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Act.? ヒロインも頑張ります

本当にお久し振りですみません…!

 



 朝から今日は怒涛の一日だった様な気がする…。


 既に原作改変の兆しがあるから気を付けないとってルーシーと話していたのに、急にザッカリーが現れて、まさかルーシーにあんな事…ていうか!何気にルーシーとザッカリー既にいい雰囲気なんじゃない?って思ったり。


 いや多分まだ本格的にザッカリーが落ちた訳ではないとは思う。見た目が戻ってないし。

 だからいまのザッカリーにルーシーを渡したら恐らくはバッドエンド…前世でも助け損なったのに、今世でも助け損なうとか本当に勘弁してって感じだし、まだまだ渡しはしないけどね。


 それにしても、昨日のフィル様は面白かったなあ…あの慌てよう。

 顔真っ赤にして、言葉も喋れてなかった。

 真っ直ぐ過ぎるわ、フィル様。



「おはよう御座います。」

「ろ、ろろろロンガート嬢!!」



 あーあー、顔真っ赤にしちゃって。

 鍛錬場には既にいるだろうとは思ってたけど、汗の量からして、終業してからすぐにすっ飛んで来たのかな?

 昨日の事を平身低頭謝る算段で来てるとは思うけど、これはちゃんと話せるかすら危うい気がする。


 仕方ない、気にしてませんよアピール……いや、待てよ?

 押し倒されただけじゃなくて事故チューまであったんだから、気にしてないのはそれはそれで貴族令嬢としてどうなのってならない?

 普通の貴族令嬢ならそれこそ泣いて喚くような所では?


 …難しいな。



「ろ、ロンガート嬢、あの、その…昨日、の件…なのだが、その…。」

「ライアス様、その…昨日の事は、事故、です。」

「えっ、あ、ああ、事故…そう、そうか、うん。」

「けれど、私、そう簡単には忘れられそうもありません…。」

「えっ?!あ、そ、そうだよな、本当に、申し訳ない…。」



 大きな体を縮こませて…赤くなったり青くなったり忙しそうだな、フィル様。

 それにしても、未婚の女性に対して事故とはいえキスまでしといて謝って済むとはさすがに思ってないよね?ていうかそれだけで済ますつもりないんですけど?



「私、婚約者なんていなくて、兄弟もいませんし、王都出身でもないので、男性との距離感というものがよくわからなくて…王都では、あのような事は普通なんでしょうか?」

「そっ、そんな事はない!」



 おー、狼狽えてる狼狽えてる。

 そりゃああんな行為が普通な訳はないよね。

 ならちゃあんと責任、取ってくれるのよね、フィル様?



「私、その…押し倒されたり、キスなんて、初めてだったもので…。」

「すまない!本当に、謝って済む問題ではないと思っているが、その、どうしたらいい?」



 どうしたらいいかは自分で考えてくれると嬉しいんだけどなー、まあ、それはさすがに高望みし過ぎかな?

 それにまだ出会って二日、ゲームでは一年かけてようやく捕まえられる訳だし?

 ゲームとはやらかした事は違うけど、ここはゲーム通りの流れでいってみるか。



「…でしたら、私の鍛錬に、これからも付き合って下さい。」

「えっ?」

「…やっぱり、お嫌でしょうか…。」

「そ、そんな事はない、ただ、その、俺なんかでいいのだろうか?それに…そんな事だけで、いいのだろうか…?」



 お、ここはゲーム通りなのね。

 ふむふむ、じゃあこっちもゲーム通りにイベントを進めようかな。



「なら、名前を呼ばせて下さいな。」

「な、まえ…?」

「フィリップ様と、呼ばせて下さい。」

「そんな事…いくらでも呼んでくれ。フィルと呼んでくれたって構わない。」

「まあ、では、フィル様とお呼びさせて下さい。私の事は、リナリーと。」

「あ、ああ…他には、何かないか?なんでもいい、お詫びをさせてほしい。」

「いえ、もう十分ですよ、これ以上もらってしまっては、私も何か返さなくてはいけなくなります。」

「いや、まだお詫びし足りない!何か欲しいものとかはないか?お詫びの品を送らせてほしい!」



 え、いや、あれ?

 原作では名前呼びになった時点でありがとうって話終わるはずなんだけど?!な、なんで、終わんない…ハッ、まさか、これがキスまでした弊害?

 いやこれ以上何にもいらないんだけど…。



「フィル様、本当に大丈夫です、これ以上は何も…。」

「そんな訳にはいかない!何か…そうだ、婚約者がいないと言っていたな?俺が責任を取る!」

「は…え、ええええ?!い、いやフィル様?!それはまだ早い、早すぎます!!」

「いや、嫁入り前の大切な体に傷を付けてしまった、俺がしっかりと責任を!」

「いやだから早いんですってば!というか、そんなお情けみたいな婚約いりません!!」

「!…そ、そうか、すまない、君を貶めるような発言をしてしまった…重ねて詫びさせてくれ…。」



 あああああなんだこれなんだこれなんだこれ!!

 全然原作通り進まないじゃん!

 鍛錬の約束と名前呼びだけでいいんだってば、今日は!それ以上も以下もいらないの!


 なんか、凄くルシルの気持ちがわかったかもしれない…原作通りにいかないって本当面倒くさいね!!



「フィル様、私は本当にこれ以上お詫びはいりません。フィル様は私にちゃんと誠心誠意謝罪をしてくれました。それだけで、私には十分です。」

「……そう言ってくれるのは有難いが、それだけでは俺の気が済まない。」

「……フィル様もなかなか頑固ですね。私がいいって言ってるんですよ。」

「だがそれでは俺の気が済まないんだ。」



 早いとこ、そうか…ありがとうって笑ってくれませんかねえ?!

 ちゃんと手順踏まないとハッピーエンドに辿り着けなかったらどうしてくれんの!いやフィル様といれるだけでもハッピーエンドだけど!そういうことじゃないじゃん!



「…あー、もう、わかりました!じゃあもう謝るだのお詫びだのは止めて下さい!それがお詫びです!」

「なっ…そ、それは…。」

「被害者本人が言ってることを加害者が却下するんですか!」

「う……わ、かった…すまな…いや、ありがとう。」



 えっ…な、何この柔らかい微笑み!!!

 ここはゲームでは笑ったか笑ってないかわからないくらいの笑みを浮かべて言うとこなのに!ずるい!不意打ちはずるい!!



「?リナリー嬢?」

「へっ?あ、いえ、なんでも…それより!早く鍛錬始めましょ!」

「あ、ああ…。」



 認めたくない。

 認めたくないけど、認めてあげるわルーシー。


 現実世界に存在する推しの笑顔の破壊力、本当に何もかもどうでもよくなるレベルだったわ…。



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