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71.ビー、怪獣の着ぐるみパジャマは尻尾がポイントなのよ。

体を入れ替えた大地、お楽しみはこれからだ。

* * *


 ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピッ、がちゃ。


 可愛い手が布団の中からにゅ~と伸びて、枕元にある目覚まし時計を少々乱暴に叩いて止める。


「おう、朝か~、あふ~むにゃむにゃ、ビー、朝やで~」


 怪獣を模したきぐるみ状のパジャマがごそごそ動き出す。小さな尻尾が右へ左に揺れて可愛らしい。


「おい、ビー、朝やで~、朝~、あれ?」


 横には布団にきちっと乱れなく、すぅすぅと寝息を立てている大地の姿が見える。


「ん?あれ、おかしいなあ、なんかへんやで」


 可愛らしい声が疑問を告げているが、その声に答える者はいない。


 布団の上に、ちょこんと胡坐をかいて座り、小さな手が頭の後ろをぼりぼりと掻いている。非常に違和感ありありだ。


 寝ている大地の眼がぱちりと開いた。その目が布団の上で不思議そうな顔をしているビーの姿を捕らえる。


 大地の口が開く。


「おはようございます。今日もいい天気の様です ね」


 まだ、眠たいのか、ごしごしと両手で目をこすっている。如何にもまだ寝むそうだ。


「あれ、俺?俺がしゃべってる」


 怪獣の着ぐるみは、まだ寝ぼけているのか、良く判らない事を口にしている。


 くすりと微笑む大地。なんとも楽しそうだ。


「混乱されるのも無理はありませんわ、大地様。今、私どもが今大地様の体のアクセス権を確立させて頂いております」


 良く判らず、言われた言葉をオウムの様に繰り返すビー。


「アクセス権?確立?」


 今までと同じ顔なのにどこか妖艶な雰囲気が漂う大地。


「そう、私と大地様は深い部分で繋がっています。スーパーコアを介して。それぞれのアクセスする体を交換しております。大地 様は昨日のことはどの程度覚えておられますか?」


 半分寝ぼけているようで、きょろきょろしている。


「昨日?昨日は・・・、たしか、急に音が無くなって、そしてなんか沢山の声というか、呟き?が聞こえてきて、頭が一杯になってもうたんや。たぶん、気を失ったんやと思うんやけど・・・、よくわからんわ、あ、 最後にビーの顔を見た気がするけど夢やったんかなあ」


 正解ですとばかりに大地ツバイが微笑む。


「で、これはど~なってんやろ、説明頼むわ、え~と、ツバイさん?俺、今、ビーの体ん中なんやなあ。俺の中にはツバイさんが居るんやろ」


 大地ツバイの笑みが大きくなる。


「ええ、その認識で合ってます。それに、昨日の大地様が気を失う処には私どもビーも駈けつけました。大地様との接続が不安定になったので文字通り跳んで行ったのです」


 大地はツバイから昨日のことを掻い摘んで聞かされた。


「ああ、そうやったんか、観察者の知恵熱か~、そらまた、命に関わるなんて嫌な知恵熱やな~、で、この体が入れ換わっている事についての説明が まだなんやけど」


 大地の顔が少し、にやりとした。


「趣味です」


 予想外の答えに、何を言われたのか理解できないビーの中の大地。


「え?」


 口を半開きにして呆けた顔は、いかな可愛いビーの顔であってもちょっと残念だ。


「一度、男になってみたかったのです」


 さらに大地の顔をしたツバイは続けた。


「は?」


 重ねて、大地の顔をしたツバイは続ける。


「殿方の体に興味があったのです」


 中身が大地のビーから表情が消える。


「・・・」


 もうここらが限界と悟ったのか大地の顔をしたツバイが告げる。


「冗談です」


 あきれた顔のビー、中身は大地だが。


「ツバイさん 、俺の体で真面目な顔で言われると冗談かどうか判らんわ」


 怪獣の着ぐるみパジャマの可愛い顔した関西弁の突っ込みとサラリーマン風のすこしお姉ことばのボケ、異色コンビの漫才だ。


「まあ、昨夜の内にいろいろと堪能させて頂きましたので、あながち間違いではありません。それはもういろいろとね、うふふ」


 少し顔が赤くなる。


「え~、何をやったの~ツバイさん」


 咳払いをひとつしてから、何事もなかったように話しを続けた。


「こほん。理由でしたね」


「流された~」


 不満顔のビー。口を尖らせて、ちょっと可愛い。中身が大地でもだ。


「大地様のスーパーコアの調節の為です。私どもが制御したほうが速く済みますので 。その間、ビーの体を使って頂いて、中学生生活でも楽しんで頂こうと思いました。別に、ビーのドローンの制御も覚えて頂こうという意図もあります」


「ドローン?」


「そう、大地様なら、数機のドローンの制御ができる筈なんですが、まだその発現に至っていません。ビーの体を使えばその制御を楽に覚える事ができるはずです」


「そうやったんや~、判ったわ」


「それに、大地様が倒れる事を未然に防げなかったお詫びも兼ねています。大地様も男の子ですから、興味が御有りのはずですよね、女の子の体。それも、ビーの体なんですから」


