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疑問は続く

二人が退室してからも疑問は沸くばかりだ。

私の立場は、自分が思うより重要らしい。


 このままじゃあ、どう考えても一般人じゃないよね…。なれる気もしないや。

 ずっと、このままこのお城にいて解読のバイトしてるのかな?いや、無理だろう。

夜会もあるし…。黒髪も珍しいみたいだし。

陰謀や駆け引きの波をサーフィンみたいに上手く乗りこなせる気がしないよ。そもそも、泳げないし。クロールの息継ぎすら出来ないし。


 あ。も、もしかして波に飲まれたりしたら政略結婚になったり?

いや、帰りたいとは言ってるからそれはないよね。けど、帰れなかったらズットこの世界にいる事になるよね。なら、それはないよな。

けど、この美形だらけの人達の中で生きる事になる。


 彼氏とかできるかな?無理だろう。やっぱり帰りたい。

けど、方法が見つかっていない。なら、城に居させてもらうしかないのかな。いやいや、それは…。


 いくら考えても何の答えも出ない。ご飯もお風呂も上の空のうちに終わっていた。


「ユウリ様!」

「はいっ」


 厳しく私を呼ぶ声に反射で答えて視線を合わせると、無表情な総待女長がいた。部屋にほかには誰もいない。


「今日はお疲れのご様子ですが、いかがなされましたか?」

「…なにもありません。」


 私が重要人物だったなんて知らなかったんです。巻き込まれただけなのに、なんでこんな立場になってるのかわからないんです。

受け止めていられないだけなんです。

けど、ただの女子高生なんで、この場で誰に相談したらいいか。どうしていけばいいかわからないんです。


 心の内を話したくなったけれど、相手は総侍女長だ。的確な常識的な答えをされるだろう。スッキリしそうだけど、今されたら絶対へこみそうだ。


 こんな時は、頭の中をグルグルさせているより早く寝るに限ると「大丈夫。疲れただけ」と、ありもしない頭痛を装い伝えると総待女長に、ベットに入るよう促される。


「朝も体調がすぐれないようでしたら、無理されずおっしゃってください。」


 そんな言葉を残し明かりを落とした部屋のドアは閉められた。これは、これで申し訳ないながらもどうしようもなかった。


 今から居酒屋で愚痴をはくサラリーマンと話が合いそうな気がする。全てを話して、荒唐無稽な話よと笑い飛ばして欲しいくらいだ。


 勇者や聖女でなくてよかったじゃん。埃と汗と家にまみれながら、苦難の旅をしながら魔物を倒してレベルを上げ、やっとのおもいで極悪非道の魔王を倒して帰ってみたら、魔王退治を願っていた好いた王子は本命の姫と結婚してたとかだったらどうする?

むくわれねー。


 そうゆう問題じゃないし。巻き込まれただけ。なのにさぁ…


 帰れてさえいたら笑いながらはなせるのに。



そんなありもしない事を、布団のなかで枕を抱えて丸まりながら目をつむり悶々と考えていた。そんな時、ベッドサイドの闇が濃くなる気がした。


 この気配は闇と光の精霊王たちだ。


「寝ているのか…」

「そのようだね」


そう。私は寝ているの。狸寝入りだけど。ごめん。今は無理。


 美形の二人の顔を見ると、また何か考え事が増えて終いそうで背を向けたまま枕に顔を埋めた。


「疲れているのだろう…」


そんな私の頭を闇は撫でる。


「せめて温もりを」


私の背中を暖める光。


それは、とても気持ちよく体の力も抜けて眠りに引き込まれていく。


「光よ。我らもそろそろ気を付けなければな」

「敏感な人間でも私達の関係にはハッキリとわからないだろう。なんとなくしかね。」


 しばらくすると、二人の手は離れていき何か気遣うような闇の低く柔らかな声と、光の息をひそめた声が聞こえた。


「しかし、こうして忍ぶように会うばかりも…」

「このような一時も私達の繋がりを深めるものでしょう。こんなにも愛しさが増すばかり…」


そして、気持ちを押さえこむような闇の声


「光よ…せめてもう少しこの繋がりを皆には話せぬものか」

「私も闇と気持ちは同じ。けれど今は、まだその時ではありません。立場を危うくしかねない…」


 沈黙が続き、私は目を覚ましたふりをするべきか、寝たふりを続けるべきかずっと悩んでいた。動く二人の気配はしている。


 目を開けると、忍ぶように会う闇と光が寄り添い見つめあっていたらどうしよう。

そうして、それがまさに今、口付けようとしている所だったらどうしよう。


口付けが未然ならまだ良い。もし、大人のものだったらどうしよう。生は刺激が強すぎる。

見てしまって次に会った時に思い出して赤面ものも困るし。


よし、寝たふりだ。

私は何も知らない。愛し合う二人の会話なんて聞いていない。邪魔しない。寝ているんだ。


「闇よ…。今は、あなたに私の温もりを分けてあげましょう…。私達の進む先も今より明るく見えてくるでしょう。どうですか?いつもよりも、気持ちよさそうですね。悠理もいますし声は押さえて下さいよ」

「うっ…はぁ…。光…、お前とゆう奴は…。」

「ほら、もっと良くしてあげます。ここが良いのでしょう。」

「あぁ…、そうだ。うっ…。」



衣擦れの音と楽しげで優しく聞こえる光と、どこか期待するような悩ましげな闇の声。


 これは、ダメなやつじゃないか…。


瞬時に決断は決まった。もう色んな意味で無理だ。んーとか言いながら、寝返りをしよう。それが一番、平和的な解決につながるはずだ。


 顔を赤くしながらそう心に決めて、いざ寝返りとゆう時だった。


「光…、場所を変えないか…」

「そうですね。起こしてもいけませんし。もう一度、悠理に癒しを与えておきましょう。さあ、闇が安心する場所に動きますよ…」


聞こえると同時に睡魔がおそってくる。

そして、濃厚な愛の夢をみてしまい誰にも言えない秘密を抱えた朝を迎えてしまった。


頭のグルグル回る悩みは、すっ飛んでしまい昨日とは違う心境で上の空になってしまう。精霊の気配がするたびにドキドキしてキョロキョロしていた。


そして、夕方には真剣に闇と光にどう対応するか考えていると明るい声が聞こえた。


『あ、ユウリー。昨日もね闇の主様が光の主様にマッサージっていうのしてもらったらね、体が楽になったんだって。』


ユウリも疲れてるみたいだから、してあげるー。光だしー。


そうですか、昨日のはマッサージですか…。

それは、温めてもらって気持ち良くなって悩ましい声もでますよね…。


無邪気な精霊の優しさにも、癒されたからかグッスリ眠れる夜となった。






 





 



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