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暇だから宇宙を作ってみた。とりあえず七つ。  作者: KAME


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顔で選ぶ

「よく似てるでしょ。色白で黒髪黒目の若者で、十七歳くらいの見た目の少年。伸ばした髪を後ろで縛ってるのも一緒よね。見つけたときはコレしかないって思ったわ」


 デカいクッションに身を埋めたまま、チャルルンは自慢げにドヤ顔する。 

 たしかに姿はかなり似ている。……細かな違いはあるけれど。今の僕の姿に涙ぼくろなんてないし、それに体格も僕より細身な気がする。なにより格好が貧相だな。ボロボロの汚れた服だし、外作業中なのか顔に土がついている。

 ただまあ、みんながこの顔を見たら僕を連想するだろう。それくらいには相似している外見だ。


「えっと、エマの世界の方か。名前はライ。田舎の村の農民で……うわ、戦闘能力ゼロじゃないか。魔力? だっけ。エマの世界に追加されたエネルギーの内包量……も一般人程度だし……こんなのに世界の命運託すの正気の沙汰じゃないだろ」

「どうせ干渉して強くするんだしそんな細かいことはどうでもいいの。というか、むしろなんでもない人間が特別な使命を与えられて、強くなっていくっていうのが勇者物語の定番よ。最初からなんでもできる人間はではなく、弱い者が力を与えられて戦いに赴く。そこにドラマが生まれるのよ」

「それ、ビジュ選びしたあとに理由探してないか?」

「やっぱり伝説の剣を抜くことから始めるべきね。分かりやすく人々の期待を背負ってほしいもの。エマの世界、選ばれし者だけが抜ける伝説の剣ってあるのかしら」


 あの世界だとそういうのありそうだけど、それを抜く奴の選定はエマがやりたいだろ。

 というか勇者物語の定番というものを知らないんだが、本当に弱い奴を選ぶもんなのか? エマはそんなこと言ってなかったけれど。


「ねー、ゲイン。いいでしょ? わたしが提案したら、それに賛成してくれるだけでいいから」

「ちゃんと嫌だが? ライ君のデータ、ざっと見たけど推薦できる能力なんか全然ないし。まるで僕が自分大好きみたいじゃないか」

「でも絶対に面白いわよ!」


 面白いだろうけどな。僕に似ているライ君の活躍は見たいけどな。

 正直、僕が絞り込んだどの候補よりも、チャルルン推薦のライ君は魅力的だなとも思う。だって結局、どいつもこいつも知らない奴らばっかりだし。顔が同じ彼なら見守るのが楽しそうだ。

 とはいえコイツ、現状では戦えないんだよな。普通に強い奴に強い力を渡した方が使いこなせると思うんだけど、ライ君だとまず力に慣れるのにも時間が必要そうだ。


「……ふむ」


 僕はリモコンを操作する。ライ君のプロフィールが小さくなって、画面左端に寄った。代わりにエマの世界の情勢が大きく中央に映る。

 ポチポチとボタンを押して欲しい情報を探す。魔王の支配区域、侵略速度、環境への影響……。


「まだ余裕はあるな。一回か二回は失敗してもなんとかなりそうか」


 世界への干渉は面白さ優先、か。僕はあんまり干渉しないから知らなかったが、そういうものらしい。

 普段からみんな、面白いから干渉してるんだもんな。チャルルンの選択は非効率ではあるけれど、一理はありそうだ。経験者の意見として聞いてもいいかもしれない。

 僕と似たライ君がどうやって魔王を倒すのか気になるし。失敗してもそれはそれで、まだチャンスはありそうだ。


 もちろん、これが原因で手遅れになってしまうことになるのは避けねばならないが。

 まあ、本気でヤバそうなら途中で追加で干渉したりすればいいだろう。たぶん。


「最終的に決めるのはエマだしな。まあいいか」

「やった! じゃあアインスの方はゲインの案に賛成してあげるわ!」


 チャルルン、そっちは候補をたてる気もなさそうだな。ライ君見つけて有頂天になって、即ここに来たんだろ。


「それは嬉しいが、アインスの方は切迫した状況だから、遊んでる余裕なんかなさそうだ。チャルルンとしてはつまらなくても、僕は今の候補のまま提案するぞ?」

「もちろんいいわよ。アインスの方はわたしもちょっと引いちゃったくらいだしねー。真面目にやった方がいいでしょ」


 そこは同意見なんだな。

 僕と同じく、チャルルンだって他の宇宙の観察をしている。だから自分の管理する宇宙でなくても、人間が滅亡するのは嫌なはずだ。


「それにわたし、アインスの世界も面白いとは思うけれど、メインで観察するのはエマの方になりそうなのよね。なんだかんだ、趣味が合うから」


 まあ、好みがあるのも分かる。


 ちょっと似てるもんな、二人の世界。物理法則の無視具合とか、文明レベルとか。

 僕を含む七人の宇宙の管理者たちには、それぞれ好みがある。エマの宇宙は実はかなり人気で、他の六人からもよく観察されているはずだ。

 対するアインスの宇宙は最先端すぎて好みが分かれる。僕は好きだけどな、あの世界。


「じゃあ集合時間まで、もうちょっと僕の方の案を詰めるか」


 慮外ではあったけれど、エマの方を考える必要がなくなったのは……初心者の僕には良かったかもしれない。アインスの方だけに思考を絞れるのはありがたい。

 リモコンを操作し、ホームシアターにアインスの世界を映す。


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