「いや、それは」


「興味が無いとは言わせませんよ、だって、私、今、大地様の体を使っているんですもの。ここで問題 です。記憶は何処にあるのでしょうか?言わなくても判りますよね。今、その記憶を見放題なんです。大地様がそっとビーを透視してたなんて 記憶、どこかにあるのでは?」


「!!!」


「そうと決まったら、諦めて、楽しんで下さい。早速ですが、まずはシャワーを浴びて下さい。このままでは学校に行けませんからね。まずはシャワーを浴びてさっぱりしてから登校です。あ、そうそう、もうじき帝様が迎えにきますので、それまでに着替え済ましちゃって下さいね。昨日のうちに連絡しときましたので、うふふ」


 大地は退路を絶たれたように感じていた。畳み込むように言われた数々の事が頭の中でぐるんぐるん廻っている。


 バスルーム前で意を決した大地はするりと怪獣着ぐるみパジャマを脱ぎ棄てる。さすがにショ-ツに手を掛けた時はドキドキしながらも目を瞑った体勢で躊躇していた、しばらくしてから、 動きがないと業を煮やして、入ってきたツバイにお尻をペチンと叩かれて慌てて下ろし、バスルームに消えて行った。


 その後、中の様子は湯煙りで伺い知ることはできなかったが、時折、「うぉ~」とか「ひゃっ」とか「あん」とか聞こえてきたので、楽しんでいるようだった。


 シャワーで汗を流して、少しポ~となっている中身が大地のビーがバスルームから出てきた。上気した顔がなんとも色っぽい。ちょっとふわふわした感じで、上の空である。


 そ~と、背後から忍び寄る、大地の顔をしたツバイ。耳元に口を寄せて小声で囁く。


「大地様、先ほどはなにやら、いろいろとバスルームから、ビーの普段からは想像もつかない声が響いていましたが、相当楽しまれたご様子 。堪能されましたか?」


「綺麗やった~、すべすべで、柔らかくて、え、いやいや、しらんで。見てへん、見てへんで」


「そお言うことにしておきましょう。では、こちらに」


 ぽたぽたと水を滴らせながらリビングに移動する二人。大地の顔をしたツバイに、言うがまま、成すがままの中身が大地のビー。


 バスタオルで全身くまなく拭かれる。髪の毛も、わしゃわしゃと少々荒っぽいが拭かれた。大地は子供のころの事を思い出していた。


(こんな風に、もう少し乱雑やったけど、頭拭いてもらったなあ)


「はい、大地様、足を上げて下さい」


 見ると、足下でショーツを手で広げて穿かせようとしていた。大地は小さい子になった気分だ。


「ツ、ツバイさん、穿けます。穿けますから」


「そうですか?でもこれは付け方、知らないでしょう?逆に知っていたらちょっと引きます」


 そう言って、見せたのはブラだった。確かに引く。むろん、大地は知らなかった。


「は~い、向こうを向いて少し前かがみになって、腕通して下さ~い」


 ちょうど、その時だった。玄関の扉が前触れもなくがちゃりと開いたのだ。


「おはようございま~す。ビーお姉さま、今日はいい天気で・・・」


 一瞬にして凍りつく帝。


「あ」


 見ようによっては、大地がビーを襲っているように見える。


 ビーは今、ショーツしか着けておらず、辛うじて、全裸ではないが、殆ど、すっぽんぽんだ。 あろうことか、ブラの肩紐には大地の手が掛かっており、正に今、背後から襲い掛からんとする状態に見える。ビーの顔も上気しているのか、赤く、少し涙目になっているように、帝の目には見えた。


「な!なななななな、何をしているんですか~。お姉さまに不埒な行い、許しません」


 帝はすぐさま、何時もの愛用の木刀を取り出し、大地に電光石火の一撃を加えんと走り出し、その鋭い切っ先を突きだした。大地の顔をしたツバイは、ひょいっとばかりに、一見、無造作とも思えるように、付きだされた木刀の刃を横から、とんっと、突き、その進む方向を変える。


 驚愕に歪む帝の顔。まさか、切っ先の方向を変えられるとは思ってもみなかった。大抵の者はその初撃で沈むのである、それ程鋭い突きだったのだ。方向の変更を余儀なくされたが、勢いそのままに体を1回転させその遠心力を利用し、更なる一撃を加えんと試みたが、大地を見失う。


 大地は帝の背後に回り込んでいたのだ。帝の背後から両肩をがっちりと掴む。


「帝さま、落ち着きましょう」


「なにを」


 その様を一人唖然としながら取り残されているビー、いや、中身大地のビー。


「あわわ」


「離しなさい。如何に、ビーお姉さまの想い人だとて許せません。あ、あんな、破廉恥な」


 帝は強引に手を振りほどき、木刀を振り抜いた。それは予測していたのか、難なく距離をとる。


「誤解です」


「誤解もなにもありません。現に、ビーお姉さまは裸じゃないですか。なにをしようとしていたのか明白です」


「これは、聞く耳ありませんね、大地様、大変、申し訳ありませんが、あとのフォローよろしくお願いいたします」


 そお言い残し、大地の顔をしたツバイは扉から出て行った。


「あ、貴方、まだ、話は終わっていません」 


 帝も追いかけて行ったが、見失った様で直ぐに戻ってきた。


* * *

お読みいただきありがとうございます。

さてさて、今後どうなることやら。

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