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はじめての仲間

 翌朝、俺は朝食をすませて弁当を受け取り、ダンジョンに出発する前に協会に顔を出した。

 そんな簡単に見つかるとは思わなかったが、一応パーティーの募集に応募があったか確認しておきたかったのだ。

 受付には昨日のペネロペさんがいて、笑顔で迎えてくれる。


「おはよう。今日さっそくダンジョンにもぐりにきたのね?」


「はい。あと、仲間募集の件なんですが」


 一応言ってみると、ペネロペさんはうなずいた。


「ロイくん、運がいいわね。ヒーラーの子がひとりあの後やってきたのよ。前衛職をこなせる人がいいんですって」


 たしかに幸運だなと思っていると、彼女はただしと言った。


「その子は女の子なのよね。年は君と同じくらいかしら」

 

 えっ……女の子なのかあ。

 でもヒーラーの仲間は欲しいんだよな……えり好みできる立場じゃないというのもある。


「分かりました。ひとまずその子と組んでみます」


「物分かりがよくてよろしい」


 ペネロペさんはそう言うと、一枚の紙を差し出してくる。


「その子が来るまではもう少し時間があるでしょうから、あなたが受注できるクエストでも見ておけば?」


 受注クエストか。

 迷宮にもぐるついでに達成すれば、その報酬がもらえるのだ。

 最低ランクの最初は大した依頼がないけど、生活費を稼ぐのにうってつけと言える。

 今あるのは「ホラホラ草」「フワフワ石」の収集か……ホラホラ草しか分からないな。

 魔物の素材買い取り表も一応記されている。

 ギルドは一括して買い取りできる分、料金は安くなりがちだ。

 自分で売却先を開拓しないと安く買いたたかれ続けることになるかもしれないが、個人では買い取りが難しいものでも買い取ってくれるのがギルドの強みである。

国が出資している組織だから、国にもパイプを持っているのだ。

 国家権力との仲介組織でもあると覚えておこう。


「あ、ポリーヌちゃん、ちょうどよかったわ」


 ペネロペさんが俺の後ろに声をかけたので、振り向くと白いキャップに白い清楚な服を着た同じ年くらいの女の子がいる。

 身長は百五十センチくらいで、背丈と変わらない薄い茶色のロッドを持っていて、金色の髪に青い瞳、白い肌の美少女だ。

 え、こんな子が迷宮にもぐるの……? と一瞬思ってしまった。


「おはようございます」


「おはよう。ここにいるロイくんがヒーラー募集を出していたのよ」


「あ、そうなんですか」


 ポリーヌの目がこっちを見る。


「初めまして。神官見習いのポリーヌっていいます」


「初めまして、ロイです」


 ユーグに教わった潜在魔力を探る技術を使ってみると、けっこう豊富な魔力を持っているようだった。

 この子かなりの使い手みたいだけど、見習いってマジか?

 


「えっと、私と組んでもらえるのでしょうか?」


「お試しでなら。合うか合わないか、まずは試してみないとね」


「よかった!」


 ポリーヌはにっこり笑う。

 ベレンガリア様が輝く太陽のような笑顔だとすれば、彼女の笑顔は野に咲く大輪の花のようだ。

 ……ベレンガリア様に悪いと思って思考を切り替える。


「話は成立ね」


「ギルドに申請ってしなくていいんですか?」


 微笑ましそうに見守っていたペネロペにたずねた。


「ええ。暫定的な場合はね。正式に組む気になったら、その時に申請してくれたらいいわよ」


「そうでしたか」


 いちいち面倒な手続きをしなくていいというのは助かる。


「ロイさんですか? どういったことができるんですか?」


「戦士と魔法使いのダブルさ。信じてもらえるか分からないけど」


 俺がそう言うと、ポリーヌは青い目を丸くしてまじまじと見つめた。


「たしかに鍛えられている感じに加えて、魔力も澄んでいる上に練られていますね……」


 一流は一流を知るという。

 俺たちが一流と言えるのかは分からないが、お互いの潜在的な実力はある程度探りあえたと思う。

 ……何でこの子がフリーで迷宮にやってきたんだという謎は残ったままだが。

 さすがに現段階じゃ教えてくれるとは思えない。


「じゃあさっそく行ってみよう」


「はい」


 ポリーヌは少しも緊張したところがなかったし、歩く動作的におそらく護身術的な何かをけっこうやれそうだ。



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