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新生児から始まる異世界ライフ~愛情いっぱいに育てられた俺は剣も魔法も極めます~  作者: 天斑 蒼
第五章 アベル君と騎士学校。

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607.アベル君と説教。

607.アベル君と説教。




 俺は左手に剣を持ち伏せた状態から身を起こした。

 「ふう。」


 剣を大蜘蛛から抜き、鞘に納めてから身体強化を解除した。

 じゃないと、黒曜鋼の剣が何らかのひずみで割れてしまうかもしれないからね。


 身体強化を発動しないと、その剣の真価も発揮できないって、やっぱ、この剣自体がデバフなんじゃ無かろうか。

 そんなことはとりあえず置いておこう。


 俺は大蜘蛛の糸でベタベタになっている右手に身体強化を掛け、炎を生成し、糸を焼いた。

 火傷したくないからね。


 ちゃんとやるべきことをやっておくと、鎧も焼けずに糸だけ焼けるんだ。

 便利でしょ。


 「アベル様!大丈夫ですか!?」

 そう言ってアンネが駆け寄ってくる。


 ん?ニックの方はいいの?

 と、首を巡らすと、ニックは頭と胴が分かれた大蜘蛛に寄りかかり、一息ついているところだった。


 やるなぁ、身体強化無しでたいしたもんだ。

 そして、俺は駆け寄ってきたアンネに声をかけた。


 「アンネ、ありがとう。大丈夫だよ。しかし、油断した。危なかったね。」

 「アベル様が跳ね上げられたときは、心臓が縮み上がりました。でも、ご自分で何とかなさると思って、ニックさんのサポートを必死で。」


 そう涙声で話すアンネ。

 「ごめんね、心配かけて。あまり簡単に倒し過ぎると、皆のやる気をそぐような気がしてさ。今度からは気を付けるよ。」

 そう言って、俺はアンネの頭を軽くなで、それをやめるとニックのそばへ行った。

 「大丈夫か?ニック。」 


 俺の問いに、

 「大丈夫です。アンネさんのサポートがなかったら厳しかったですね。ファイアーボールってあんな連続で発射できるものなんですか?」


 「いや、普通の魔法使いはああはできない。いや、出来るんだが、あっという間に魔素がなくなる。アンネと僕がちょっと変わっているんだ。」

 俺は苦笑いしながら、ニックの質問に答えた。

 

 「アベル様も出来るんですね。」

 ニックがどこか皮肉げに言う。


 「まあ、あの連射は僕がアンネに教えたやり方だから。」

 「本当に万能なんだな。凄すぎですよ。」


 今度のニックの声は、あからさまに呆れた声だった。

 万能なんだから仕方ないけどね。


 「さて、向こうの二人はどうしてくれようかな。」

 俺の背後から数メートル離れた場所で、体育座りしているロッティーとマヤを見た。


 俺の視線に気が付いたロッティーが目を伏せた。

 もう二十歳も過ぎたいい大人がなんなんだよ。


 ロッティーは魔法のエキスパートだ。

 魔力操作、一部の魔法に関しては俺なんかより群を抜いている。


 ただし、それは戦闘以外の場所でのことだ。

 彼女はこのダンジョンが初めての戦闘体験である。


 頭でわかっていても、戦闘慣れしていなければ、どこでどの程度の魔法を使っていいかはわからない。

 それらは座学では理解できない。


 身体に染みついていくものだからだ。

 「アベル様、あまりキツイ言い方は。」

 アンネが心配そうに俺を見つめていた。


 「それは向こうの態度によるかな。」

 そう言って、ロッティーが居る方向へ俺は足を進めた。


 二人が座り込む場所に到着すると、俺はロッティーに話しかけた。

 「姉さん、止める?僕は止めないよ。」


 俺の言葉に、ロッティーは歯を食いしばった。

 「マヤは止められないからな。学校の授業だから。ただ、後方で見ているだけはできる。嫌ならそれでいい。僕はリーダーとして教官にはその現状を報告しなければならないけれど。もちろん分け前もない。働かない者に施せない。」


 マヤは涙目で俺を見た。

 マヤにはちょっと酷な話なんだけどね。


 ロッティーの魔法に巻き込まれて、大蜘蛛の標的になってしまっただけだから。

 ただ、そこから戦意も喪失してしまった。


 戦えないなら後ろで見てもらうしかない。

 「あんたたち、こんなところで何をやっていますの?」


 




 話をする俺たちの後背から、いきなり声をかけられたのだった。






読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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