37.ビー、ミネラの武勇伝を聞く。
宇宙人の感覚はちょっと不思議です。
ミネラたちが大地の元に来てから2日挟んだ次の土曜日、大地だち一行は海の家に来ている。
2日間の間なにをしていたかと言うと、大地はしがないサラリーマンなので会社へ、刹那とビーは学生なので大地の家でごろごろ、ついでにミネラのごろごろしていた。
刹那たちの退屈度がMaxになろうとしていたそんな時、海から家に来て欲しいと連絡が入った。
なんでもカーボナーのこの地区を統括している者が訪問しているらしく、会って欲しいと言うことだった。
刹那はビーとミネラが一応表面上は宇宙人であると認めてはいるが、まだ完全に信じている訳ではなく、少々疑いの視線を向けているのでこの訪問で疑いが晴れたらいいなと漠然と大地は思っていた。
入り口でこの家を管理している有機コンピューターのダッドに訪問を告げ、地下施設に通してもらう。
この時点で刹那は大きく目を見開いて驚いていた。
地下ホールで大地たち一行を4人?が迎えてくれた。
迎えてくれたメンバーは海、海の親父さんの岸壁さん、母親の珊瑚さん、そしてその横に人ではないなにかが立っていた。
全体の印象はカリフラワーだろうか、顔から頭にかけて白いブロッコリーのようになっており頭の先に進むほど枝分かれしており先端部分が緑色だ。
幹がそのまま伸びて人のような手足がくっ付いている。
顔の部分は、多分顔だと思うが、目のように見えるくぼみの奥に黄色いガラス玉のようなもの2個あり、口や鼻は無かった。
体を透明な素材で出来たぴっちりとした服を着ており中に液体が満たされている様に見えた。
「良く来てくれました、大地くん、まずは、紹介しよう」
岸壁さんが横にいる者を紹介しようと早速声をかける。
「サン光域情報統括官のバンサーだ、私の上司にあたる」
「バンサーだよろしく、ヌッホ」
声は枝分かれした頭の方から聞こえてきた。少し機械的な雰囲気だった。
(なんか翻訳装置みたいな機械で話しているのかな)
と大地は思った。
そして、握手するのではなく、体を左右に揺らした。
頭の緑色をした部分はガラス質のようで体を揺らすと「しゃらん」と済んだ音が鳴った。
「ヌッホ、ヌッホなの」
「ああ、語尾のヌッホと言うのは相手に敬意を示しているという意味だよ、大地くん」
岸壁さんが教えてくれた。
(また、変な着ぐるみ着て、海さんの家の人ものりがいいわね)
口には出さないが、刹那は懐疑的だ、まだ、認められないらしい。
「それじゃあ、こちらも、この女の子はビーといいます、観察者です。そしてこの子はビーのお姉さんでミネラです」
「ビーなの、よろしくなの」
「ミネラじゃ、よろしく頼む」
驚愕の表情の岸壁さん。海から伝わっていなかったのだろうか。
珊瑚さんはにこにこしている、相変わらずなにを考えているかわからない。
案外なにも考えていないのかも。
海はしまったといった顔をして短い舌をだしている。ちょっと可愛いぞ。
バンサーの表情はわからない。しかし、盛んに体を揺すって「しゃらん、しゃらん」と音を立てている。
「すまん、良くわからんかったんだが、今、姉とか聞こえたんだが」
「そう、この子はビーのお姉さんのミネラです」
「・・・観察者が二人も」
硬直している岸壁は放っておいて大地は続ける。
「こっちの奴がおれの妹の刹那です」
「刹那です、いつも兄がお世話になっております」
完璧な笑顔でお辞儀をする刹那。
「刹那ちゃん、三日ぶり~」
刹那と海は手を振り合っている。なんかいいよね女の子のこんなのって。
「あそこで、大口空けてかたまっているのが、カーボナーのこの地球での指令の岸壁さん、で、こっちの少女がなんと海のお母さんの珊瑚さんだ」
「よろしくじゃ」
「初めまして、よろしくお願いします。若いですね、10代でも通用しますね」
「よろしくね。大地君と同じように嬉しいこと言ってくれるじゃない」
「なんか私が一番若いのに、一番年上に見えるって理不尽感じます」
