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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、楽観視する。

いつもご覧頂き有難うございます。


U様、いつも誤字報告ありがとうございます!

不甲斐なくてすみません_(˃̣̣̥ω˂̣̣̥」 ∠)_

 想像はしていた。


 アリアとカノンは、家族や仲間を侮辱されたり、危害を加えたりされる事を酷く嫌った、英雄二人の子供だ。

 しかも互いに、恋愛感情こそないようだが、重度の愛着心と執着心を持っている。


 そのふたつの要素が重なった相手に「君のお兄ちゃん、(タマ)狙われてまっせ」なんて言ったら、どうなるのか。


 分かりやすくブチ切れてくれたのなら、まだ良かった。

 むしろちょっとそんなアリアの姿を見てみたいと、知的好奇心が勝ったが故の進言だった。


 しかしソレが完全な失言だったと、思い知らされる。



「…………まぁ……」


 食後のお茶を淹れたカップを口元まで運んでいたアリアは、俺の言葉を耳にした途端、動きを止めた。

 一口も飲まずにカップをソーサーに置いた後、笑みを深めて一言、上記の言葉をポツリと呟いた。


 そして、突如。

 目の前から消えた。



 ……と思ったら、一瞬遅れて消えたカノンに羽交い締めにされて、ちょっと離れた所に出現した。


 ちょっと待って!?

 俺、アリアが転移の精霊術使ったの、感知出来なかったんですけど!!?


 カノンのは分かった。

 そのお陰でアリアも転移したのだと理解したから。


「お兄様!

 離してください!」


「向こう見ずに暴走しているお前は、何をしでかすか分からんから、無理だ」


 カノンに抱っこをされて嬉しいシチュエーションのハズなのに、怒髪天をついている所為か、全く今の状況に気が付いて居ないらしい。

 文句を言って暴れている。


 是非ともココは、正気に戻って自分に置かれた状況を把握して、メロメロの骨抜きになって欲しかった。


 

 フルネルソン・ホールドわされて、アレだけ暴れられるとは。

 見上げた根性である。

 兄への愛の賜物か。


 首を痛めそうだから、大人しくしなさいね……?



