第12話 かくれんぼ
「レアキくんだよね?」
俺に声をかけてきたのは、今日からホームステイするメリアだ。そばには彼女の護衛兼メイドであるエレナもいる。
「そうだが…何か用か?」
「夕飯、どうして一緒に食べなかったの?」
わざわざ何を聞くんだと思ったらそんなことか。
「…別にいいだろ。君には関係ない」
「お嬢様にそのような言い方は…!」
エレナが殺気立つ。
「そんなこと言いに来ただけなら俺は自室に…」
「一緒にかくれんぼしよ!」
俺の言葉を遮って、メリアはそう言った。
まぁ見たところ俺《レアキ》と同じ5歳くらいだし、仕方ないか。
「…いいけど、オニ誰にするんだ?」
俺がそう言うと、二人がジッと俺を見てきた。
「はぁ…。わかったよ、俺がオニしたらいいんだろ。60、59…」
「早いっ!」
「58、57…」
「エレナ!早く行くよ!」
「はい!お嬢様!」
二人が慌てどこかに行く。
「56、55………」
まさかかくれんぼをやる日が来るとは。
俺は数を数えながら、昔のことを思い出した。
「※※さま!かくれんぼをしましょう!」
生きているはずがないシエラが、俺にそう言って笑いかけた。
「いいぞ」
なんだかよくわからなかったけれど、ああ、シエラは生きていたんだ、マグマになんか落ちていなかったんだ、と思った。
妙にホッとして、隠れようとするシエラをただ眺めていた。
「あ~っ!※※様、しっかり数えてくださいよ!」
「悪い、悪い」
俺はゆっくりと数え始めた。
「60、59…………0!」
バレバレな方法で、シエラは木の影に隠れていた。
そんなところも変わっていなくて、思わず笑みがこぼれる。
笑ったのは、いつぶりだろう。よくわからないけど、長い間笑わなかった気がした。
「ははっ、シエラ。そこにいるんだろう?」
俺はその木に近づく。
「バレバレ…」
バレバレだぞ。
そう言おうとしたのに、言えなかった。
なぜなら、シエラはそこにいなかったから。
──代わりにいたのは、銀色の魔物だった。
「…2、1、0」
探すとしよう。
三人を。