刹那がぶつぶつ言っている。
「観察者ミネラ様、ビー様お会いできて光栄です。ヌッホヌッホ」
バンサーが割れんばかりの大きな声で跪きミネラとビーの前に進み出た。
膝といっても全体的にカーブしておりどの方向へも曲がるようであったが。
「お前はこの銀河の反対側の出身じゃな、たしか、ヌッホランタンじゃったかな」
ビーが近かよってきたバンサーの頭を興味深そうに覗き込んでいる。
「ご存じでしたか。ヌッホヌッホ」
ミネラは腕を組み目を瞑り何かを思い出しそうにしている。
「あれは興味深い惑星じゃ、たしか、自転軸に沿って巨大な木が生えとるんじゃったかな」
「そうです、生命の木です。ヌッホヌッホ、我らはその木から生命を分けて貰います。ヌッホヌッホ」
嬉しそうに体を揺するバンサー
「なんか凄い話やね、いっかい見てみたいね」
大地が行ってみたいという声に反応するビー
「ダイチくん、見たいの?ビー連れて行くよ」
「そんな旅もいいなあ、今度お願いするかな」
「うん、銀河の反対側なら、空間捩じればすぐだよ、2日もあれば行けるよ」
(ほう、そんなもんで行けるのか)と思案顔の大地。
「あ、そうそう、思い出したわ、あの星、片側だけに木が生えとったからのう、バランス悪いんで反対側の極点付近から崩壊しかけたんじゃ、じゃから、わしが同種の木を植えたんじゃ、うんうん、崩壊は防げたようじゃの」
「あ、あの話は真だったのですね、ヌッホヌッホ。我が星に伝わる神話にあなた様の事が刻まれとります。ヌッホヌッホ。」
バンサーが手をミネラに掲げ歌う様に話し始めた。
「『星崩壊の最後の時に現れたる女神さま、黄金の聖なる木を携え崩壊を食い止めん。その女神の名はミニェ~ラ、そのお姿は神の種子、怒り秘めたる神の手で迫りくる異教徒を懲らしめん』」
すこし、擽ったそうにしているミネラ。
「ふふふ、あの星は失うには惜しかったからのう」
ちっちゃな胸を張るミネラ。
「神の種子ってなんやろ」
大地が疑問に思った事を口に出す。
「わしの本体は楕円形で平べったいからじゃないかの。種みたいじゃし」
「ふ~ん、異教徒てのは?」
「わしもよく知らんが、なんか邪魔するやつらがおったでな、力場を展開してぺちんとやったのじゃよ」
パチンと手を叩く動作をするミネラ。
(それって、・・・事情のわからん住民が星を守ろうとしてたんじゃ・・・)
大地はそんな事を思っていたが口には出せなかった。
「我が星の全住民から感謝をささげます。ミネラ様。ヌッホヌッホ」
「あ~、よいよい、気まぐれでしたことじゃ、気にするでない」
思わぬところでミネラの所業が垣間見れた大地。
「でも、うまい事、木が見つかって良かったなあ、無かったら大変なことになってたんやろな」
「ん、そんな都合のよい物、そうほいほい見つからんじゃろ、あれはな、わしがちょいちょいっと造ったのじゃよ。そこにあった木の細胞と住民の細胞を利用しての時間加速させての、ちょっと繁殖形態変わってしまったようじゃが滅ぶよりはいいじゃろ」
バンサーは問題ないとばかりに体を揺すって同意を示した。しゃらんと澄んだ音が響いた。
(まあ、当人たちが良いなら問題ないか)
と単純に考えている大地。
「ああ、そや海、こいつにあの重力制御する部屋を見せてやってくれんかな、こいつ、宇宙人関係全然信じへんのや」
「うん、わかったわ、刹那ちゃん。面白いとこに連れてってあげる、一緒にきて」
刹那はちょっと胡散臭そうにしながらも素直に海について出て行った。
(俺も後でいこうかな、あそこ、結構おもろいし)
徐に、回復した岸壁が話を始めた。
「今日、大地君たちに来てもらったのは、ちょっと見てもらいたいものがあったのでな、ちょっといいかな」
「なんです?」
「立ち話もなんだからちょっと、部屋を移ろうか、こっちだ」
大地とビーは岸壁の後について出て行った。
お読みいただきありがとうございます。
さて、岸壁さんのはなしとはなんでしょう。




