蹂躙
「イヤッフー! マジで凄いじゃない! 超光粒子レーザー弾き返したわよ! どんな無茶な干渉すればこんなのできあがるわけ?」
「ああ……私の世界が怪獣に蹂躙されていく……」
「やりすぎじゃないかコレ? アインスの高度文明が更地になってくじゃねーか!」
結果として、ベルディラットの案は満場一致で採用された。アインスだけが顔を引きつらせていた。
僕は案を出させても貰えなかったというか、辞退した。インパクトで勝てるはずがない。
かくして中央の間、円卓の上に大きく映し出されたのは、ベルディラットが用意した巨大怪獣だった。
「自然を破壊し地上を覆い尽くした文明に対して憎悪を抱くよう設定したからニャ。大丈夫、四十年ほどで寿命が尽きるよう設定してあるし、重点的にAIの重要施設を狙うようにしてあるニャ。計算上はAIを再起不能にしつつ、人間すべては殺せないよう調整したニャ」
それはつまりAIをどうにかできれば、巻き添えで人間がさらに減っても問題ないという認識でいいか?
さすが人類を危険視し全滅させた宇宙の管理者だ。
「アインスの宇宙の技術力に対抗できる個体を用意するのは大変だったニャ。人間は苦しませず安楽な死を与えようとする性質を逆手にとって、非人道的攻撃を回避する人間偽装のパターン信号発信。仮に攻撃されても外部からの刺激に反応し、瞬間的に炭素結合配列を組み替え鎧化する外皮を獲得し、さらに外皮と筋肉の間を循環する損傷箇所を塞ぐ瞬間硬化液体も備えているニャ。食餌も酸素供給すらも解き放たれた内燃機関により兵糧攻めは効果を成さず、AIでも探査しづらい深海を移動できるニャ。そして攻撃手段はお決まりの――」
巨大怪獣が口から光線を吐き、一帯を薙ぎ払う。
「キャー! 最っ高! 超科学がでっかい怪獣に蹂躙されるの気持ちイイー!」
チャルルン、気持ちはちょっと分かるがアインスの前で言い放つのは性格終わってるからな?
「科学技術の数百年の衰退……いや知識層が生き残らなければ数千年レベルまで……? 他惑星へ移住した者たちは物資が途絶えて全滅でしょうか……」
アインスは映像から目を逸らしブツブツと試算を繰り返している。大事に管理した自分の宇宙がムチャクチャにされるのが、直視に堪えないらしい。
「クッソ、これが世界干渉上級者の発想ってやつか……」
僕は、僕では思いつくことすらできなかった映像の光景を前にして、自分の発想の矮小さを噛み締めていた。
悔しいな。異世界転移と巨大怪獣か。人類がいない宇宙で、強大な獣を創って遊んでいたベルディラットの趣味を大きく活用したアイディア。
僕には、できない。それを認めるのは悔しいが、高度文明が巨大怪獣に蹂躙される光景は、それ以上に清々しさがあった。
「ねえちょっとみんな、アタシ宇宙も見てよ! ライ君がんばってるよー!」
エマが大きな声でアピールしていたが、みんなの視線は巨大怪獣に釘付けだった。
というわけで、書き溜め分がきれいさっぱりなくなりまして、毎日更新はここまでになります。
続きはまたキリのよい場所まで書けたら更新というだいぶん緩い感じになると思います。
急病で他の連載が滞りそうだったこと、なろうコンの締め切り間近だったから滑り込みたかったことで、このタイミングで出すことになりました。いかがでしたでしょうか? 楽しんでいただけたら幸いです。
それでは最後に、あらすじの方でも書いてありますが、大事なことなのでもう一度。
「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」
もちろん宗教などにも一切関係ありません。ではでは。




