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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、気付く。

 俺は天才型ではない。

 「知識」にアクセス出来るように、脳ミソにチップこそ埋め込まれたが、相応に努力はしてきた。


 情報の取捨選択や、情報が正しいか精査する為の裏付けとなる根拠を探す為の能力を、最低でも身に付けなければならなかった。


 なにせ「知識」という物は、ネットの波に漂っていた情報という情報を、失われる前にと慌てて集めて無造作に全て詰め込んだ代物だ。

 情報源の年代も国も、全てバラバラ。


 人工知能を使って、ある程度は年代や分野ごとにまとめられたとしても、ソレらの情報が事実なのかフェイクなのかは、裏付けが取れないと判断を下せない。

 フェイクのような悪質なものではなく、その時代ではそう考えられていたが、後世になって定説が覆った、なんて史料や研究も数多くある。



 お偉い研究者や評論家の、世間を印象操作する為に誂えた論文よりも、日々の何気ない事を綴った個人的な文章にこそ、その時代の真実が隠されている、なんて事もあった。

 だから膨大、なんて言葉では表現出来ない程に大量の情報に目を通した。



 過去にも文献以外にも、個人の日記が歴史的な出来事の裏付けとなった事は多々とある。


 桜田門外の変で井伊直弼の暗殺を実行したのは拳銃だったとか。

 何故待伏せ出来たかと言えば、当時アイドル的存在だった大名一行が何処のルートを辿るか、市井の間で話題になっていたとか、公的資料には残されて居なくても、個人の日記に書かれていたそうだよ。



 他にも平安時代の八一二年、嵯峨天皇が日本後紀に残した詩が、日本に残っていた最も古い桜の満開の記録とされているのだが……


 この頃の世界の主な出来事と言ったら、イングランドの統一やカール大帝が亡くなり敬虔王ルードヴィヒ一世が戴冠した頃だ。

 アチコチで宗教による対立や、節度使の動きが盛んになり世界規模で情報が行き交い領土争いが起きたり。


 国が興っては滅んでを、とにかく繰り返していた。

 そしてその度に歴史的資料が多く喪われている。



 そんな中、日本はかなり多くの文献が残っている。


 東の果てにある島国で、断絶されていたお陰もあってか、国同士の争いに巻き込まれる事は無かった。

 遣唐使を受け入れ最澄や空海がそれぞれ別の宗派をおこしても、国内で酷い争いは起きなかったよな。



 なんでだろ?

 コレが民族性というものだろうか。


 ペリー来航の折だったかな?


 江戸の終わり頃の話だが、当時の日本人を見た外国人に、酷く気色悪がられたそうだからね。


 特権階級の人間に留まらず、庶民まで文字の読み書きや計算が出来る。

 日常的に風呂に入る習慣がある上、汚物を決まった所に捨て清潔を保ち、その上ソレを田畑の肥料にしていた為、町中でも臭くない。

 正直者で我慢強く、そのクセ仲間を侮辱された事には本気で怒る誇り高さがある。


 余りにも自分達と違い過ぎる異質さが、理解に及ばなかったのだろうね。



 そんな日本人だからこそ、古くから庶民までもが言葉を深く理解し文字を書くのが当たり前だった。


 そして時代が下っていく中、世界中を悩ませたのが地球温暖化だった。

 だが、一時的な物だろうと取り合わない人も、中にはいたワケだ。

 そこで登場したのが、日本人が残してきた、国花である桜に対する記述だ。



 時の支配者から市井まで、時代も年齢や性別も超えて愛された、桜だからこそ為せた事なのだろう。


 俳句や和歌はモチロン、奉公に出た子が親に宛てて書いた手紙だとか、日々のちょっとした嬉しいことが描き綴られた日記帳に、日付と共に「今年も満開になった」と数多く記されたりだとか。


 そういう資料と言って良いのか微妙な、公式として残されたものではない記録を掻き集めて、桜の開花時期が徐々にズレ、間違いなく地球が温暖化している、証拠として提出された。

