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【晴れときどきくもり、つごうにより回想 その三】
本格的な夏が手の届くあたりに見えてきて、お狐さまが部屋のなかに落ちてることが日常化してきた。肌の白いお狐さまは太陽の光を反射して、夏の暑さなんてものともしないんだろうと勝手に考えていたふしが僕にはあったのだけど、どうやらそういうものでもないみたいで連日、僕と同じようにぐったりしている。動物園のシロクマを頭に思い浮かべ、そして窓際で扇風機のつくりだす風を全身に受けながら元気なくたたずむお狐さまを見て、僕は納得するに至った。
「働いてるときもそんな感じなの?」
―あそこは冷房が入っているからな、効きすぎなくらいに
「会社とかの冷房が効きすぎなのって人間のためよりパソコンとか機械のためっていう説あるよね」
―まったくもって愚かの極みなり
僕は台所に立って、グラスをふたつ用意した。冷蔵庫のなかからよく冷えた麦茶を取り出し、グラスに注いでいった。
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ネットで商品を注文する。最後のボタンを押したその瞬間から心配になってしまう。ちゃんと受け取れるか、運ちゃんの態度だいじょうぶか、とか、いろいろな面で。もしトイレに入ってズボンを降ろした瞬間、玄関のチャイムが鳴ってしまったら。トイレのなかから「ちょっと待っててくれませんかあ」と大声で叫ぶか、それともあきらめて再配達を依頼するか。頼みづらいなあ。ああ、でも再配達の理由は必要ないか。理由を明確にしないと再配達してくれないとかだったらたいへんだな。トイレに入ってて、とか言わないといけないのかあ。あ、でも、正直に言う必要もないか。自分のことながら想像がたくましすぎて、まいってしまう。やれやれ。そういったことも含め、うまく言葉にできないけど感覚として、そうだ、ということがままある。でもいかんせん感覚の話で、言葉にして伝えられないものだから人からの理解はない。いや、そもそも伝えてもいないのだから理解うんぬん以前の話だ。
―すべてを理解してはやれぬが
何かの拍子で話したとき、お狐さまはそう前置きして、
―無礼な配達人には何度も難儀させられておる
心底、苦々しい表情を見せ、僕の感覚を肯定的にとらえてくれた。




