第17ー1話 『治癒魔法の修行』
アレクシスは、国王を除いて、国で唯一、治癒魔法リカバリーを使える魔法使いだった。自らを「治癒魔法師」と呼んでいたが、それは国王から与えられた称号ではなく、正式な肩書きでもない。
ただ――国民が病気になれば駆けつけ、怪我をすれば治し、原因が分かるものなら何でも治した。
原因が分からない病気だけは治せない。それはアルフォンス王も同じだった。
それでも、国民はアレクシスを信じていた。
そこに、二人の若い魔法使いが治癒魔法リカバリーを覚えて自分の弟子になってくれた。
リカバリーは覚えただけでは効果がない。様々な症状の原因を知らなくてはどんな病気もケガも治せない。そこを学んでもらう必要があった。
それでも、アレクシス皇子にもアルフォンス王にも原因がわからなくて、治療できない患者がいた。原因不明の病気で働けなくなった者は、城の入院室に入れられ、レスキューの魔法で痛みを和らげられていた。さらに患者の家族の生活費を国が支援した。
その入院室に、ひときわ威勢のいい男がいた。
「アレクシス先生、早く治してくれよ!俺はこの国が大好きなんだ。早く働いて納税したいんだよ!」
ジャックは驚いた。
「この国の人は……国を大好きだなんて言うんだな。」
その時だった。
男の腹部が赤く光った。
ジャックは思わず見つめた。
すると――サーチが無詠唱で発動した。
臓器の一部がパンパンに腫れ、破裂寸前。青白い光に変わり、原因が示された。
ジャックはイメージした。
原因が消え、臓器が元の形に戻る姿を。
そして――無詠唱でリカバリーを放った。
光が男を包む。
「お、おれの腹……痛くねえ!なんだこれ、治っているぞ!兄ちゃん、ありがとうな!」
男はアレクシスに言った。
「先生、この兄ちゃんはあんたが連れてきたのか?すげえ人を連れてきたな!」
そう言って退院していった。




