↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/16

第15話 ユメ(メリア視点)

私は言葉を失っていた。


あまりにも美しすぎる光景があったからだ。


ある部屋に入ると、その部屋の窓は開いていた。


夜風は頬をくすぐりながらも、どこか肌寒さを感じさせる。


そんな窓に、月を見上げる形で佇んでいたのは、美しい女性だった。


誰かもわからない。どんな人かもわからない。


でも、月の光を浴びてキラキラと光っている、夜風になびく銀色の髪が。瞳から流れ落ちる、キラリと光るものが。ただ美しかった。


そしてその人は、レアキくんの部屋と思われる部屋にいた。


きっと、 レアキくんの友達なのであろう。


そして、 レアキくんの想い人でもあるのだろう。


「…だから、 かぁ」


私はどこか腑に落ちた。


私なんて比べものにならないほど美しい人がそばにいるのだ。


私に目が向くはずがない。


いつも私は褒められて、 好意の視線にさらされてきた。


私に夢中にならない人などいなかった。


みんな私を 『天使のようだ』 といった。


だから、きっと有頂天になってたんだろうなぁ…。


私より美しい人を知らずに生きてきたから。


「でも…」


どうしても、私に夢中にならないことが、許せなかった。


絶対夢中にしてやる。


私はそう意気込んだ。


美しい人は私がいることに気づいていたのだろうが、見向きもしなかった。


わかってる。


私が比にならないことくらい、わかってる。


でも、私より美しい人を見ることが、 私に夢中にならない人を見ることが、初めての体験で。


私はどうしても、 その美しい人と仲良くなりたかった。


あわよくば、美しくなる方法を知りたかった。


だから。


「ね、ねぇ。 あなた、誰?」


美しい人はこちらを向いた。


キラリと光るそのしずくが、 夜風になびくその髪が、やはり美しい。


そして、吸いこまれそうなほど美しい紫色の瞳が、 私を捉えた。


悪意とか、憎悪とか。 そんな気持ちを知らなさそうなその美女は、私の思いも虚しく、静かに闇に溶けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。