82.ビー、これが、存在確率拡散砲じゃ。
ずいずん間が開いてしまってすいません。
ちょっとだけ更新です。
魔法の表現は難しいです。
「マツジュよ、これがなにか判るか?これはのう、『存在確率拡散砲』といっての、狙った物の因果律を操作して元から無かったことにしてしまう物よ」
(ふふふ、驚いておる、驚いておるのう。これは『存在確率拡散砲』とは名ばかりで、実際には因果律の表層部しか操作できないのじゃがな、じゃから『見かけの存在確立操作機』と言ったほうがいいかもしれんがな)
ミネラは、にやりとしながら話を続けた。
「窓の中に赤い者たちがみえるじゃろ?この者たちは自分の星諸共、消滅してしまった者たちの末裔じゃ。因果律への不完全な干渉により、時の狭間で漂っておったのをわしが見つけて、我が内包する恒星系に住まわせておるのよ」
(母星消滅は別の要因じゃがな、こ奴らは機械の不備のおかげで逆に助かったと言えるのじゃ。多分、戦争じゃろうが、この装置で相手そのものを葬り去ろうとしたのじゃが、不完全な、因果律操作により、自身をも消し、時間停滞状態の彼らをわしが見つけ、保護したのじゃ。因果律操作は難しいからのう、へたに操作すると原因である当事者自身が、消えるのじゃから)
マツジュには因果律?恒星系?と言った、良く判らない単語はあるものの、消滅という言葉で、なにかしらとんでもない事が出来る物であることだけはわかった。また、その物体から発せられる、重低音やバチバチと言う放電現象はいかにも恐ろしげで恐怖を感じずにはいられないものであった 。
(あの小さな赤い人たちは、精霊かしら?ミネラさまの眷属?)
「それでは、名残り惜しいが逝くがよい」
(まあ、お仕置きの為、少しだけ少々因果律に干渉して数時間、彷徨っ てもらうだけなのじゃがな。装置の不備もわしが手を入れて直してやったので、問題なかろう)
ミネラは空へと向けていた手をマツジュに向かって降りおろす。辺りに響いていた音が、益々大きくなり、そして、突然にふっと消える。砲身先端部分に光の凝縮が始まり、両側で回転する物体から、ひと際強烈な放電がその光へと放たれる。
「あ、これはまずいのです」
マツジュは、すぐさま、ポケットに仕舞っていた珠を取り出し、装置に向かって掲げる。
「偉大なる門を司どりし精霊よ、珠に込められし力により、ここに、異界への扉を開け。ゲート!」
自信の魔力は既に底をついている為、珠に込められた力を使う。珠には、まだ少しだが、力が残っていた。元 の世界に帰る為には、明らかに籠められた魔力が足りない為、出し惜しみする必要はない。どうせ、帰れないのだから。
それでも、マツジュはちらっと、珠を精霊に返す時の事を考え、苦笑する。そもそも、今を乗り切れないと、如何ともしがたい。
ミネラの目の前に、赤いバラが巻き付いた、豪華な白い門が地面から湧きだす様に現れ、そして、その扉が静かに開いていく。
突然に現れた門に、驚いたような顔をしていたが、すでに放射体勢に移行していた為、なにもしなかった。
砲身に発生していた白い光に放電が当った後、光が黒へと変化する。その黒い光が、ひとつビクンと脈動をした後、マツジュに向かって放たれた。
放たれた黒い光は、 間に出現した門へと突き進み、門に接触した瞬間、眩い光が門から放たれ、そのまま門の中に吸い込まれるように消える。
マツジュは、その光景に驚き、尻餅を付いている。
「むぐっ」
別の門が突然、ミネラのすぐ傍に現れ、こそから先ほど吸い込まれた黒い光が濁流となってミネラに降り注ぐ。
「なんと、むむむ」
吃驚して思わず声を発したミネラ。『存在確率拡散砲』による因果律への干渉に、すぐさま対抗操作を行う。それでも、数瞬の遅れから、少し色身を失いグレー化したミネラであったが、黒い光に晒されながらも、楽しそうにニコニコする姿が、そこにあった。
ミネラと黒い光が接触した瞬間、因果律への双方からの干渉の結果、ミネラを中心にして四方八方に爆風が吹き荒れ、マツジュは成すすべもなく吹き飛ばされた。
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