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今回だけ

 第二階層を徘徊して魔物を狩って俺たちは引き上げる。

「けっこう獲物多いな」

「三人いると楽になりましたね」

 俺とポリーヌが満足そうに話し合っていると、ネディスは唖然としている。

「……星級や天級になったやつらの新人時代ってこんな感じなのかね?」

 いくら何でも大げさだと思った。

 まあ人と比べたことがないから、他の人のもぐりっぷりは知らないんだが。

 アイテム袋から取り出したものをスキンヘッドのおじさんに提出する。

「ふむ。全部であわせて六十万ゼルクってところか」

 前回よりはあがったな。

 慣れてきたのと人が増えたおかげかな。

「取り分はネディスが四十万、俺とポリーヌが十万でどうだろう?」

「もらいすぎだ!」

 ネディスは驚いて反対したが、ポリーヌは賛成する。

「そうですね。大半はネディスさんがお一人で倒したものですし」

「待ってくれ。それはまずい」

 ネディスが嫌がるので、俺は言った。

「今日だけだよ。明日からは三等分する」

「……分かった」

 結局、ネディスはあきらめて俺の意見に従ってくれる。

 施しをするのはよくないってことなんだろうけど、ケースバイケースでいいと思うんだよな。

 ネディスに余裕がないのは事実で、これを放置しておくと今後焦って失敗するかもしれない。

 そうなったら俺やポリーヌだって困る。

 そのリスクを前もってつぶしておくというわけだ。

「どっちが経験が上のベテランなのかわからんな」

 スキンヘッドのおじさんが面白そうに笑い、ネディスは悔しそうに顔をしかめる。

「ふがいないかぎりだ」

「ここから挽回すればいいじゃないか」

 俺はそう思うし、ポリーヌはうなずくが、ネディスは諦めた顔になった。

「お前らみたいな新人が他にもいてたまるか」

「たしかにな。初めて見たわ」

 スキンヘッドのおじさんもネディスに賛成する。

 ポリーヌみたいなのはめったにいないのか。

 俺みたいな前世の情報持ちがそうそういないのは分かっている。

 いてたまるかとすら思う。

 受付に行くとペネロペさんに声を掛けられる。

「どうだった? 三人で組んでみて?」

「ネディスはけっこう優秀だからしばらくお世話になれますね」

「……俺、ついていけるかちょっと不安になった」

 俺とネディスの返事に彼女は苦笑した。

「普通は逆なんですが、ロイさんたちは上の評価が高いのよねえ」

 俺の実力を見透かしているかのような人たちだったもんな。

 それでも特別扱いはしないというのは公正だと思う。

「とりあえず明日から薬草の依頼採取をこなしたいんですが」

「薬草だけでいいの?」

「魔物はそのうちたまっていくかなって。他の納品系依頼もあればうれしいのですが」

 ネディスと話した時と同じようなやりとりがあった。

 納品系依頼を五種類、三十回以上という条件のほうを先に達成したい。

 ジェヴォーダン級の魔物なら、第十階層をうろついていればそのうち倒せるだろうからな。

「ふうん。焦ってないし、思い上がっているわけでもない。いい傾向ね。本当に新人かしら」

 ペネロペさんはそう言って、依頼書をまくっていく。

「熱石、火赤草の依頼があるわね。どうする?」

 彼女の問いにネディスが応じる。

「どっちも第四階層で採取できるアイテムだな。まだそこまでハードルは高くないと思う」

 ジェヴォーダンが出るのはもっと下の階層らしいしな。

「じゃあその二つを受けます。依頼の期限ってありますか?」

「十日後までにできればって言われてるわ」

 十日後か。

 よっぽどひどいトラブルに巻き込まれたりしないかぎり、十分達成できそうだな。

「十日後なら無茶でもないな」

 ネディスは安心している。

「明日、速めに集合して、一気に第四階層に行ってみないか?」

 俺の提案にネディスは少し考えこむ。

「まあ大丈夫だと思うが、無理だと思ったら引き返すことを考えてくれるか?」

「もちろんだ。明日は第四階層まで一気に行けばどうなるかを試したいんだよ。期限があるなら、明日中に依頼を達成しなくてもいいし」

 俺たちはまだのんびりと徘徊しかしていない。

 強行軍的なもぐり方をしたらどうなるのか、一度試しておきたいのだ。

「まあ、どの程度無茶ができるのかは知っておいたほうが、生存率という意味では安心できるな」

「余力を残した状態で撤退するというのであれば、反対しません」

 ネディスとポリーヌは賛成してくれたので、方針は決まる。

 俺としては自分を含めた三人の体力と消耗の早さを把握したいんだよな。

 たぶん二人とも言わなくても分かっているだろうが。

 

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