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新生児から始まる異世界ライフ~愛情いっぱいに育てられた俺は剣も魔法も極めます~  作者: 天斑 蒼
第五章 アベル君と騎士学校。

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611.アベル君とまさかの。

611.アベル君とまさかの。




 覚悟を決めた女は得てして強い。

 マヤも、小さい身体をバッタの腹の中に潜らせて、内臓をかき分け胸まで到達、そこから結構大きな魔石と、まさかのドロップまで掘り当てた。


 金剛石である。

 大きさは女性の拳の半分程度。


 俺が見てきた金剛石の大きさには到底及ばないが、それでも大金貨には届くんじゃないかな?

 てな具合の大きさだった。


 「だ、大金貨!!」

 バッタの体液でベタベタなまま、マヤはその金額の大きさに、しばらく呆けていた。


 「ほれ。」

 俺は呆けているマヤに、水と炎を同時に出し、温水シャワーを掛けてやる。


 「あ、あったかい。気持ちいい。あれ?あ、アベル様、ありがとうございます。」

 シャワーに気が付いたマヤは、体液でベトベトの顔をゴシゴシ洗う。


 十分綺麗になったマヤは、自分の背嚢からタオルを出して、顔と頭を拭いた。

 俺とニックが居るんで、鎧を着たままのシャワーだが、やらないよりはましだからね。


 「アベル様、このドロップって普通は出ないんでしょ。」

 マヤは気が引けるように聞いてきた。


 「まあね。ドロップ自体が珍しいのに、金剛石となると幸運の女神が付いているとしか思えないね。」

 俺はそう言ってアンネを見るが、アンネは涼しい顔だ。


 自覚ありなんだろう。

 「やっぱり、アンネちゃんのお陰ですか?」


 マヤがまた聞いてきた。

 「確かになぁ。アンネがいるとドロップが出やすいのは確かだね。」


 俺の言葉を聞くと、マヤはアンネに向き直り、

 「アンネちゃん!一緒に冒険者やろう!!」


 と、宣った。

 「ゴメン。」


 アンネは速攻で、マヤを振った。

 「なんで!?」


 「私は学校を辞められないもの。ご領主様たちの善意で入れて貰えているのに、それを裏切るようなことはできないわ。」

 と、マヤと冒険者をやれない理由をアンネが話した。


 「そっか。ごめんね、変なことを言って。」

 そうアンネに謝るマヤに、


 「お前騎士学校辞めるつもりだったの?」

 と、俺が聞いた。


 「え?そうですよ。」

 何のためらいもなく答えるマヤ。


 「冒険者になるなら、卒業してからでも遅くないんじゃない?」

 ロッティーがマヤを嗜める。


 「そうですね、でも、こんな簡単に大金が手に入るなら、はやく冒険者になった方がいいんじゃないかって思ったんです。家族もその方が喜んでくれんじゃないかなぁって。」

 そんなことを言うマヤに俺が口を開く。


 「簡単じゃ無かったろ。というか、マヤはバッタに一太刀も浴びせていないじゃないか。やったのは解体だけ。それは簡単だろうさ。」

 「それは、そうですけど。でも、アベル様だって、慣れるまでって言って下さったじゃないですか。」


 再編時の俺の言葉をマヤは引用する。

 「そうだよ。でもさっきの戦闘を簡単なんて言葉で片付けられたら、ニックや僕が浮かばれないからさ。違うかい?」


 確かに、比較的新しい敵に対して、楽に倒せた感はある。

 でもいきなり寄生虫に襲われたり、内臓と体液をぶっ掛けられたり、散々だったという思いを俺も抱えていた。


 「わかってます!でも私だって後方警戒していたじゃないですか!」

 「そうだね。では今の解体で虫には慣れたかな?」


 「あ、いえ、まだです。」

 「そうか。ならば引き続き後衛を。みんな休めたかな?」


 結局これだ。

 ま、俺自身も今回のような状況は苦手。


 それは分かるし、否定できない。

 だからこそ簡単なんて言ってほしくなかった。


 「ええ。」

 俺とマヤの問答を聞いていたロッティーが控えめに応える。


 俺はあたりを見回すと、ニックとアンネが頷いた。

 マヤは顔を伏せている。


 今の問答の問題点でも気が付いたかな?

 それならいいんだけど。


 自分の進路だ。

 十分悩めばいいのさ。


 俺には出来ないことだからな。





 勢いで行動を起こすのも、若者の特権と俺は思いなおすのだった。





 


読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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