3話 起承転結の少し前
前回よりすこし先のお話です。
「今日もお勉強始めますかね」
村長の家の蔵書室に着た俺たちは
いつもどおり小さな部屋に備え付けられている小さなテーブルに羊皮紙を広げて、いすに腰掛けた
「えっと今日は何を調べるんだっけ?」
まっしろい髪と肌の彼女が問いかける。彼女ことレナス・フォイルナーは前世での妹分みたいなものだったが、
転生してきたこの世界「リングス」では姉だ。
エルフ族の問題児な母譲りの白い髪と長く伸びた耳、透き通るような白い肌を持ち、
父からは赤い瞳を受け継ぎ、まるでどっかの女神様のような相貌だ。でも見た目だけだがな。
俺は父の茶色い髪と 母の白い肌と新緑色の瞳を受け継いだ弟であるケイト・フォイルナーとして生まれた。
今いるこの村は「トルト村」といい、ファンタジーらしく犬っ子なちびっ子やら、
ドワーフの雷親父やら亜人がたくさんいる。
そんなトルト村の村長の家にこもりきり 4歳くらいから欠かさずにお勉強をしているのだ。
えっと昨日は地理を調べたからとりあえず復習でもしますか。
「とりあえず昨日の復習からしよう。この大陸名はコロア大陸といい、北にエルトリア大陸、西にはガノシア島があるんだっけ」
「んでこの大陸は王国を中心にいくつもの領に分かれていて、このトルト村もそのひとつである。」
この答えによくできましたとでもいいたさげな表情でレナスが答えた。
「うん。そうだね、トルト村は王都の南西に位置する村で、大体馬で5日くらいの距離にあります。」
このトルト村は普通の農村で野菜や狩りを中心に生活を営む語句平凡な村である。
母はこの近くのエルフの住む領域から抜けだし冒険者となり、
そのパーティーになった父と結婚した際にこの村へと住処を移した。
冒険者を営んでいた父は今日も 森の奥に仮に出かけている。
時たまゴブリンなどが村へ略奪に来るが、同じく冒険者であった母に魔術を豪雨のように打たれ、
村の狼人族のおっちゃんに剣で突っつかれ、ドワーフの親父に槌でドつきまわされて事なきを得ている。
南無ゴブリンよ。
強く生きろ。
そういえばこのファンタジーな世界では ゴブリンといっても魔物のイメージとは少し違うのだ。
言葉を解すゴブリンは亜人をして扱われ、ルールを守れればきちんと村や町で生活もできる。
一部では差別なども受けるらしいが、ここのような小さな村ではお互いの力を取り合い生きている。
村には吸血種であるヴァンパイアのお兄さんもいるが、夜に村の見張りや、
村人の血を分けてもらいその対価に病気などの診断もしている。
血に関しての知識は広く、種族的な能力も相まって、糖尿などの病気も分かるようだ。
王都に行けばヴァンパイアの種族が経営する血液バンクなるものも存在するらしい。
言葉の響きは怪しいが、各地のヴァンパイアたちの食事である血液を買い取り、その対価に多少の現金や簡単な病気の検査をしたりなど、
前世ではモンスター扱いであった亜人も、この世界ではけっこう馴染み深いものだったりもする。
まぁもっとも吸血鬼のお兄さんとしては同じ食事の血液でも
「ドワーフや狼人族のおっさんなんかよりかわいいおにゃのこの血のほうがいいでござる!」
とかいつも言ってるけど、働かざるもの食うべからずなこの村ではそんな甘えは通用しない。
生まれてから9年が経ち、いろいろな情報を調べたがこの世界にも冒険者が職業として存在しており、
モンスターの討伐や素材の採取、護衛や配達などありとあらゆるところで冒険者の需要があるようだ。
ギルドは12歳から登録可能らしいのであと三年もすれば登録可能な年になる。
母と父にはその旨を伝えてあるのでこのお勉強が終われば仮に出てる父に稽古をつけてもらい、その後は母に魔術を簡単に教えてもらう予定だ。
さて話がだいぶ脱線したが、お勉強を再開しよう。




