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NOTE  作者: 諏訪貴信


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始まりも終わりもなく感染していく

「読んだら終わりなんだ。」


誰かが、そう呟いた。


その瞬間、部屋の全員がスマートフォンから目を離した。


「……何を読んだ?」


主任が尋ねる。


答えはなかった。


誰も、自分が何を読んだのか説明できない。


ただ、一つだけ確かなことがあった。


さっきまで画面に表示されていた記事が、消えている。


URLを入力しても開かない。


検索しても出てこない。


履歴にも残っていない。


まるで、最初から存在しなかったように。


ところが、一人の捜査員が震えながら言った。


「違う……。」


「何が?」


「記事が消えたんじゃない。」


彼は自分のスマートフォンを見せた。


画面には、真っ白なページ。


その中央に、黒い文字が一つだけ表示されていた。


読了


主任の顔から血の気が引いた。


「……読了?」


その下に、新しい文字が浮かび上がる。


第一段階 完了


「誰かが操作している。」


主任はそう言った。


「全員、端末を切れ。今すぐだ!」


しかし、誰も動かなかった。


動けなかった。


全員の画面に、同じ文章が表示されていたからだ。


『読んだら終わり。』


その直後。


施設中の照明が消えた。


暗闇の中で、誰かのスマートフォンが一台だけ光る。


そこには、記事の続きが表示されていた。


『あなたたちは、呪いを探している。』


『でも、本当に探すべきものは違う。』


『この実験を始めた人間は、あなたたちのすぐ近くにいる。』


主任はゆっくりと顔を上げた。


暗闇の中に、五人の捜査員がいる。


そのうちの一人が、静かに笑った。


「やっとここまで来たか。」


誰も息をしなかった。


男はスマートフォンを掲げる。


画面には、最後の一文。


『次の記事を読むのは、あなたです。』


そして男は言った。


「読んだら終わりなんだ。」


暗闇の中で、誰かがスキを押した。


小さなクリック音がした。


直後、すべてのスマートフォンに通知が届いた。


『新しい読者が追加されました。』


その名前を見て、主任は絶句した。


そこに表示されていたのは――


自分自身の名前だった。

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