 とりあえず、俺が安易に口にした言葉のせいで起きた騒動なので、時の精霊(クロノス)に今後暫くの間、アリアから転移術の使用権限を奪うようにお願いしておいた。



 落ち着いたと思ったらグズり出してしまったアリアに、糖度高めな香苺(フラーグ)を差し出し機嫌を取ろうと試みる。


 樹の妖精(ドリュアス)がハウス栽培をしてくれたモノだ。

 お陰で糖度は一二を誇り、酸度は〇.五未満に抑えているにも関わらず、果肉がシッカリとしていて食べ応えのある仕様になっている。


 練乳なんて無くても充分、砂糖菓子のように甘い、一口含めば口の中が幸せになる逸品である。


 だごまだご立腹のようで、せっかくの香苺(フラーグ)はフォークで滅多刺しにされて、器の中で苺ミルクになっていた。


 見た目はアレだけど、後でちゃんと飲むなら、まぁ、良いか。

 ヘタに指摘して、怒りがぶり返してもいけないし。



 それにしても、さっきは驚いた。


 普段はカノンよりも霊力の数値が低いのに、感情の爆発と共に、一気に上昇したんだもの。


 気の昂りって目に見えるものなんだね。

 髪の毛が金色になって逆立ったら、どうしようかと思ったよ。


 俺が「スキル」で創った霊力測定器は、触れた時点での霊力を測定し、数値化するものだ。

 いずれ身体能力も測れるようにしたいと思っているが、ソレは置いておいて。


 意図的に能力を抑えて隠していれば、また、覚醒していない潜在能力を内に秘めてるならば、ソレらは探知されず数値化もされない。



 しかし鑑定眼は闇の精霊(テネブラエ)が個々の影を通して、その対象を直接読み取った情報が表示される。


 意識して隠していようが、生涯内側に引きこもって終わる能力だろうが、本人の知らない内面まで全てを探る事が出来る。


 あぁ〜、闇の精霊(テネブラエ)の力を超えるような存在は探知出来ないけど。

 そういう例外中の例外も置いておこう。



 測定器で測っても、鑑定眼で見ても、アリアの霊力はカノン以下。

 それは間違いない。



 そして体内の霊力残量がゼロになると死んでしまう事から、本能的に使える一度に使える霊力量は、どれだけ多くても全体の三分の一がせいぜいである、とされている。


 なのに今先程アリアは、感情の動きによって、その前提を一時的ながらも崩した。



 アリアは転移術を使えない。

 総霊力はあれど、それだけの霊力を一度には使えないから。


 そう思っていたのに、怒りによってその本能のリミッターが外れてしまったのだろう。



 今日の予定は方陣への霊力供給だと言っていたのに、既に彼女の霊力は半分以下になっている。

 回復薬を飲んでゆっくり休んで、やっと午後から取り掛れる位だろう。


 不慣れな事をして身体に相当な負荷も掛かっただろうし、なんなら寝ていれば良いと思う。



「連中の狙いがカノンの可能性が高いとなると、確かに一人で出歩かせるのは危ないよな。

 護衛とか付ける?」


「半端な護衛を付けられても、足手まといになるだけだ。

 ……だから俺はずっと一人で旅をしていたのだぞ」


「ぐすっ……

 お兄様、昔は少人数ですが、騎士と一緒に行動してくれていたのですよ。

 ですが彼らが殉職して以降、要らないと固辞するようになりました……」


 あぁ、魔物か何かの戦いの最中に、カノンの盾になって亡くなった人がいるのか。

 それは確かに、シンドいなぁ。



 騎士達はソレが仕事だし、カノンよりも確実に弱かっただろうから、守って死ぬ可能性も納得して、同行して居ただろう。


 しかしだからと言って、本当に目の前で死なれちゃ目覚めが悪い。

 護衛という責務は果たしたとしても、トラウマを植え付けちゃいけないよ。


 本人達はそんなつもり、微塵も無かっただろうけどさ。



 カノンより強いヤツって、ホントこの世界に居ないんだよね。


 俺は実践不足だし。

 アルベルトは力量不足だし。


 相手の生死問わずで、周囲の被害を受け考えなくて良いなら、俺が適任だろうけど。

 王都(ディルクルム)を壊すワケにはいかないでしょ。



 そうなると、精霊位じゃない?

 ただ精霊を護衛に付けるワケにはいかないだろ。


 ただでさえ俺を優遇しすぎだと言うのに。

 更に贔屓する個人を増やしたら、他の精霊達からブーイングが起こりそうだ。


 精霊の皆って、この世界の神様みたいなものなんでしょ。


 地球みたいに、神様から一切の干渉をされず放置されるのも困ったものだけど、関わり過ぎたら、ソレはソレで問題なのではなかろうか。



「俺は今日も馬車の方に行く予定だったんだけど……

 牢屋の空きがあるなら、襲撃者全部王都(ディルクルム)に運んじゃう?

 そうすればフリーになるよ」


「あら、夢魔の方々とのお約束は宜しいのですか?」


 ……そうだった、忘れてた。


 (オルトゥス)に犯罪者の大規模な収容施設がないから、夢魔のイシュク達から尋問の場所を提供して貰う手筈になっているんだった。


 その見返りとして、王都(ディルクルム)(オルトゥス)に、好きなデザインの店をプレゼントする約束をしていたな。


 なんだかんだ義理堅いヤツらだ。

 コッチの都合でキャンセルするから、報酬だけは渡す、なんて言っても、仕事もしていないのに受け取れないと言って、血涙を流す事になっても辞退しそうだ。



「いっその事、拷問をお願いする?

 夢魔なら得意だろうし」


「夢魔だとなぜ拷問が得意になるんだ?」


「何でって……ソレ、未成年者()に言わせる?」


 そんな事を朝から口に出して説明するのは、はばかられるのだが。


 いやん、アハンでうふんな、濃ゆいお話するの?

 アリア(女性)の前で??

 正気か???



 アリアとしては、大事な兄が狙われている可能性がある今、戦力が分散されるのは避けたいようだ。


 俺はカノンと旅慣れしているので、互いに遠慮も最低限しかしないし、実力的にカノンに最も近い場所にいる。

 なるべく近くに居て欲しいのだろう。



 まだ牢屋に空きはあるし、夢魔への報酬の候補地は既にピックアップも終わっている。

 実は王都(ディルクルム)の一等地ばかりなのだが、夢魔に対する兄の過去の行いへの贖罪の意味も込めて、ソレらの報酬を用意した。


 魔物の討伐依頼による殲滅作戦だった事。

 また夢魔の存在が未だに魔物分類である事から、国から表立って補償する事は出来ない。


 しかしカノンが気にしている為に、アリア個人で何かしら出来ないかと考えた結果が、今回用意した報酬なのだ。

 

 ただ受け取るだけしてくれても良い所なのだが、ソレでは納得出来ないと言うのならば、簡単な事でも良いから、適当に仕事を割り振って納得させて、何よりも兄の安全を確保したいと考えているようだ。



 机をバンバン叩きながら、すぐに手紙(シルフィード)を飛ばすか、カノンが行動を起こす前にパッと飛んで説得して来るように言った。

 淑女が聞いて呆れる振る舞いである。



「俺が戻って来るまで、不用意に動くなよ」


「……動きたくても、動けない」


 うん、そうね。

 アリアに雁字搦めにされているものね。


 ダッコちゃん人形ってあったよな。


 あんな感じで、座ってるカノンの膝の上に座り、腕どころか足まで回して椅子に固定している。

 シスコンとしては、この拘束から逃れる事はどんな高度な精霊術を使っても、困難を要するだろう。



 カノンを大人しくさせるには、とても有効な捕縛方法だと思う。


 見た目は、良いのだ。

 だがしかし、いい歳をとうに越した年齢の女性がやっているのだと考えると、少々どころか、かなり痛い。



 他者に見られる危険性は無くても、この状況はなるべく長引かせてはいけない。


 流石にアリアだって「トイレに行きたい」と言われれば、離れざるを得ないし。

 ……まさか、用を足しに行く兄にまでついて行く、なんて事はないよな。


 痛いを通り越して、ソレは最早事故だぞ。

 事件だぞ。


「なるべく早く戻るわ」


「……頼む」


 珍しくお願いをされてしまった。

 余程泣かれた事と今の状況が応えているらしい。


 それじゃあ、さっさと行ってきましょうかね。


 イシュク達が、起きていると良いのだけれど。

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