表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/166

75話:1対1

「・・・”付与魔術”を9種も・・・ありえん・・・何かの間違いだ・・・」


 エスポジートが尻もちをついて喘いでいる。確かに聞いたこともないが・・・現実を見ろ!


「実際に9つ使っている。それは認めろ」

「ですが!今まで確認されているのは「力」と「体力」のみ!わたしの秘蔵の「加速」を入れても3種だと言うのに・・・」


 手の内をすべて晒す奴がどこにいる。おそらく他の者もいくつか使えるのだろう。しかし、9つとなると他にはおるまい。なんとしても欲しい人材だ。フラヴィオにはもったいないな。叔父上にお願いしてわたしの妻に頂こう。


「落ち着け。確かに脅威だが、所詮”付与”だ。弱いものをいくら強化しても強者には勝てんよ」

「ロレンツォ大尉・・・」


 しかし・・・こいつら本当にゴブリンか!?連携が取れてるし、人語をしゃべっている。ゴブリンの上位種なのは間違いないが、どいつもこいつもキングクラスだ。特に強いのが・・・盾持ちのキングゴブリン・・・指示を出している、ロードか?それとシャーマン、いやドルイドか。それが2匹。中隊長3人でないと倒せそうにないな。ロードは俺がやるか。


「中隊長3人は!盾持ちとドルイド2匹をやれ!」

「「「はっ!」」」

「そのほかの者は残りのゴブリンを包囲殲滅しろ!」


 その時、ジプソフィーラが顔を出した部屋から小娘が二人飛び降りてきた。


「みんにゃ大丈夫ニャ?」

「ソフィー様は無事だよ」


 人間・・・じゃないな。こいつらもゴブリンの仲間か、ワーキャットと羽の生えている人外か・・・

 ワーキャット、こいつはロードより強そうだな。


「副隊長、指揮をしているロードをやれ」


 副隊長には指揮をまかせるつもりだったが、ロードと渡り合える者が他にいない。


「・・・わかりました」


 俺はコイツだ!


「ニャ!?」


 ガキンッ!!キンッキンッキンッ!!


「みゅ、やるニャ・・・」

「生意気な!」


 俺の横薙ぎの一閃を身体を沈めて躱すと、ダガーで右腕の腱を狙って振りぬいてきた。すかさず膝蹴りを繰り出すと手の平で叩き軌道を変え、逆手に持ったダガーを俺の腿を目掛けて振り下ろす。俺は構わず膝を伸ばし、つま先から飛び出したナイフで眉間を狙うと、ワーキャットは身体を後ろに逸らし、バク転で距離を取った。ワーキャットの頬に一筋の赤い線が浮かぶ。躱されたか・・・


「ふぃ~あぶにゃいあぶにゃい」


 たかが魔物がこれほどの技術を持っているのか・・・エドアルドより強いぞ・・・


「驚いたな・・・”付与魔術”で底上げしているとはいえ、ここまでやるとは」

「アンタもやるニャ~上にいた3人も強かったけど、アンタの方が強いニャ」


 上にいた3人?フラヴィオの護衛をしていた親衛隊のことか・・・4人いるはずだが、コイツが3人もやったのか・・


「アンタは強いけど、ソフィーの付与魔術を受けたわたしには勝てにゃいニャ」

「なんだと!?魔物風情がっ!!」


 俺の激しい連撃をワーキャットは紙一重で躱していく。小さな傷は無数に出来るがすべてギリギリで躱される。出し惜しみしている場合ではないな・・・


「”飛べ斬撃”!」

「みゅ!?」


 俺の斬撃をギリギリで躱そうとしていたワーキャットは、ダガーを振り上げ真空の刃を叩き落とした。見破りやがったか・・・ならば!


「”火炎剣”!うらああああっ!!」

「わっ!あちち」


 燃え盛る剣で連撃をお見舞いする。袈裟切り、車切り、片手打ち、払切り、撫切り、下切り、立割り、梨子切り、唐竹割り・・・


「くっ!はぁはぁ・・・なぜ当たらん!!」

「髪が焦げちゃったニャ・・・」


 ・・・おかしい、これしきの事で息が切れている・・・それなのにワーキャットはまるで消耗していないように見える・・・9つの”付与”の効果か?力、体力、俊敏、器用、英知、脳力、魔力、加速・・・吸収・・・吸収!?なんだこの”付与”は!?吸収・・・何かを吸収されている・・・!?


「まさか・・・体力を!?」

「やっと気づいたかニャ」


 ワーキャットはニヤリと口元に笑みを浮かべた。





「【雷撃(フルミネ)2】!」

「ぬおっ!”我を守れ”!」


 ビシャンッ!!


 なんだコイツの恩恵の威力はっ!ワシの防御恩恵が一発で崩壊するなんて・・・脳力がべらぼうに高い・・・おそらくAランクか・・・脳力はそのまま恩恵の威力・・・


「しぶといね。君がみんなに”加速の付与”をかけたのかい?」

「だったらどうしたっ!」

「いや・・・ね、遅い加速だと思って」


 ワシを挑発しているのか!・・・人外が!切り刻んでやる!


