第16ー1話 『魔法の修行』
コトルー城での一件は、双子の心を大きく揺さぶった。
ミレーユ姫には、ただの応急魔法――レスキューしかかけてあげられなかった。本当の治癒魔法「リカバリー」を使えるようにならなければ、いずれ誰かを救えなくなる。
そして何より――
父ゴードンがアルフォンス王の足を再生した。祖父アルビスとユージンは“大魔導士”だった。
その事実は、双子の胸に火を灯した。
ジャックはレスキューを使った時、本当は無詠唱でよかった。
ただ――ミレーユ姫の前でかっこうをつけたかっただけだ。
「ミレーユ姫にしばしの元気を……レスキュー!」などと即興で考えた呪文。でも姫は微笑んでくれた。
ジャックはその笑顔を思い出しながら、拳を握った。
「俺は今、何者でもない。でも……大魔導士になれば、ミレーユ姫と結婚できるかもしれない。」
「よし、目指すぞ――大魔導士!」
ジョージは呆れたように笑った。
「兄さん、レストランの仕事を僕一人でやるのはいやだよ。」
「大丈夫だ、火曜日だけ修行する。それにジョージも一緒にやるんだぞ。」
ジョージは首を振った。
「僕は大魔導士は目指さない。料理人になる。そして料理学校を作って、孤児たちが料理で生きていけるように育てるんだ。」
ジャックは笑った。
「わかっているよ、ジョージ。」
ジョージは少し照れながら言った。
「兄さん……ミレーユ姫と結婚できるといいね。でも早く大魔導士にならないと、別のところに嫁いじゃうよ。」
「それが問題なんだよ、ジョージ!いっしょに競いあって練習すれば、早く使えるようになると思うのだよ。」
「王様がミレーユ姫をなおした時に治癒魔法リカバリーを見せてもらえれば、覚えられたかもしれないのにね。」




