604.アベル君と騎士学校ダンジョン探索の続き。
604.アベル君と騎士学校ダンジョン探索の続き。
ただ今、騎士学校魔法大学合同パーティーにて、騎士学校ダンジョンを探索中。
パーティーメンバーはいつものとおり、斥候にニック、前衛タンク及びアタッカーにマヤ、前衛避けタンク及び邀撃に俺、後衛魔法専門のロッティーと治療魔法も賄うアンネという、バランス重視パーティーである。
ダンジョンの入り口ではアレクさんが、執事とメイドを従えて待機している。
「みんな、気を付けるように。」
アレクさんはそれだけ言うと、大きな天幕の中に入り、メイドが用意したお茶を啜っていた。
「優雅ですね、アレク教官。」
「ああ、アベル君。生まれて初めて貴族らしい仕事をしているよ。」
アレクさんは俺の皮肉を笑いながらいなした。
若いころから騎士団に入れば、貴族だろうが何だろうが下っ端からになるからね。
現場が長ければ、貴族らしい仕事なんてなかったって話は分かる。
「ダンジョンは君にとって庭みたいなものだろう?だが、怪我はするなよ。シャーロット教授、これからよろしくお願いします。」
「これはカヴァリエ子爵殿。これから教官としてよろしくお願いいたします。」
ロッティーはアレクさんの軽い挨拶を、貴族らしい挨拶で返し、革鎧を着ているのにスカートをつまむ所作まで見せた。
「丁寧なあいさつ、痛み入ります。」
アレクさんも、流石に座っては居られず、立ち上がり頭を垂れる。
「じゃ!行ってきます!」
俺たち五人はアレクさんに片手を上げ、ダンジョンの中に入って行って今に至るわけだ。
まあ。それまでにローチを二匹倒していますけどね。
最初、マヤがローチを見た途端、
「キャー!!」
と、騒いだが、
「マヤ!あれはローチじゃない!金貨だ!!」
俺がそう言うと、マヤの動きが止まる。
「二枚目!三枚目になるかも!」
マヤの瞳に、怪しい火が灯った。
そこからは早かった。
小さいマヤが身体強化と盾を使って、一匹目のローチを抑え込む。
そこへニックが抑え込まれたローチの足の関節を、一つ、二つと切断し、動きを無力化して行った。
もう一匹は、ロッティーとアンネがローチをファイアーボールで牽制。
止まったローチの首の隙間に俺の黒曜石の剣が滑り込み、ローチは動きを止めた。
二匹を仕留め、しばし残心。
ニックに辺りを探らせてから休憩をとった。
「マヤ、よくやった。」
俺は率直にマヤを褒めた。
「えへへ。お金だと思ったら怖くなくなりました。」
マヤは弾ける笑顔で言った。
「ニックもうまかった。精密な剣さばきは流石だね。」
ニックにもちゃんと褒める。
ニックは照れたように鼻を擦り、
「ちゃんとマヤが止めていたから、斬り易かったです。」
と、言って目を伏せた。
照れなくてもいいのにな。
仕事をした人のことは褒めなきゃいかんよ。
出来て当然なんて人は居ないのだ。
「後衛の二人もいいタイミングだったよ。流石だね。」
俺はファイアーボールで牽制を行ったロッティーとアンネに声を掛けた。
「アベルがちゃんとローチを誘導したおかげよ。自由に動かれたら、ああは行かないわ。ねぇ、アンネちゃん。」
「そうですね、シャーロット様。」
ロッティーとアンネは互いの顔を見て頷いた。
「まあ、初戦は完璧だった。ご褒美に、」
俺がそう言うと、皆の熱い視線が俺に集まる。
「魔石取りは僕がやろう。」
その言葉を聞くとロッティーとマヤが大げさに胸をなでおろし、ニックは、
「では、見張っています。」
そう言って、あたりを警戒する。
アンネは、
「アベル様、お手伝いしますよ。」
と、申し出てくれたが、
「いいんだ。休んでいてくれ。アンネが手伝うと、また幸運の神様が悪戯しそうだから。」
俺はそう言って、アンネを休ませた。
何回もドロップを出して、人目を引きたくはないからね。
そんな感じで、二回目の校内ダンジョンの探索が始まったのだ。
読んでいただき、有難うございます。
本作は長編となっています。
続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。
作者がんばれ!
面白いよ!
と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。
それでは、また続きでお会いしましょう。




