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前話の後書きに誤字がありましたので修正しております。
案内されたのは4人掛け程のテーブルセットと簡単な書き物ができそうなコンソールテーブル、座るタイプのハンモックの置かれたさっぱりとした部屋だった。
先代の選定者が使用していたらしく、家具はそのままになっていた。
「では早速いただいてしまいましょうか」
「はい、只今」
デイジーがテキパキと動いてバスケットの中身をテーブルに広げていく。
昼食の面倒までかけられないと、選定者屋敷から持参していたのだ。
学長は食堂に案内してくれようとしていたが丁重にお断りした。
この後にあるであろうお話に備えて意見を交換する時間が欲しかったから。
「選定者様、参りました」
テーブルセットを終えたデイジーが入り口を振り返り、目的の人物たちの来訪を知らせてくれた。
ディアが頷くとドアが開かれる。
そこには学長室の前で分かれたアカーテ家の護衛二人が居た。
「呼び戻していただけてほっとしました」
「学長自ら呼びに来られて、背後から声をかけられたときは息が止まるかと思いましたが」
そうなのだ。
どうせ一緒に行動するのだからと昼食は護衛の分を含めて作ってもらっていたから、どうしても護衛を呼び戻したかったのだ。
昼食の話が出た時にそれを学長に相談したら「それではこのまま伝えてまいりましょう」と言うや否やディアの視界から姿が消えてしまった。
実際のところはものすごい速さで歩いて行っただけだとはデイジーの言い分だ。
直後妙な叫び声と緊張感が感じられたのはどうやら学長が護衛たちを驚かせたせいだったらしいことも判明した。
学長…何やってんの、と思ったのはデイジーと護衛たちで、ディアは実力含め謎の多い方ね、なんて考えていた。
「では時間もない事ですので、共に昼食をとりがてら意見交換をしましょうか」
「はい、選定者様」
ディアの提案に護衛二人は素早くデイジーの様子を観察し、彼女が肯定を返したのを確認した後テーブルの反対側に着いた。
本来なら主人と従者が同じテーブルに着くことはないのだが、何を置いてもディアの意見を優先するようにとカナリアから念を押されている従者は異を唱えることなく、時間も無駄にしなかった。
勿論ディアは護衛たちが一般常識や意見を呑み込んでこちらの意図を汲んでくれていることを理解している。
そのことが嬉しくてほころびそうになる口元を引き結んで目先の問題を片づけることにした。
「で、率直にどう思った?」
「思う以前の問題です、あんなの」
食後の紅茶をいただきながらディアが3人に尋ねるとデイジーが喰い気味に返答する。
どうやら余所行き顔はどこかへ置いておいているようだ。
ディアが思い返すに、確かに仮にも貴族籍を持つ者の態度ではない者もいた…かもしれない。
「私が同族であったのならスムーズだったのでしょうね」
言っても意味のないことが口からこぼれ出てしまう。
前代未聞の事態だし、そもそも選定基準がわからないので誰に苦情を申し立てていいのかもわからないことで余計にモヤモヤするのだろう。
「いえ、それに関しては選定者様が悪いわけではありませんし、同族たちの態度が悪いのはただ単に教育が行き届いていないだけです」
護衛の一人…トーマスが眉根を寄せながらそう言い切った。
「自分もそう思います。実際我々がこうしてお仕えしていても、反感を持つような言動をされたことが無いので悪感情を持つ理由がありませんよ」
勿論お屋敷で選定者様にお目通りする前に念のためときっちり言い聞かせられましたが、とはもう一人の護衛のジェームスの言だ。
二人とも先程から始終すまなそうにしているが、ディアにしてみれば彼らに謝られる理由はないので謝らせないでいる。
流石に庇ってくれる者に謝らせて留飲を下げるような趣味を持ち合わせてはいない。
「そんな子ばかりではなかったことがせめてもの救いかしらね。貴方達がそう感じてくれたように、私がきちんと態度で示していくしかないわね」
溜息が零れそうになるのをぐっと堪えつつ、ディアはふと気になった事を聞いてみる。
「そういえば彼らは竜体で生活しているみたいだけれど…貴方達もそうだったりするの?」
三対の眼がぱちりと音がしそうなほど見開かれた状態でディアを見つめてくる。
「いえいえ、私たちは竜王世代ではありませんので」
「他の世代で学校に通う子供たちは人型で麓の校舎で学んでいますよ」
「あら、そういえばお伝えがまだでしたね。選定者様の最初になさるのは候補者たちを知ること。それが成されなければ彼らは人型になることができないんですもの」
紅茶を飲むディアの手が止まる。
「ご自分たちからその機会を遠ざけてしまうなんて、何を考えていらっしゃるんでしょうね」
お昼の時間だからといって呑気に茶をしばいている場合でもなかったらしい。
焦燥感の理由がちょっとわかった気がしたディアだった。
春休み期間の為次回より更新が不安定になるかもしれません。
すみません~;;




