74話:付与魔術無双
「【付与魔術:体力1】!」
ソフィー様の”付与魔術”!!身体の奥底から体力が沸いて来るようだっ!!
「うおおおおおおおおおおっ!!【聖騎士3】!!さあこいやああああっ!!」
侯爵兵も窓から姿を見せたソフィー様を見ている。今のうちに!
俺は盾の裏に肩を当て身体を低くしそのまま突撃する。矢と槍が飛んでくるが構わず突き進む。
「うらああああっ!!」
5、6人の騎士を吹き飛ばしてやっと足が止まる。泥沼の端ぎりぎりだ。
「ここは一歩も通さんっ!!」
倒れていた影たちも体力の付与を受け起き上がってきた。怪我は治ってはいないがまだ動けるようだ。
「全員無理はするな!防御に専念!時を待て!」
クリザンテーモさんが指揮をしているが、防御に専念させる。まだ、付与が終わってないからだ。
「今、確かに”付与魔術”と・・・まさかジプソフィーラが付与魔術士だと!?」
「隊長、まさかエスポジートと同じ”付与”ですか?・・・」
古の魔術・・・神からの恩恵が人族に賜るより以前、古代の悪魔によりもたらされたと言う”付与魔術”。それを使える者は大陸でも一握り。この国にいる付与魔術士は、我が大隊にいるエスポジートだけだと思っていたがな。
「どうなんだエスポジート?」
後ろを振り返りエスポジートに問いかける。
「ええ、聞いていました。いささか発音が悪く正確には聞き取れませんでしたが、体力の付与ですな」
「体力か、悪くない。身柄を確保したいな」
「わかりました。それでは・・・」
なぜジプソフィーラが魔物を引き連れているのかわからんが、”魔物調教”あたりか?ゴブリン・ロードやコカトリスも引き連れて何がしたいのか。「迷宮」を取り戻したいか?ナターレ領の奪還か。どちらにしてもここで終わりだ。こちらにもとっておきの”付与”があるのだよ。
「我が奥義を見よ!”みなに加速の力を”!!」
「攻撃速度が上がる”付与”だ!蹂躙せよ!」
「くはぁ、はぁ・・・魔力が・・・足りませんね・・・」
「ソフィー様、無理はいけません。まだ完全に治ってはいないのです。もう少し休まれては?」
目が覚めたらオルテンシア様のお部屋でした。いつのまにここに来たのでしょう?確か馬車に乗っていたことまでは覚えているのですが・・・
「そうはいきません・・・はぁはぁ・・・皆が戦っているのです。付与魔術士として援護しなくては・・・」
「そうですか・・・ではこちらにいらしてください」
なにがあるのでしょうか?もしや魔石をお持ちなのでしょうか?
フラつきながらベットまで歩き、オルテンシア様の隣に座ります。
「オルテンシア様、魔石をお持ちなのですか?」
「いえ、その代わりに精力増強剤と体力増強剤があります。それで魔力と体力もある程度回復するでしょう」
「そんな便利なものが!?・・・頂いてよろしいのでしょうか?・・・」
「ええ、ではいきますよ」
え?オルテンシア様に首の後ろを支えられ・・・オルテンシア様のお顔が・・・
「ちょっとまったあああああっ!!何しようとしてるんですか!?」
オルテンシア様のお顔をグイグイ押しのけます。心臓がバクバクいってます・・・まさかオルテンシア様もニンフェアやフィオーレ様と同じ?・・・
「あら?何か誤解してますか?ちょっと首筋に噛みつくだけですから」
「あ、な~んだ。わたしてっきりキスでもされるのか・・・と・・・え?」
カプッ
「いたあああああっ!!」
体力が少し回復したね。ソフィー様が付与してくれたんだ・・・もう少し持ちこたえれば・・・
「いたあああああっ!!」
!?部屋の中からソフィー様の悲鳴が聞こえてきた!何があったんだ!?すぐにでも駆け付けたいけど、気を抜くと致命傷をもらいかねない・・・
「プルーニャ!!ソフィー様が!」
「聞こえたニャ!でも、手が離せにゃいニャ!」
そして次の瞬間、
「【付与魔術:力1】!、【付与魔術:俊敏1】!・・・」
きた!!さて、反撃開始だ!!
