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――――――
チョコミントを頬張りながら、ストロベリーチーズケーキを食べる真理亜を見た。
キャラ的に見ればよく食べてるものが反対だって友達に突っ込まれる私たち。でも私は辛いのとか好きだけど、真理亜はダメで超甘党だったりする。
「おいしいね~」
最初に私が笑顔でそう言ったのに対して、ぽつりと「うん」とだけ言った真理亜。これは、完全におかしい。
ってか、真理亜との付き合い史上初めての事態だ――と私は重く受け止めた。もう何も言わずに真理亜の出方を見よう、そう決めて何も言わず私がもう一口食べたその時。
「あのさ、創……、あ、えと、モッカなんだけど」
「……は?」
想像もしてなかった人物の名前が突然挙げられて、驚きのあまり勢いよく顔を上げると真理亜を凝視した。
モッカ……というのは、私たちの同中の男子で、本名『木下創』。みんなの間では、モッカと呼ばれていて結構目立つタイプだ。――というよりも、我が中学の生徒会長様をしていた。
特段目立つことのない私とは縁遠いんだけど、3年間クラスが同じだったこともあって、たまーにじっくり話したりすることもある。
なぜかそれができる人間、それがモッカだ。
でもこのモッカ。真理亜とは仲が悪い――というか犬猿の仲? で。
口を開けば喧嘩する、って感じなんだ。
だから真理亜の口からわざわざモッカの名前が出てくるとは思わなかった。
高校には偶然にも同じところに入学したけれど、モッカとはクラスが離れたから入学してからは話もしていなかった。
だから今モッカの話題が出てくる要素が微塵もなかった私にとって、なぜ? の疑問一色だった。
それなのに――
「あの、さ。つ、付き合う、ことに、なっちゃったり、して……」
「……え?」
思わずボロリとアイスを落としそうになり、慌てて両手で持った。
アイスのせいじゃなく、なんとなく緊張で震えだした唇を舌でペロッと舐めて口を開く。
「嘘、とか、冗談、とか……」
「うん、マジ」
はぁーーって大きなため息を吐き出す真理亜。私はびっくりし過ぎて、目が乾燥しそうなくらいに開きっぱなしだった。
「こないだ、なんだけど。入学式の後、コクられて」
「う、ん」
告白してるはずの真理亜よりも、ドキドキしている私。
次に彼女が発する言葉が何かと思うだけで、手が震えそうになる。
唇を頑張って閉じて相槌を打つと、真理亜は突然スーハ―と深呼吸を始めた。
「でね。……キス、された」
「キッ……!?」
「ばっ!!」
キス!? と叫びかけた私の口を、馬鹿と言う勢いと同時に立ち上がって塞いだ真理亜。
私はただ目を見開いたまま、ついにアイスのコーンを机の上に落下させた。見事、マンガのように、べしゃっと。
「もー、何やってんだか」
なぜか私よりも冷静な真理亜が、塞いだ手を離してペーパーを取ってきて、さっさときれいに片づけ始めた。
私はその様子を見ても全く起動しなくて、ただぼんやりと見つめている。
――キス。真理亜とモッカが……しかも、コクられたその時に!?
正直、自分と比べてしまう。
私なんて、好きになって付き合って。それで合格発表も合わせたら3度のデートをした。
指を絡めて歩くだけでまだドキドキの私。額の口づけられただけでも、それを思い出しただけでも倒れそう。
それなのに。
真理亜、キス、しちゃったんだ……
それが恥ずかしいのか羨ましいのか、わけのわからない感情がこみ上げてきて私はシュンと項垂れた。
ずっと一緒だった真理亜。
その真理亜が、私より一歩先を行ってしまった――そう感じた。
それは悔しいというよりなんだか寂しい気持ちで、目が合わせられなくなってしまった。
告白した真理亜のがドキドキしてるはずなのにそれ以上にソワソワな私は、もじもじした気持ちを指先を弄んで表現していた。
そして真理亜もまた無言になって、コーンに巻かれていた紙をしきりに丁寧に折ったり戻したりを繰り返していた。
さすがに気まずさが蔓延してきたころ
♪~~♪~~
真理亜の携帯から着信音が響いた。
私が購入してもらったと同時に、真理亜も買ってもらった携帯だ。
お揃いのそれを鞄から取り出して、真理亜は画面を見つめていた。短い音だったからメールだったようだ。
「っ―――。ばっか」
画面を見ながら真っ赤になる真理亜。
零れ出た言葉は悪いけど、見たら分かる。恋する乙女の顔、だ絶対に。




