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【晴れときどきくもり、つごうにより回想 その一】




 お狐さまの話を会社なんかですると必ず聞かれることがある。


「お狐さまというのは人なのかい? それとも…」


 僕は返答に困ってしまい、黙りこくるしかなくなる。そうすると相手はいたたまれなくなって決まって、聞かなければよかったなあ、と、そんな顔を僕に見せてくる。そんな表情をさせてしまい僕は申し訳ない気持ちになる。それも決まってることだ。それでお狐さまのことを知らない人に、お狐さまのことを話すのはやめにしてしまった。そう決めてしまうと楽ではあった。けれどそこで、はたと気づく。誰にも話せないんだなあ、と。


  ・


 そのあたりのとき、お狐さまは残業続きだった。


「お疲れさま。ごはんできてるよ」


 今日はお狐さまの番だったのだけど僕がつくった。


―すまぬな


 そういったことをお狐さまは表情だけで僕に伝えると、ささっと瞬時に帰宅後のやることを終え、楽な恰好になってごはんの前に着席した。


―サバのみそ煮であるか。うむ、生き返るようじゃあああ


「大袈裟だなあ」


―いやいや、本心である


 ひとつの部屋で一緒に暮らすようになったら、互いの嫌なとこをそれこそ見たくなくても見ることになるのだろう、そういった覚悟を決めていたし、そこから流れ着いてケンカに発展して、なんてことも考えてはいた。事前のその予想に反し、いまだに僕たちはケンカらしいケンカというものをしていない。そのあたりのことを会社の先輩に聞いてみた。もちろん、お狐さまのことは言わないで。やはり、いくら仲がよくってもケンカの一度や二度は当たり前にしているようなのだ。かといって僕は、お狐さまとの関係を異常だとは思っていない。別に会社の先輩に「お前たちは異常だ」と言われたのでもないけど。好き嫌いやセンスの違いは多々あれ、相手の好みや思考をそれなりに尊重してるから、なのかも、と、これは僕なりの考察だ。





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