新しいメンバー
協会長の部屋を辞去した俺たちは一階のカフェラウンジのところで今後の相談をする。
「よければ俺を入れてくれないか? 山級だったから少しの間は戦力になれると思う」
「ネティスのジョブは?」
「ローグだ」
俺の問いにネティスは即答した。
これには思わずポリーヌと目を合わす。
「ローグがほしいと思っていたところで、助けた相手がローグだったなんて上手すぎて気持ち悪いな」
「正直同感です」
ポリーヌが苦笑しながら賛成してくれる。
「まいったな」
ネティスも苦笑した。
「二人だけのパーティーで片方が戦闘員、もう片方がヒーラーだったらローグは必要だと思ったんだが」
「いえ、必要です」
な、とポリーヌに同意を求めると彼女は首をかしげた。
「ロイさんが必要なら私に異論はありません」
「二人で決めようよ?」
俺が困惑すると、彼女は笑う。
「ロイさんがリーダーですし、ロイさんが必要な戦力を集めるというスタンスのほうがいいと思いますよ。お気持ちはありがたいのですが」
「強いわりに謙虚で思いやりもあるんだな。そういうリーダーなら俺も安心できるってもんだ」
うーん、何か違うような気がする……。
しかし上手く言葉にできずにいると、ネティスが言う。
「ロイはいいやつだとわかったが、リーダーはある程度自分のワガママを通していいぞ。みんなの意見を聞いていたら収拾がつかなくなって、パーティーが崩壊しかねないからな。今は二、三人だから認識のすり合わせだって楽だろうけど」
ああ、そういうのはあるな。
前世で飲み会の幹事をやった時、みんなの意見を聞いてたら死にそうになるくらい大変だった。
ワガママを平気で言い放題な連中相手だと、幹事ってただの罰ゲームだよな。
「そのかわりリーダー方針と合わないと判断した場合、パーティーを自由に抜けてもいいことにすると、みんなのストレスは軽減できるでしょう」
ポリーヌはそう言うが、経験豊富なバスターみたいな意見で、この女絶対新人じゃないよなと思った。
ネティスも俺と同じような表情をしている。
ポリーヌが俺たちの視線の意味に気づかないほど鈍感だとは思わないが、そ知らぬ顔を決め込むつもりらしい。
「あんまり入れ替わっても連携に困るから、できれば中核メンバーくらいは不動でいきたいな」
「それは否定できませんね」
ポリーヌとネティスは賛成してくれる。
「細かいことは少しずつ決めていくとして、まずは登録変更からかな」
ネティスはそう言って受付を見た。
「その前にネティスさんはパーティー解散届けを出すのが先では?」
ポリーヌに指摘されて彼はうなずいて立ち上がる。
「ちょっと行ってくる。新しいパーティーを見つけた報告もするから、二人の出番はすぐだが」
「私はここで待っていますね」
俺が行くべきだとポリーヌは笑顔で言う。
まあ新規メンバーを入れるだけならたしかに彼女は必要ない。
「だけど、ここで一人でいたらあんたナンパされるんじゃないか?」
意外なことにネティスがそう言ってくる。
「お気づかいなく。あしらうのは慣れてますので」
ポリーヌは予期していたように答えた。
口調はやわらかいが見えない膜がある気がする。
ネティスはあっさり引き下がり、俺たちは二人で手続きを済ませた。
山級に昇格できたし、雲級の昇格条件も教えてもらえ、さらに新戦力も入った。
あとは進んでいくだけである。
第一章完結です。




