614.アベル君と王家の関係。
614.アベル君と王家の関係。
「まあ、護衛を仰せつかっているからね。」
「陛下から?」
訝しげにロッティーが聞いてきた。
「うん。家庭教師みたいなこともね。」
「そんなことまで頼まれていたの?」
俺の言葉を聞いて、ロッティーは呆れたように言った。
怪しんだり、呆れたり大変だね。
まあ、王太子の相手なんだからそうなるよな。
「粗暴だったオスカーもだいぶマシになっただろう?」
俺がそう言うと、マヤが、
「一年生だったころの王太子殿下のお噂はよく耳に入りました。あまり良い話ではなかったですが。」
などと言う。
「粗暴だったって話だよね。」
ニックもそれに同調した。
「けど、アベル様が入って一緒に行動するようになってから、みるみる気さくで優しくなったって聞きましたよ。」
さらにマヤが噂を補填する。
「そりゃ、家庭教師がいいからねぇ。」
俺はわざとらしくふんぞり返った。
皆がその姿を見て笑った。
「あいつはもともと悪い奴じゃないんだよ。父親と母親を見ればわかる。ただね、身近に子供が少なくて、自分の立場を良くしようとする大人なんかも沢山周りに居てね。いろいろ吹き込まれたり、なんだりで大変だったんだ。子供の頃に僕と姉さんと知り合って、だいぶマシになったようだけど、また取り巻きが出来たようで、両陛下も対応が難しかったようだね。」
「それでアベル様が騎士学校に入って、王太子殿下の家庭教師までやるようになったんですね。」
マヤがザックリ言った。
「まあね。色々あったんだよ。僕も面倒だったし、断ろうと画策した。だけど、両陛下は策士でね。付き合いで顔を突き合わせていくごとに、いつの間にか雁字搦めにされて、王女殿下との婚約までさせられちゃった。」
「「ぶう。」」
俺の言葉に、ロッティーとアンネがブーたれた。
「なんでお二人とも不満げなんです?王家の血筋に入るのは光栄なことじゃないですか。」
ロッティーとアンネを見たニックが不思議そうに言った。
「家の長男を取られるのよ。面白いはずがないでしょう?あ、取られるというのは方便だけど、まあ、王家にいいように使われるとなれば同じよね。」
不満げな顔を隠すこともせずにロッティーが言い放つ。
「私は赤ん坊の頃からアベル様の物だったのです。」
「ぶっはぁっ!」
いきなりのアンネの言葉に、俺は生成しながら飲んでいた水を盛大に噴き出した。
鼻の奥がツンツンする。
いったいどうした!アンネ!!
「まあ!」
その横で、マヤは喜色満面の笑みを浮かべる。
「どういうこと!?アンネちゃん、どういうことです!?」
などと、マヤは酷い食いつき方をした。
「え?そのままです。生まれてすぐ私はアベル様と一緒に、アベル様の乳母をやっていた母に育てられました。アベル様と一緒にいることが私の生活そのものなのです。」
重い!!
重いよぅ。
マリアさんにアンネと一緒に育ててもらったのはそのとおりだけどさ。
「だけどアベル様は、楼閣主様とローズちゃんをさっさとお妾さんに選んで、私をほったらかし。しまいには王女殿下とご婚約。ため息も出ます。」
ちょ、ダンジョンの一服で話す事じゃないだろ!
「あわわわ。」
声にならない音が、俺の口から漏れだす。
「駄目じゃないですか!こんな可愛い綺麗な女の子ほったらかしにして!」
恋愛話にテンション爆上がりのマヤが俺を責める。
アンネが勝手にメロついてるだけ、とは言えないよなぁ。
側室に入れる話もしたし。
「ほったらかしにはしてないだろ。側室に入れる約束はしたし。ただし、貴族的お約束でいろいろ守る方向でいるだけだ。」
「でも私はまだ一度もデートしていない。」
俺の言葉を聞いたアンネは、俯き加減でボソリといらんこと…いや、なんだ、あれだ…
「アベル様!デートくらいはいいでしょう!?やっぱりほったらかし!可哀想じゃないですか!」
マヤが楽しそうに追い打ちをかけるのだった。
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