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実存的転生  作者: ウィリアム輝夫
公園まで
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第九回 青空に吠える


 歩道橋のガタガタなタイルを踏みつつ半分まで行きかけて、ふと空に目を転じると、北や東は遠くに連山が聳えており、西や南には霞の向こうに海が横たわっている。晴れた日には、富士山も見えることだろう。隅から隅まで、雲が少ししか浮かんでいない。


 押し付けてくるような水色の清々しさに、目を細めると、私の額の奥の第三の目が開こうとしている気配を感じたのであった。実は、Amazonで、オショー・ラジニーシの本、第三の目というタントラを解説した本を頼んでしまったのだ。あと二日くらいで到着するだろう。


 どうしてこの本に惹かれたのかというと、とある有名な導師が、第三の目を意識して、それがきっかけで覚醒したらしいので、たまたま調べたら第三の目が売っていたので買ったのである。それに、オショーはとても面白い本を書くのだ。


 普通のインドの覚者の本というのは、教訓のようなことを延々と書いてあるのであるが、オショーには、アメリカンジョークが挿入されており、それがちゃんと講話と結びついているのである。むしろ、そのアメリカンジョークのために講話が作られてあるのではないかと思えるようなマッチ感さえある。


 正確には、翻訳者のスワニという方の日本語のセンスと、私のセンスが合っているのかも知れない。図書館で、他の本を探したら、オショー以外にも結構本を訳していたり、自著さえもある。それさえもが興味深いほど、私はこのコンビによる本が大好きだった。


「うおおおおおお」


 となんとなく青空に吠えてみる。私の中の第三の目と、太陽が上手く結びついてくれないだろうか。第三の目が開いたら、私はモテモテになるだろう。クラスでトップの女の子達にも好かれるに違いない。今はまだ位負けている部分もある。


 しかし、三つの目が光るところ、私は世を支配することだろう。この日本の社会を牛耳って、老若男女を跪かせたい。『俺コンサート』も開きたい。私の好きな歌手を集めて、ガクトさんとか、キングヌーとか、アジカンとか、氷室京介さんとか……


 そして、最後に私が出てくるのだ。歌うのは、多分、「Yes! 東京」「好きすぎて滅!」「結び」 だろう。この名曲を、持ち主よりも上手く歌える自信はある。カラオケの点数でも、96点は平均で行っている。あ、そうだ。デートの後半はカラオケにゆこう。

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