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大変長らくお待たせいたしました、ヒーローの登場です。


それから後書きに、かるーく今のところの人物紹介を載せています。

読まなくても問題はありませんので、ご興味のある方はご覧ください。




ディアたちと候補者たちの間を風が吹き抜け、砂ぼこりを撒き散らす。

一部の候補者はそれをうっとおしそうに払いながらもディアから視線は外さない。


「あの」


均衡を破ったのはやはりディアだった。


「授業は終わったようですしあちらへ行ってもよろしいでしょうか。候補者に挨拶をしたいの」


微妙な空気をものともせず、学長に問う。

彼も彼で目を細めて頷くとディアを演習場の中ほどまで連れて行った。

それを目にした教師は慌てて候補者たちを横一列に並べて出迎える。

不承不承といった感じだが全員が頭を垂れると、ディアは鷹揚に頷いて頭を上げさせた。


「姿勢を戻して構わないわ。私は当代の選定者のディアです。どうぞ気軽にディアと呼んでちょうだいね。これから選定の儀を行うにあたって、今日から貴方達を知るためにここへ住み込むことにしたわ」


よろしくね、とばかりに王子妃教育で叩き込まれた隙の無い笑顔を向ける。


「「「「「「…………」」」」」」


しかし候補者どころか教師まで微妙な顔で立っている。

どうやら不評だったようだ。

めげないディアは隣の学長を見やる。


「では、左から順に簡単な自己紹介をしてもらいましょうか」


こんな事態を予測していたであろう学長が助け舟を出したため、多数の候補者たちの口が一斉に曲がった。

それでも左端から自己紹介は始められた。


「…スペサタイト子爵家が二男、オリヴィエ・スペサタイトです。選定者様にお目にかかることができ、光栄です」


さっきの演習で活躍していた彼だ。

ギリギリ嫌々感は出ていない。


「スコルヴ・ハイジルコン、ハイジルコン子爵家の三男です。選定者様におかれましてはご機嫌麗しゅう」


言わされている感が半端ない。


「パライバ男爵家のテオドール・パライバ。…お目にかかれてこーえーでーす」


静電気だろうか、周囲がパチパチと音を立てながら光っている。

心なしかディアの髪が浮き始めた気がする。


「ロードライト伯爵が二女、ロゼリア・ロードライトですわ。アルマディン侯爵の姪ですの。どうぞ、よしなに」


綺麗なカーテシーを披露しているものの、態度も視線も随分と冷めている。


これは難しいな…とディアが考えていると、ロゼリアが隣の候補者をゆすり始めた。

どうやら立ったまま寝に入ってしまったお隣さんを起こしてくれているようだ。

彼女は案外優しい性格なのかもしれない。


「…ゼルクロイド・シリカです」


低すぎないバリトンの声が耳をくすぐった。

伏し目がちなラベンダーの瞳が真っ直ぐにディアを向いたとき、ディアの世界がグラリと揺れた気がした。


「シリカ侯爵家の嫡男です。選定者様にお目にかかれたことを光栄に思います」


何の感慨もなさそうに平淡に挨拶をされた。

その様子に何故かディアが人知れず気落ちしていると、横に居た教師がおずおずと口を開いた。


「わたくしはこの学び舎で候補者たちの指導をしておりますカール・グロッシュラーと申します。生家からは出ており平民の為爵位も持ちませんが、選定者様にお目にかかれたことを光栄に思います」


グロッシュラーがディアの前に傅いて丁寧に挨拶をしたのを冷めた目で見やる候補者たち。

いたたまれない気持ちをやる気だけで包んで抑え込み、笑顔で応えた。


「では皆さん、早速今日からよろしくお願いしますね」


全員を見渡しながらディアは言葉を紡ぐが、視線が合う候補者はひたと睨み据えているロゼリアくらいなものだ。

学長はただそれを変わらぬ表情で眺めている。


「顔合わせも済んだことですので場所を学舎に移して個別面談を致しましょうか。…おっと、その前に昼食でしたな。選定者様、ご案内いたしましょう」


温度を失くした笑みでそう宣言したや否やディア達を先導してさっさと来た道を戻りだした。

しかもやけに速足で。

目の当たりにした現状に何か思うところがあったようだ。

別れの挨拶もそこそこにデイジーを連れてその場を離れた。


一言も発せず後ろに付き従っているデイジーは冷気すら放っているように思える。

この後が気まずいランチタイムにならないことを願うばかりのディアだった。





☆人物紹介☆


ディア→本作の主役。

ゼルクロイド・シリカ侯爵令息→本作ヒーロー。黒髪紫目でしょっちゅう寝ている。


アルビオン王国→王竜が治める竜の王国。魔法や魔道具を普通に使える。ぼちぼち交易をしているため、たまに人族が紛れ込んで居着くことがある。300年に一度王竜選定の儀で選定者が王を選ぶ習慣がある。

クリスティーナ→元サードニクス伯爵令嬢。選定者になったため家名は持たない。外見はしっかり貴族令嬢なのに中身はじゃじゃ馬。実は現代日本からの転生者で、知識を生かして生活レベルの底上げに貢献している。竜王様の番様とはマブダチ。

先代竜王ダグラス→王子様然としたぼんやりさん。どこかの世界のエルフを番として次元の狭間に隠居してしまった。クリスティーナにお尻を叩かれながら、必要な公務は熟している。


エリオス・アカーテ伯爵→選定者屋敷の主。ディアのあれこれを取り仕切っている。親戚筋にクリスティーナがいる。アカーテ家はメノウ家紋の旧血筋(さらに古くはシリカ家)。メノウ家の下にはアゲート家カルセドニー家がある。遠縁にはカーネリアン家とオニキス家がいる。

デイジー→竜族の中では比較的穏やかで機転が利くためディア専属侍女に選ばれた。いざという時の護衛も兼ねているため荒事にも対処できる実力がある。

カナリア→アカーテ伯爵家の侍女頭。昔子供を人族に誘拐されたことがある。ディアの様子を見て、人族も悪い者ばかりではないと思いなおした。


ゼルド・スターガーネット→学長。教育者なので中立。グロッシュラーは遠縁でスペサタイトとロードライトは近い親戚。昔は結構厳しかったらしい。

カール・グロッシュラー→数少ない教師。学校で候補者たちに指導をしている。スターガーネット、スペサタイトとロードライトは遠縁。生家は兄が継いだため平民となった。気弱な苦労人だが実力はある。


オリヴィエ・スペサタイト子爵令息→候補者。オレンジ髪、得意なのは炎。ロゼリアとは親戚同士。

ロゼリア・ロードライト伯爵令嬢→アルマディン侯爵の姪御。叔父上より当代になるよう圧力をかけられているが本人にその気はない。ゼルクロイドがお気に入りでしょっちゅう一緒にいる。

テオドール・パライバ男爵令息→候補者。青髪、爵位は低いが雷の威力はあるため、ちょっかいをかけると近づいただけで頭が爆発する(笑)酷いと火傷等のケガをする。

スコルヴ・ハイジルコン子爵令息→候補者。白髪青目。一番月齢が低いためいつまで経っても悪戯小僧。


フルールシア王国→年中(色々)花畑。なんだか最近物騒な事件が立て続けに起きている。

ファルリアス侯爵→ディアの実父。娘が追放されるようなことを仕出かした責任を取って降爵の予定。目に見える小物。

フルールシア国王→噂の第一王子の実父。尻拭いで疲れ切っている。血迷ったのか最近暴君と化した。

エルリカ・ミザリー伯爵令嬢→第一王子の浮気相手。

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