86.ビー、ちょっと、ドキドキお風呂講座なの。
早く本編進めとお叱りを受けそうです。
「さあて、海ちゃん流~入浴講座だよ~。まず、バスルームに入ったら、湯船からお湯を掬って2杯ほど体に掛けてね。ここ重要だよ~、テストにでるよ~」
お湯を数杯掬って、流す事は重要である。もともとはバスルームの室温を高める為にひつような行為で、特に冬は重要である。着こんだ状態から、裸で、冷たい浴室に入るので一気に体温も奪われ、心拍数も上がってしまうのだ。ついでに掛け湯も行えば一石二鳥である。
「まだ、湯船に入ったら駄目だからね~。先に体を洗ってからね~」
一般的には、そのまま湯船に浸かって温まってから、体を洗うところであるが、海流では先に体を洗うようである。体の汚れを先に落として、湯船を清潔に保つと言うこ となのかもしれない。
体を温めて、毛穴を開いてから洗うと言う事がまことしやかに流布されているが、短時間、湯船に浸かったくらいでは毛穴は開かない。逆に、体温より高い湯温の影響で、ぎゅっと、閉じる方向に働くのである。毛穴を開くのであれば、水等の体温より低い温度のものを掛けるほうが効果的である。
「はい、座って、座って。この椅子、ビーちゃんここに座って」
海は、両膝を付いており、自分の前に椅子を起いて、ぽんぽんと椅子を叩いて、そこにビー誘う。おどおどと、おっかな吃驚と言った感じで椅子に座るビー。小さなタオルを精一杯体の前に拡げて持ち、それが最後の防衛ラインとでも言っているようだ。
「はい~、目をつぶってね~ 」
頭から容赦なくザバ~とお湯を掛けた。少し熱いお湯であったが、大地は緊張しているのか、固まったまま微動だにしない。その様子を見て、くすりと笑う海。
「お客さん~、こお言うお店、初めて~?」
「はひっ」
海が冗談交じりにそんな言葉を掛けたが、ビーからは素っ頓狂な声が戻ってきた。
(やっぱり、緊張しているのね、ふふふ)
海はビーの背骨に沿って、うなじから腰のあたりまで、つつ~となぞった。
「うひゃい」
大地は思わず、そんな悲鳴を上げる。
「くすりっ」
海がビーごしに手を伸ばして、シャンプーを手に取る。大地は目の端に映った双丘にますます頬を染める。ないしょではあるが、大地は透視 でたまに見ているのだが、透視で見るものと、ダイレクトに目で見るものとでは感じ方が違うのだろうか。
「あ~、女性用、切れてるじゃない~、男物しか無いの~、しかたがないわね~。ビーちゃん、ちゃんと買っとかないと駄目だよ~」
そう、シャンプーはメンソール系のリンス入りの男用のものしかなかった。シャンプーがあるだけ、まだましとだと言える。大地にとっては、固形石鹸で十分であった、上から下まで洗ってしまうので、シャンプーはほとんど減っていなかった。逆に、固形石鹸で洗ったあと、髪がぎしぎし言うのは汚れがきれいさっぱり落ちた結果で、逆に良いとまで思っているふしがある。
「もう、しょーがないなあ」
しゅこしゅこと、ポンプでシャン プーを手に出し、少し泡だててから、ビーの髪に泡を載せて行く。前から後ろへ、髪を梳く様に指を滑らせ、時折、止まってはしゃかしゃかと、泡だてる。生え際には特に念入りに行う。痛くない様、指の腹を使って小さな円を描く様にゆっくりゆっくりと汚れを浮かせていった。
泡立てや、髪を梳く動作は、片手で行う。もう一方の手は、常に頭の反対側に添えられており、絶妙な力加減で支えている。しばらく、そんな作業を続けてから、今度は頭を左右の手で、挟みこむように横方向から、少し力を込めて頭頂部に向かって、滑らせていく。大地は頭全体が上へと引っ張らり上げられるなんとも言えない心地よい感覚を覚えた。何時しか、手の動きに合せて、息が漏れていた。
「はぁ~、 う、はぁ~」
「どお?ビーちゃん、気持ち良いでしょ。息がもれちゃって、もう、海ちゃんの虜ね。さあ、流すわよ」
少しだけ温度を下げたシャワーが頭に掛けられる。ただ、濯ぐだけでなく、ここでも海はビーの髪の中に手を刺し入れ、髪を梳くように指を流す。
「はい、次は体を洗うよ~、あ、前は自分で洗ってね。いけない扉を開くと不味いからね。うん、ビーちゃんとだったらいいかも、この前のこともあるし・・・」
海は前にふざけて?いやいや、結構本気で、ビーの胸を揉んだことがあったのだが、反撃を受けてあっさりと陥落した経験があったのだ。一時期、ビーに対する呼び方が「ビーちゃん」から「ビーさま」に変わっていたことは記憶に新しい。
「 ビーさま」と呼んでいたことを思い出して、すこし、頬を染めながら、あらぬ方向を見つめていた海であったが、首を左右に振り、気を取り直して、タオルを泡だて始めた。
「ねえ、ビーちゃん、体、洗う時、何処から洗う?」
海はビーの肩口に泡だてたタオルを宛てながら、そんな事を聞いている。
「ん?え~と、左手からかな」
「え~とね、体で、一番始めに洗う部分はね、その人の一番自信のある部分なんだって、知ってた?良いと思っているから一番に綺麗にするんだって」
「ふ~ん」
「私はね、まず、シャワーを出して顔をごしごしってまず洗うんだけどね、でも顔に自信があるなんて、思ってないのにね、あ、悪いとも思ってないよ、悪いとはね。でも ね、ちょっと吊目すぎるかなとは思ってるの」
海は結構自信があるようだ。
「左手が自信って・・・」
ビーはなんとも言えない顔をしていた。
海の手は何時の間にか背中を終り、ビーの手少し持ち上げ、脇から前へと廻り込もうとしていた。
「あ、あ、海ちゃん、もう、そこからは、いい・・・から、くぅ」
「ん、そう、・・・残念」
大地も少し、残念な気がしたが、新たな門を開く訳にはいかない。その世界に飛びこむことには、吝かではないが。寧ろ、突き進んでみたいものであったのだが、いろいろと問題が生じるのは目に見えている。
「ふぅ~」
大地はひとつ、ぴんくがかった、ため息をついてから前を洗いはじめる。当然 、その顔は真っ赤である。暫くしてから、海から声がかかった。
「はい~今度はビーちゃんの番~、頭はいいわ、背中、流してもらおっかな~」
くるりと背中を向ける海。髪は、いつもツインテールをしているのだが、今は二つに分けて束ねていたゴムを外して片側に纏めている。うなじがほんのりピンクに染まっている。椅子はビーが使っているので、ペタンと浴室の床にお尻をつけ、崩れた胡坐のような状態だ。若干、前かがみになって、背骨が浮き出た姿はなんとも艶めかしい。脇から少し見える膨らみに、ふらふらと吸い寄せられる手を止めるのに相当の精神力を要した。
大地は、務めて、意識しない様にタオルに石鹸を擦りつけている。まるで、全ての元凶がその石鹸にあるか のようだ。ごしごしごしごしごしごし・・・。
「ビーちゃん、まだ~」
「ひゃい」
大地は恐る恐る泡だてたタオルを背中に当てる。
「これは、かぼちゃ、これは、かぼちゃ。白いかぼちゃ。手触りのいいかぼちゃ」
ビーの口から、呪文が漏れる。
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横道それてばかりですいません。