「”風よ吹き荒れよ”!」

「【短距離転移(テレトラスポート)1】」


 消えた!?一体どこに・・・マズい!!


「”我を守れぇぇぇ”!!」


 咄嗟に背後に向かって防御の恩恵を発動させた。


「【爆発(エスプロジオーネ)3】!」


 ボンッ!!


「くぅっ・・・」


 なんとかダメージは防げたが風圧で数歩たたらを踏んだ。


「ほんと、しぶといね。その防御すきるだけはたいしたもんだよ」


 羽のある人外は余裕の笑みを浮かべ拍手をしている。舐めやがって・・・ぜぇぜぇ・・・


「”不可視の矢よ!敵を穿て!”」


 無数の見えない風の矢が四方八方から人外に迫る。


「学習しなよ。そんなの意味ないよ。【短距離転移(テレトラスポート)1】」


 また消えた!?何度も同じ手を・・・


「”我をまも・・・げふっ!」


 背後を振り返ろうとした時、真上から蹴りを食らった。今度は頭上か・・・吹き飛ばされ地面を転がる。急いで起き上がると人外は腕を組んでこちらを見ている。まるで起きるのを待ってるかのように・・・おのれええええええっ!!・・・くらっ・・・ 


「うぉ!?・・・立ち眩みか・・・」


 急に眩暈がして片膝をついた。立ち上がろうとしたが膝が笑って立ち上がれない・・・


「まさか・・・体力が尽きた・・・!?」

「やっと効いてきたかな?」


 羽を羽ばたかせて人外が宙に浮く。悪魔の笑みだ・・・





 自然に魔力回復させるには時間がかかりますね・・・オルテンシア様の隣に座り直し、魔力の回復を待っています。魔石があればよかったのですが・・・


「まだ精力増強剤はありますよ?」

「いえ・・・もう結構です・・・」


 片手を上げて固辞する。だって・・・注射は苦手ですもの・・・

 付与は9つ出来ましたのでプルーニャやニンフェアなら問題ないと思いますけど、人数差がありますので出来れば残りの2つも・・・


 ドカドカドカ・・・


 何だか廊下が騒がしくなってきましたね・・・侯爵兵が上がってきたのでしょうか?・・・困りました、護衛がいません・・・


「ここかっ!」


 扉を蹴り開けて2名の侯爵兵が入ってきました。


「ノックもなしに無礼ですよ。出直してきなさい!でないと・・・」


 精一杯の虚勢を張って兵士に向かって怒鳴りました。いざとなれば「必中のナイフ」があります・・・人に向けて使ったことはありませんが・・・


「ジプソフィーラだな?こっちに来い」

「イヤです!あ・・・」


 拒否した途端、オルテンシア様がわたしを抱き寄せ、その・・・豊満なお胸に顔を押し付けられました。むぎゅ。うらやましくなんてないです!


「警告はソフィー様がなさっています。排除」


 ピシュン


「「ぎゃああああああっ!!」」


 なんとか顔を上げると、オルテンシア様の目から赤い光が伸びていました。その先には・・・


「レーザートーチでも人は殺せますよ?歩ける内に退去しないのであれば、命の保証はできません」

「ひぃっ!たすけてくれぇ!!」

「化け物だああああっ!」


 ・・・わたしに、見せないようにしてくださったのですね。床にはかなりの量の血溜まりが出来ていました。





 ガキンッ!ドガッ!ガキンッ!ガッ!


「いいかげん倒れろ!キングゴブリン!」

「俺の名前はアレクだ!覚えておけ!」


 アレクの盾職同士の戦いは膠着状態。


 ボンッ!ジュワッ!ドガガガッ!


「コイツめ!”炎よ舞い踊れ”!」

「【水流1】!お返しです!【火炎3】!」

「ぐあっ!”風よ逸らせ”!」

「【大砲(カンノーネ)2】!そんな風じゃわたしの大砲は防げませんよ!」

「接近戦に持ち込めば!斬撃!」


 純粋魔法使いルカ君とフィオーレ様の相手は魔法剣士2人。一進一退。


 キキン!キキン!


「やるな、名乗るがいい」

「・・・ゴブリン・ロードに!くっ・・・名乗る・・・名などない!」

「ナナ・ド・ナイか・・・良い名だ」

「・・・ふざけるな!”烈風よ切り裂け”!」

「我が名はクリザンテーモ。冥土の土産に覚えて行け!」


 クリザンテーモさんの熟練と大隊副隊長の才能の戦いは、決着のつかない高速戦闘。


 他の影のみなさんも満身創痍となりながらも、なんとか五分に渡り合っています。


 体力の付与から18分。


 よしっ!いけます!


 みなさんおまたせしました!


 決着をつけましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