「なんだと!?他の”付与”も持っているのかっ!?」
「そんなバカな!?二つ以上の”付与魔術”など・・・力・・・と・・・俊敏・・・も、か・・・」
驚いてるようだな。ソフィー様の”付与”はまだまだこんなもんじゃないぞ!
「うらああああっ!!」
力任せに盾を振り回し近づいた騎士を吹き飛ばす!
「くそっ!コイツまだこんな力が!?」
「・・・【付与魔術:魔力1】!【付与魔術:脳力1】!・・・」
「【付与魔術:英知1】!」
「待っておりました!【大砲2】!」
「ソフィー様ありがとうございます!【火炎3】!!」
ソフィー様の姿が見えないのが残念ですが、麗しいソフィー様のお声を頂けるだけで、わたしはまだまだ頑張れますよ!体内から魔力が溢れてきて肉眼で魔力のうねりが見えます!腕に魔力の渦がまとわりつきバネのように指の先から飛び出します。まさに大砲!!
ドカンッ!!ボウンッ!!
「ぐああああっ!!」
「うわああああっ!!」
アレク殿の横から近づいた騎士が、文字通り吹き飛びました。そのまま後ろまで突き進み、3人を巻き込んで砲弾が砕けました。威力あがってますね~。ルカさんの火炎は・・・もう火事ですね。腕の動きに合わせて炎が踊り横に向いて広がっていきます。炎の壁だ!
「【付与魔術:器用1】!」
「あああああ、あ・・・ありえん!!・・・”付与魔術”・・・7つだとっ!?・・・」
侯爵軍の魔法使い?でしょうか、混乱してるみたいですね。
「器用をいただければ、投擲が活きてくるな!!くらえっ!」
わたしの横にいたクリザンテーモさんが転がっている石を拾って投げます。ナイフが無くなったんでしょうけど・・・石って・・・。
「げふっ!」
「ぐあっ!」
石って当たると痛いんですね・・・二人の騎士さんが悶絶しました・・・トドメいただきましょうか。すでに5、6回続けて【火炎3】を使っていますが魔力が切れる感じがしません。以前は4回で魔力切れをおこしていたのですが・・・これがソフィー様の”付与魔術”なのですね!
「【火炎3】!」
まだまだいけます!
「・・・【付与魔術:吸収2】!【付与魔術:加速2】!・・・」
部屋の中から声が聞こえるたびに、目の前の化け物が強くなっていく・・・身体から無色の炎が吹きあがっているかのように・・・満身創痍なはずなのに・・・
「魔力も回復したニャ!ニンフェアを【回復2】ニャ!」
「助かったよプルーニャ。さて、終わりにしようか」
何を言ってるんだ・・・今までさんざん追い詰めてきたはずなのに・・・怪我まで癒えて・・・
ワーキャットが仲間に突っ込んでいき、姿が掻き消え・・・仲間の向こう側に現れた。見えない・・・
3人は血飛沫を飛び散らせ崩れ落ちた・・・何もできずに・・・何の冗談だ・・・
「悪いね」
はっ!?目の前にいたはずの羽のある人外が・・・いつの間に背後に!?俺の意識はそこで途絶えた・・・
「ソフィー様!!」
「ソフィー!!」
扉を開けオルテンシア様の部屋に入ると、ベットに持たれて座っているオルテンシア様と、床で座り込み襟を両手で持って首筋を隠しているソフィー様・・・ん~・・・キスマークでも隠してるのかな?・・・
「ぜぇぜぇ・・・ニンフェア・・・プルーニャ・・・外のみんなの・・・援護をお願いします・・・」
「何があったのか・・・」
「聞かないでください!!」
「「りょーかいです!」ニャ!」
ボクとプルーニャはビシッと敬礼すると窓から外に躍り出た。




