2.悩み多き
彼女の名は清水 晴香。幼稚園の頃からの幼なじみで、小、中、高と学校も一緒だった。小学の頃はよく遊んだりしていたが、変に彼女を意識したりはしなかった。ただ昔からの幼なじみという間柄なので親友と言った方がよく当てはまっていた。きっと清水も僕と同じ思いで僕に接していたんだろうと、僕は考えていた。
しかし、高校に入ってからは、清水と会うことがだんだん減っていった。原因は部活動。僕は中学の頃やっていた部活を、ちょっとワケありで辞めてしまっていた。中2の11月。ホント中途半端だ。なので僕は高校では部活をしないことに決めた。あ、帰宅部か。
清水はというと、小学4年から続けているバスケを高校でも続けていた。清水の実力はかなりのもので、1年生の頃からレギュラーを勝ち取っていた。彼女は、幼い頃から何事に対して負けん気が強く、勉強やスポーツも優秀で明るい性格の持ち主だった。なので清水には入学当初から友達が多かった。 そんな高校生活もあっという間に1年が過ぎ、僕と清水は2年生となった。
2年に上がってからというもの、清水と顔を合わせることが極端に少なくなった。2年生になった今、前にも増してより忙しくなっていたのだ。だが、僕は不思議なことだと思った。この狭い学校の同じ学年だというのに、会えないことが多かった。そんなとき昔よく一緒にいた記憶を思い出すと、少しだけ寂しい気持ちになった。さらに、悪い事は続いた。
その頃僕は学校の授業をに出ることが嫌になっていた。高校の勉強というものは、当たり前だが中学のそれとは遥かにレベルの高いものだった。1年のときはまずまずの成績を修めていた僕は2年のテストの1問目で挫折した。
特に数学。こればかりは白紙に近い状態だった。悩んだ末、白旗を降った。そしてこの数学という名の敵は、容赦なく赤点の鉄槌を下した。あんまりだ。親にも散々、怒鳴られた。
そんなこともあって僕は、先にも言ったとおり授業を受けることが嫌になった。
正直、高校を辞めようかと思った。高校に入ったのは親の強い薦め(強制)があったからだ。僕自身はあまり高校に進学する気はなかった。実際、1年はもったが2年になると見る見るうちに周りとの差が広がっていった。得意な教科でさえ赤点を喰らっていたので、このまま高校での勉強を続けていく自信がなかった。
しかしその意思に反して、毎日学校へ通っていた。授業を真面目に受けるわけでもなく、ただ学校に行ってはずっと廊下や窓から見える中庭に目を向けていた。四限目の授業が終わった後、教科担任の先生が僕の方へと歩いてきた。僕は、ボーっと窓の外を見ていたので、すぐ近くに彼が来るまで全く気がつかなかった。
彼は呆れたような顔をして、僕に
「お前は毎日、授業も受けずに何をしに来てるんだ!?」
と、言い残してため息を吐きながら、教室を出て行った。
なんて答えればいいのかわからなかった。自分は何をしに、毎日学校に来ているのか?自分の事なのに全くわからなかった。答えの見えない疑問にもどかしさを感じて、だんだん苛立ってきた。僕はひとまず、気持ちを落ち着かせる為に屋上へ向かった。
屋上は学校の中で一番好きな場所だった。よくここで昼休みを過ごしたり、午後の嫌な授業をサボったりした。今日も午後からの授業をサボろうかと考えていた。さっきの出来事でやる気を無くしていたからだ。
屋上の重い扉を開けると、新鮮な空気が風と共に流れ込んできた。今日の空は快晴。風は軟風。心地良い風が吹いていた。急に屋外に出たので、一瞬、太陽の光に目が眩んだので顔を伏せた。目がだんだんと慣れてきたのでようやく顔を上げた。広い屋上を見渡すと、そこには見覚えのある後ろ姿があった。