 非常に価値が高いとされたこれらの資料が残されたのは、日本人の国民性によるものなのかな。



 連座制上等、一族郎党皆殺し。

 籠城敵軍の焼き討ち・水責め何をしてでも責任者を引きずり出せ! ……って戦争のやり方は、日本も同じなのに。

 不思議である。


 討ち取られる前に、トップやその親類縁者が自害して責任を取ったり、トップの首で騒動を落ち着かせる動きが多かった。

 それに住民が人的資源として重要である事を理解していたから結果として「何でもかんでも手当り次第、目に付くもの全て壊して焼き払って滅ぼし尽くしてしまえ! ヒャッハー!!」とはならなかった、とか???



 結局は何百年、何千年と残されてきた重要資料も、世界大戦で原物は全て無くなってしまったけどね。



 時代が近代へと近付くにつれ、プロパガンダは白熱し、思想誘導や歴史の捏造がヒートアップした。


 何が本当で何が嘘なのか、後世に残された限られた資料の中で判断するのは、なかなかに難しい。

 勝者が不都合な事実を、全て消してしまうからね。



 特に紙媒体なら精査して焼いて燃やしてとしなければならないが、デジタルだとワンクリックだ。

 簡単過ぎて、長く地続きで残されてきた歴史は、その一部がゴッソリない。


 その部分を補完する為に、残されている歴史の精査に、俺も含めたどれだけの人員の時間が割かれたと思っているんだ。

 長い歴史の中で、少しは学べよ。

 後世の為にも残しておけよ。



 AIに学習させて正解を導く為には、正しい歴史のみを学ばせる必要があった。

 ずっとこの先も続く後世の為にも、やっておかなければならないからと、学者でもないのに連日画面と睨めっこし続けるのは、なかなかの苦行だったよ。



 答えが出る前に、地球壊しちゃったケドね!

 俺が!!



 「知識」にアクセス出来るんだから、文殿棟もこの世界に来ているだろう。

 当然の如く、太陽光によって電力が賄われているので、もしかしたら長い年月を掛けて、食わせた資料から答えが出ている可能性がある。


 せっかくだし、文殿棟を見付けたら、その時には結果を読ませて貰おう。



 ……つまり「知識」を使って情報を外部から仕入れてくる事はチートと言われても、事実だから致し方ない。


 だが日本語も英語も、相応に努力して身につけた言語だ。

 なので拗ねられても、困る。



 施設にはバイリンガルなんて珍しくも無かった。

 ようは、学ぶ姿勢と意欲があるかどうかだ。


 確かに何百年とかけて改良をし続けている方陣を、ポッと出の俺がアレコレ弄り回してより効率的にしてしまったら、カノンの努力の時間が、ムダな物に思えてしまうかもしれない。


