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ギフト

トリオンの三叉槍に対し、ウーコンも如意棒を取り出す。

「この間は、騒ぎを起こすのも気が引けたから我慢したが、ここなら清々叩きのめせるな」

「ふん、ふざけたことを言いやがる。そんな棒きれ一本で、ポセイドンが使ったと言われるこのトライデントの突きを受けられると思うなよ」

「なに言ってやがる。東海竜王秘蔵のこの如意棒がただの棒に見えるようなら、てめえの目は節穴だ」

互いに雑言を浴びせながらも、得物をしっかりと構え、相手の隙を狙っている。

先に動いたのはトリオンだった。

「フンッ」

一呼吸で三度の突きを放つが、ウーコンは如意棒でカンッカンッカンッと受け流す。

「ほお、俺の突きが見えるか」

「ハエがとまるかと思ったぜ」

「これならどうだ」

今度は続けざまに四撃を繰り出す。

ウーコンがその四回の突きを如意棒でギリギリ弾いた直後に、三叉槍がぐるっと回って、石突がウーコンの足首を強かに打ち据えた。

「うっ」

ウーコンがバランスを崩して倒れ込むと、再び三度の突きが襲ってきた。

二撃までは首を振って躱したが、三撃目が頬の辺りを抉った。

横に転がって、その反動でさっと立ち上がる。

「やりやがったな」

その左頬から鮮血が垂れる。

「ほお、猿の血も赤いようだな」

「俺の石の体を傷つけるとは確かにただの槍じゃあないようだな」

「降参するか」

「馬鹿言え。てめえの道具を誉めただけだ。こんなかすり傷でいい気になるなよ」

「ほざくなっ」

その後もトリオンが突きを続け、ウーコンがそれを受ける展開が続いた。

「はん、てめえの突きはもう見飽きたぜ」

「なにっ」

「伸びろ」

トリオンの突きに合わせて、如意棒が1メートル以上伸びた。

前傾姿勢のトリオンの左肩口に当たり、もんどりうって横転した。

「ぐっ」

「どうだ、一万斤の如意棒の味は。腕が砕けたか」

トリオンは右脇に三叉槍を抱き、左肩を庇うように押さえた。

「直ぐ止めを刺しに来なかった自分の甘さを呪えよ」

ぐっと左手に力を入れたかと思うと、砕けたように見えた左肩が盛り上がった。

続けて、手、足、腰と力を入れていく。

グオッと音がするようにトリオンの体が膨れた。

体全体が一回り大きくなったようになり、身長は2メートル以上。腕も足も丸太のように太くなり、顔だけが元のままで、まるでオーガのような体に変身した。

「へえ、お前も化け物だったのか」

「これが俺のギフトだ。筋肉を自在に操れるのよ」

「はは、いよいよ本気を出したって訳か」

「この技を使うのはこれで三度目だ。これを見た前の二人は生きていないがな」

「この前グレイトウルフを締め落したのもそれだな。出し惜しみせずに、魔物と戦う時も使ったらどうだ」

「あれは余興よ。はは、この姿ではファンが寄って来ないからな。だが、俺のギフトを見たからには、お前もそこの猫も死んでもらうぞ」

「物騒なことを言いやがる。その程度で俺に勝てると思ってるようだが、ちゃんちゃらおかしいぜ」

「あの世でほざけっ」

トリオンが渾身の突きを放った。

「ぬっ」

三叉槍の穂先はウーコンの眼前で止まっている。

「貴様」

ウーコンは三叉槍の穂のすぐ後ろの柄の部分を両手で掴み止めている。如意棒は既に仕舞い込んでいる。

ウーコンの野生の動体視力とその怪力のなせる業であった。

「むっ」

トリオンがギフトの力で押し込もうとするが三叉槍は動かない。

「馬鹿な」

「流石にギフトと言うだけあって、俺と互角の力で押してきやがる」

互いに血管が浮き出るほどの力を込めていた。

ウーコンは槍を持ち直すように手繰り、脇に挟んでぐっと上に持ち上げた。

「あっ」

畳返しの如くにトリオンの両足が地を離れ、空中高くに舞い上がった。

そのままの勢いで反対側に逆落としに叩きつける。

ゴンともガンとも聞こえる音がして、トリオンは動かない。

頭部を強烈に叩きつけられたが、首もその筋肉が盛り上がり、致命傷にはなっていないようだ。

目をかっと見開いているが、体の自由が効かないようで、荒い呼吸を繰り返している。

やがて、その強大な体が収縮してきた。

元の大きさに戻ると、どうにか体を動かすことができるようで、上半身を起こした。

鋭かった眼光が光を失ったように地面を見ている。

「何故だ」

ぽつりと吐き出すように言葉を発した。

僅かに顔を上げ、弱くなった視線でウーコンを見る。

「何故俺のギフトが効かない」

「まあ、世の中、上には上が居るってことだな」

「何故とどめを刺さない」

「とどめ?俺は殺し合いをしている心算は無いぞ」

「そうか、だが俺はもう終わりだ。ギフトを見られて、その相手を生かして帰してしまう」

「別に構わないだろう。俺達は吹聴する心算もないし、ギフトを見られたって、また工夫すればいいんじゃないのか」

「ですです」

トリオンは不思議なものでも見るような眼差しで二人を見た。

「じゃあな。俺達は行くぞ」

「ですです」

呆然とするトリオンをそのままに、二人は広場を後にした。


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