ち切れないと悟るや否や、遠心力で振るうまま、照也を遠くへ吹き飛ばす!!



「ぐぁぁっ!!」

「弟くんっ!」

「お義兄ちゃん!!」


 まさしく圧倒。

 何一つ返せずに地を転がされる照也に、円と絵瑠が驚愕する。


「……恐ろしいほどの防御力ね」


 一方。

 終始優勢を取った哀は哀で、照也の持つ力のポテンシャルに感心していた。


「私たちと同じ守りの魔法が発動している。けれど、どこか異質な……魔力(マナ)だけじゃなく、命の力(プラーナ)も使って装甲が強化されている?」


 冷静に分析しながらも、視線は照也から逸らさない。


「く、うぅぅ……!」


 吹き飛ばされた照也もまた、戦う意思を失わない。

 立ち上がり、すぐさまファイティングポーズを取ってみせ、動き出す。



「魂に、従う……!」


 闘志を燃やせば、それだけ照也の力が増す。

 彼の中の未知が、解き放たれる!


「マジカル……ナックル!!」


 握った右手が光を放つ!


 ボゥッ!


 篭手の後部からプラーナを、ジェットのように噴射して。


「だぁぁぁぁ!!」

「っ!」


 文字通り、弾丸となって哀へと肉薄!

 一瞬で距離を詰めれば勢いのままにこぶしを放つ!


 が。



「甘いっ!」

「なっ!?」


 直線的な動きに合わせ、哀がぬるりと立ち位置をズラす。

 ほんの僅かな足の運びで照也の一撃を回避すれば。


「…………ふんっ!」

「がっ!?!?」


 大鎌を支えにして体を浮かせ、照也の無防備な背中へ再び強烈な蹴りを叩きこむ!



 ズザザァァァァッ!!


 蹴り飛ばされて、自らの勢いも殺せずに、照也が地面を滑っていく。

 ヘッドスライディングもかくやの激しい動きは、照也の脳を揺さぶった。



「ぐ、ぉ……」

「そのまま寝ていたいなら寝ていなさい、大殿照也。力があっても、それを扱う技がないのだから、この結果は順当よ」

「……!」


 哀の言葉に、揺れていた照也の意識が覚醒する。


(まだだ。まだまだ俺は……戦える! 戦え! 大殿照也!!)


 胸の内から湧き上がる衝動に身を任せ、全身を駆け巡る力を奮い、立ち上がる。

 まだ、戦える!



「…………どうだ! 黒羽!!」


 嬉々として振り返った。

 その時には、もう。


「ええ、驚くべき精神力だわ」


 哀は次の一手を放ち終えていた。



「切り裂きなさい! ザークリッパー!!」

「ぐおああああああっっ!!」


 放たれたいくつもの光輪が、照也の鎧を切り裂いていった。



      ※      ※      ※



「ああああ、お義兄ちゃんがっ! お義兄ちゃんが!!」


 真剣勝負の傍らで、それを見守る絵瑠は気が気じゃない様子で小刻みに震えていた。


「お義兄ちゃん! 無理しないで! 大怪我しそうになったら、ちゃーんとブラックスワンに負けを認めて戦いを止めてー!!」


 扱い慣れてない力に振り回され、戦いの巧者である魔法戦士に翻弄される。

 二人のあいだにある圧倒的な実力差を理解している彼女は、とにかく義兄の無事を祈っていた。


 その一方。



「………」


 もう一人の見学者である円は、戦いと同時に、多数の計器へその意識を向けていた。


 発生した魔力量、目視できる変化、目に見えない何か。

 そのなに一つでも見逃してなるものかと、技術の魔女は己の全力を振り絞る。


「……頑張って、弟くん。お姉ちゃんは、信じてるから!」


 それは全くもって根拠のない、自信。

 愛する弟に対する、全幅の信頼。


「弟くんなら、未知の可能性でも何でも引きこんで、哀ちゃんに勝てるって信じてるから!」


 圧倒的、無茶ぶりであった。



 視点は再び、二人の戦場へ。


「ぐぉぉぉ……デンダー、マント!」

「ザークリッパーが反らされたっ!?」


 照也が背中のハーフマントをひるがえすと、光輪がひらりと滑り弾かれる。

 そうしてようやく光輪の猛攻から身を守った照也だったが、そこに至るまでに幾度も刃の餌食となって、緋色の鎧は随所に傷を負っていた。


「まだ、まだ……!」


 だが、折れていない。

 まだ、負けていない。


「黒羽ぇ……! 俺は、まだイケるぞ!」


 どころかむしろ、彼の中にある未知の力はさらに膨れて、プレッシャーが増している。



「……そう。そこまで耐えられるなら、きっと、死(・)に(・)は(・)し(・)な(・)い(・)わ(・)ね(・)」

「! ブラックスワン! それは!!」


 ゆえに、黒羽哀という戦士は判断した。


「大殿照也。大技、行くわよ……!」

リアクション、感想、高評価いただけるととても嬉しいです。

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お姉ちゃんがお姉ちゃんしている…?無茶振りしないお姉ちゃんはお姉ちゃんではないから仕方ないね
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