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新生児から始まる異世界ライフ~愛情いっぱいに育てられた俺は剣も魔法も極めます~  作者: 天斑 蒼
第五章 アベル君と騎士学校。

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613.アベル君と一旦ステイ。

613.アベル君と一旦ステイ。




 俺は振り返り、マヤとロッティーに向かう。

 二人とも顔を伏せていたが、俺を一回チラ見し、また顔を伏せた。


 子供かよ。

 一人は子供だが。


 俺は歩いて二人に近付き、そして二人を華麗にスルー。

 大蜘蛛の死骸へと向かった。


 こっちの大蜘蛛は既に真っ二つだからね。

 魔石を取り易い。


 俺は大蜘蛛の割れた胸を両手で掴み、左右に開くため力を込めた。

 「メリッ。」


 真っ二つと言っても、水が切り裂いていない体の下の方は繋がったままだから、嫌な音を立てて蜘蛛の胸が開かれた。


 すると、それだけで黒光りする物体が見つかった。

 「お、あった、あった。水が避けていてよかったなぁ。」

 

 俺はそう言うと、胸の隙間にあった魔石をつまみ上げ、水魔法で洗ってからポーチにしまった。

 そして、ニックたちが待っている方へ向き直ると、俺をうかがっていたロッティーとマヤがまた前を向いて俯いた。


 面倒臭い連中だ。

 俺は歩いてその二人に近付き、


 「そこに座ってないで、こっちおいで。」

 とだけ二人に呼びかけ、ニックたちの方へと歩みを進めた。


 俺はニックとアンネがいる場所に着いてから、

 「ニックも疲れたようだから、休憩しよう。」


 そう言って、ブランケットを背嚢から取り出し、その地面に敷いて腰を下ろした。

 その様子をまだロッティーとマヤは近くで立って見ている。


 「突っ立っていないで、座んなさいよ。休憩にならんだろう?」

 俺は二人に声を掛ける。


 「怒ってないんですか。」

 マヤが俺に言った。


 「怒んないよ。それより座れ。」

 俺の言葉に、二人はおずおずと俺と同じ準備をしてから座った。


 その二人を見て俺は口を開いた。

 「今回は叱りようがないからなぁ。苦手な大蜘蛛が頭の上から降ってくれば、マヤだって驚くだろう。姉さんもまだ戦闘に慣れていないし。偏差射撃がちゃんとできないとね。」


 「偏差射撃って?」

 ロッティーは手短に聞いてきた。


 「動いている標的を射撃するときに、その動きを予想してあらかじめ来る場所へ撃つ技術のことだよ。アンネはもう魔物の動きも知っているし連射が出来るから、ばら撒けば良いだけだけど、姉さんは単発だからその技術の必要性は段違いだ。」


 「私も先読みしようとしていたのよ。」

 ロッティーが悔しそうに反論する。


 「うん、でもやはり魔物たちの動きを覚え、それに合わせてファイアーボールを放つ慣れが必要なんだよ。」

 俺がそう言うと、


 「アベルはどうしていたの?」

 と、ロッティーが聞いてくる。


 「僕も連射が出来るからね。一度に十発放つこともできるし。」

 「ズルい…。」

 そう言って膨れるロッティー。


 その膨れっ面から一転、何かを思い出したのか、

 「そうだ!聞きたいんだけど。」


 「何?姉さん。」

 と、俺は聞き返す。


 「さっきの水は何?水なのに魔物が切れるの?」

 ウォータージェットが不思議だったのか。


 「あれ?まだ教えてなかったっけ?」

 「聞いてない。」


 そう言って、ロッティーはまた膨れる。

 「水を勢いよく出すことは最初から出来ていたんだ。でも途中で曲がって地面に落ちちゃうでしょ?」


 「うん。」

 ロッティーは興味深げに聞いている。


 他の皆も興味がありそうだ。

 「それで、勢いがさらに増すにはどうすればいいかを考えた。」


 「それで?」

 ロッティーが急かす。


 「はじめは量をたくさん出せばいいと考えた。でも違ったんだ。出す量はそのままに、水の出口を魔力操作で絞って細くして行ったら、遠くに飛ぶようになったんだ。さらに、魔力操作と魔力固定で空気に干渉しないようにしてみた。はじめはただの興味本位の実験でね。そして放たれたその水は見えなくなるくらい遠くまで飛んで、横に振ったら、立っていた木を切り倒しちゃったんだ。」


 「え?木を切っちゃったの?」

 ロッティーが驚く。


 それは周りの皆も同じだったようだ。

 「そう、そこの岩も斬れるよ。」


 少し離れた岩に向かって俺はウォータージェットを放ち、切断して見せた。

 それを見た皆は、ポカンと口を開ける。


 「あの、空気の干渉って何ですか?」

 ニックが何それ分からんという感じで聞いていた。


 そりゃわかんないか。

 「手袋外して、ブンブン手を振ると何もないのに何かが当たるだろ?それが空気だ。物をもの凄く速く飛ばそうとすると、空気って奴は滅茶苦茶邪魔なんだ。何も無くて軽さも感じないのに、不思議だよね。」


 俺がそう説明すると、更にみんなはポカンとしていた。

 科学が発達しないとは、こういうことなんだよね。


 まあ、俺は実際に実験はしたけど、初めから魔力操作と魔力固定で水を絞りつつ放ってはいた。

 前世の記憶で知っていたからね。


 周りの人たちに分かり易く説明しただけだ。

 「人に当たったら、どうなるんです?」


 そう、アンネが聞いてきた。

 「斬れるよ。実際にオスカーを襲った暴漢を斬ったからね。」


 「アベル!そんなことしていたの?」

 いきなりロッティーに詰められる。






 いけね、余計なこと言っちゃった、と、反省するのだった。

 




読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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