 だがソレは違う。

 培った物、身に付けた物、自分が考える導き出した物は全て自分のかけがえのない財産だ。


 それに更に自分を高めるだけの余地がまだまだある事を、研究者ならば喜ぶべきだろう。



 精霊の皆が伝授した方陣は、精霊語とこの世界で呼ばれる、英語で全て例外なく書かれている。


 何故改良出来るようなハンパな状態の物を授けたのかは不明だが、カノンはまだまだ、効果を高めたり霊力の消費量を抑えられると考えているのだろう。

 その妨げとなっているのが、言語の壁だと言うのなら、拗ねているヒマなんて無い。



 簡単な話だ。

 精霊語が理解出来ず紋様具の製作や方陣の改良に手こずっているのなら、俺に一言「教えて」と頼めば良いだけだろう。



 模倣し、様々な方陣を見比べて、言葉の意味を導き出した、その執念は素晴らしい。

 苦労して会得した事を、アッサリと他人が出来てしまったら、意気消沈したくなるのも、分からないでもない。



 だが変なプライドが邪魔して言えないのなら、 その程度の意欲と言う事。


 俺から「教えましょうか」なんて提言、してやんないもんね〜。



 カッカッとごはんをかき込み、「ご馳走様でした」と手を合わせ食事を終える。


「二人共、今日の予定は?」


 昨晩俺が寝た後に得た情報によっては、アリアは今日も尋問をしなければならない。



 幸い代役が効かない、本人が出席しなければならない結婚式は二日後だ。


 (オルトゥス)の責任者であるゴルカさんには、行動に移す前の段階から既に、馬車で来るのは代役で、国王本人は後から俺が直接迎えに行くと伝えてある。


 無事に到着したら挨拶に赴くとも。

 まぁ、「国王陛下と直接お会いするなんてとんでもない!」と固辞されたが。


 どれだけはっきりキッパリ断られても、会わせるケドね。


 (オルトゥス)はカノンの庇護下にあるのだと知らしめる為にも、披露宴では親しげに接して貰う必要がある。


 緊張しててろくに喋られませんでした。

 むしろ粗相までしでかしました、何て事になったら目も当てられない。


 慣れには時間が必要なのだよ。


 大丈夫。

 とっても効く胃薬を用意しておいたからね!



「昨日の時点で、司教から事の概要を引き出すことができました。

 最悪、地下の方陣まで把握されているかとも考えたのですが、さすがにそこまでの情報は掴んでいなかったようです。


 私を脅迫するか亡き者にし、王室を亡くし教会を世界を束ねる中枢機関にすること。

 またお兄様を教会側に取り込み、現御神(あきつみかみ)に捧げることが主な目的だったようです。


 他の教徒たちの尋問は、皆様にお任せをすると、既に伝えてあります。

 なので本日は、留守にする間分の方陣への霊力供給に費やすつもりです」


「俺は教会でお前が見つけた……淵窩(エンカ)、だったか?

 まだ司教の部屋にあるのなら、それを回収し、他にも異変が無いかを騎士達と共に調べる。


 淵窩(エンカ)の詳細も、司教に聞けたら聞くつもりだったが……他の者に任せた方が良さそうだ。

 何をしてしまうか、分からん」


 大事な大事な妹を殺そうとしていた、なんて聞いたのだ。

 その計画を企てた人間を目の前にしたら、重要参考人だろうが、理性なんてポイッと放り捨ててしまいそうだもんね。



 現物を回収出来たとして、好奇心に負けて刺激をしたり、アチコチ持ち歩いて何かあってはいけない。

 ササッとある程度の形と、特徴的な紋様を掻き込んだ紙を渡した。


 見つけにくい場所にはないが、探す時にどんなものか分かっていたら、騎士達に触らないようにと注意する事も出来る。

 不要なら、尋問官に渡して取調べの時に使うよう指示すれば良い。


「掌程の大きさと言っていたか?」


「インフェルヌスにある祭壇を、縮小したような形ですね」


「……なんて?」


「インフェルヌスにある祭壇を縮小したような形ですね、と。

 精霊教の総本山と言われる……島、で良いのでしょうか?」


「元々陸続きだったが、過去の大戦で大地が抉られた結果、島になった場所、だな。

 橋すら掛かっていないせいで、人の出入りがほぼない。

 そのため、潜入することが難しい」


「独立を謳ってますし、国王と言う立場でも、なかなか介入できないのです。

 数年に一度、一日の滞在しか許可が降りないために、中で何をしているのか、全く掴めないまま時間が過ぎ……こうして暗殺未遂事件にまで発展してしまいました。


 インフェルヌスが、どうかなさいました?」



 インフェルヌスと言えば、教会に仕掛けられていた罠に刻まれていた地名だ。


 通常は拘束の罠が発動する所、一定以上の霊力を持っている人にのみ、転移陣が起動する仕組みになっていた。

 物騒だったし、起動に必要な霊力の何倍もの力を叩きつけて、破壊しておいたけど。


 そうか。

 教会はカノンを取り込みたいようだったって言ってたもんな。

 あの方陣は、カノンを教会の総本山に問答無用で攫う為の物だったのか。



 それを考えると、今回の一連の事件って、アリアもモチロン対象なのだろうが……

 もしかして、カノンが本命だったりしないか?

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