第21話 『コトルー王国の誕生』
エリザベスは更に説明を続ける。
「これは、私がジャックと一緒にドライエッガー王墓から出てきた石板の文字を読み解読した情報である。
古代文明バルパトを滅ぼした大地震は、高原の牧場――コトルー自治区にも壊滅的な被害を与えた。
しかし、族長ドライエッガーは諦めなかった。
地面が裂け、家々が崩れ落ちる中、ドライエッガーは強大な魔力で浮遊魔法を展開した。
建物から出てきた一族全員を空中に浮かせ、大地震から命だけは守ったのだ。
安全な土地を見つけると、そこへ一族を降ろし、静かに言った。
私はここを去り、街のほうへ行こうと思う。あそこなら魚介も山の食材もある。なんとか生きていけるだろう。だが、ここで暮らしたい者は残って生活を再建してくれ。もしだめなら、街の方へ来れば面倒を見る。私についてくる者は――必ず守ると約束しよう。
その言葉に従い、 多くの者がドライエッガーとともに新天地へ向かった。
ライエッガーが選んだ土地は、後にコトルー王国となる場所だった。
そこは海に近く、山の自然も豊かで、文明の残骸から石材を運べば家も建てられる。
一族は漁をし、狩猟をし、木の実を拾い、やがて農業や酪農、畜産も始めた。
そして――国の中央にあった魔力岩石を中心に石の城を建てた。
それがコトルー城。
ドライエッガーは初代コトルー王となった。
ドライエッガーが街へ出た理由には、もう一つの想いがあった。
アーノルドの生きていた国を……もう一度、再建したい。
実は、双子の兄アーノルドの乗った船は、破壊のオーブを使った後、大地震が発生する前に、魔力島の消えたあとの海にできた空間のゆがみに偶然はいりこみ、どこかへ転移してしまっていた。
アーノルドとの永遠の別れが、ドライエッガーの胸に火を灯した。
文明のすべてを理解し再建する必要はない。自分たちに合った形で国を作ればよい。
その理念が、今のコトルー王国へとつながっていく。」
長い歴史を語り終えたエリザベスは、ふう、と息をつくように言った。
「と、こんな感じじゃな。私は意識体だから疲れないが……皆は疲れたであろう。今日はこの辺にしておこうではないか。ああ、言いわすれたが、空間のゆがみに入ったところまでは破壊のオーブから情報共有されていたが、その後のアーノルドたちのことは不明じゃ。」
魔法使いたちは静かに頷いた。
古代文明の滅亡。新しい王国の誕生。そして今につながる血筋と魔力。
すべてが一本の歴史としてつながった瞬間だった。




