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俺は今隣の家の前で明日輝を待っている。昨日のうちに"明日は一緒に高校の入学式行こうね"と約束していたからだ。なのに、約束の時間から10分たっても明日輝は来ない。まあ、時間に余裕を持って約束したので問題は無いのだが…
「はぁ〜」
思わずため息をついた。
普段の明日輝は成績優秀な優等生で、約束の時間に遅刻することなんてまずないはずなんだけどな…
さらに5分ぐらい待つと明日輝が
「ごめん、遅れた。本当ごめん」
と言いながら、小走りで道に出てきた。
「珍しいね、明日輝が遅刻なんて。なんかあったの?」
「いや〜、なんでもないよ。ちょっと寝坊しただけ」
そう言うと明日輝は手を口元へ持っていき、人差し指で上唇を触った。長い付き合いの中でわかったことだが、これは明日輝が嘘をつくときにする癖だ。まあでも、今は余計な散策しないほうがいいかな。そんな重大な嘘をついてるわけじゃなさそうだしね。
「じゃあ、行こっか」
「うん」
〜〜〜〜〜〜
2人で歩きだしてしばらくすると明日輝がそわそわしだした。なんか、見るからに目線が変で俺の手ばっか見てるし、話しかけても上の空みたいな感じだし。なんだろうな…
「ところで明日輝、今日調子悪いの?さっきから少し変だぞ」
「っえ?いやいや、なんでもないって」
「じゃあ俺の手になんかついてたりしたの?さっきから手ばっか見てさ」
「っ////」
明日輝は顔を真っ赤にして、俯いてしまった。これは、照れた時によくやるしぐさだから…
「もしかして、手握って欲しいの?」
「んな、何言ってるのよバカ。そんなわけ無いでしょ///」
「でも照れてるじゃん」
「て、照れてないもん。ただ、翔馬が変なこと言ってきたからビックリしただけだもん」
「それじゃ、早く行こっか。立ち止まってないで」
そう言って歩き出すと
「で、でも、もし翔馬が手繋ぎたいって言うなら繋いであげないこともないよ…///」
なんて言ってきた。くそ、かわいいな。
「まったく、少しは素直になれよ」
「……バカ///」
俺達はそこから手を繋いで学校へ向かった。
〜〜〜〜〜〜
20分ほど歩くと、この春から俺達が通う私立希輝咲学園高校に着いた。そして、入学式の会場である体育館の前で受付を済ませると、学校紹介の資料とクラス名簿が配られた。
俺と明日輝はその名簿を見た。
「俺は2組。明日輝は?」
「私も2組だった。やった、同じクラスだよ、翔馬」
そう言うと明日輝は小さくガッツポーズをした。
「そうだな、よかったよ。と言っても、個性コースは2クラスだから同じクラスになる確率は高かったけどね」
「それでもやっぱり嬉しいよ。改めて、翔馬、よろしく」
「おう、こちらこそよろしく」
そんなこんなで同じクラスになった俺と明日輝は今、同じ教室で絶賛友達作り中である。俺は勇気を持って前の席の奴に話しかけた。
「どうも。俺碇翔馬。よろしくね。ところで、名前は?」
「俺は赤崎純だよ。よろしくね。」
よかった、優しそうな人だ。髪の毛がカラフルだったから不安だったけど、普通の人っぽいな。
「赤崎か。ところでさ、赤崎は何やってるの?」
この個性コースには学校外で何かしら活動している人が来るので、この質問はこのクラスでは重要だ…と俺は明日輝から教わった。
「俺は絵を書いてるんだ。碇は?」
「俺は音楽関係でちょっとね。バンド組んでるんだ。まあ、まだまだ売れてないけどね」
「へぇ〜、カッコいいじゃん」
「ありがとな」
その後2人で席を立ち、クラスを見渡した。
「ところでさ、女子に囲まれてるあいつ、ジャニーズの人だよね?」
「やっぱり個性コースだと芸能人いるんだね〜。ほら、男子に囲まれてるあの人もテレビで見たことあるし」
「でもさ、このクラスで1番美人なのってあそこにいる黒髪のロングで巨乳の人だよね」
あれ、それって…
「ああ、そいつは俺の彼女だよ」
「なぬっ?」
「琴吹明日輝って名前でさ、将棋のプロ棋士目指してるんだよ」
「クソぉぉぉ、イケメンはズルいぞお前。タイプだったのにぃぃぃ」
「赤崎だって十分イケメンだろ」
「いや、君には敵わないさ」
「そうかな?」
「ところで馴れ初めは?」
「あいつとは幼馴染でさ、まあ、良い奴だから仲良くしてやってくれよ」
「………」
「どうしたの?」
「…いや、碇って良い奴だなって思って」
「なんで?」
「だって普通だったら自分の彼女に俺みたいな『その人がタイプです』って人近づけたくないだろ。だからさ、君は彼女のこと信頼してるんだなって思ってさ。それに、俺みたいな髪の毛してる人にも優しく話しかけてくるし」
「ああ、明日輝のことは信頼してるよ。それに、赤崎のことも。人を見る目はあるつもりだからね」
「…まさか、性格までイケメンだったとは」
「まあ、これからよろしくね」
「おう、こちらこそ」
そんなこんなで俺は赤崎と友達になれた。明日輝は明日輝で上手くやってそうだったし、まあ、心配することはなさそうだな。
これなら楽しくやっていけそうだ。




