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新生児から始まる異世界ライフ~愛情いっぱいに育てられた俺は剣も魔法も極めます~  作者: 天斑 蒼
第五章 アベル君と騎士学校。

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598.アベル君と事件現場。

598.アベル君と事件現場。




 「まだ自然死の線もあるだろう?」

 この線がまだ残っているんだ。


 「うむ、そうだ。そのとおりだな。」

 オスカーもそう言って頷く。


 「で、その死体は、何時、何処で見つかったんだ?」

 俺はオスカーにまた問う。


 「教官は校長に呼び出され、早朝学校に来たそうだ。そして、退職を言い渡され学校を去ったそうだ。そして、セイナリアの繁華街の路地で見つかった。なぜそこに行ったのかは分かっていない。早朝だったしな。酒を飲むような店も開いてないはずだ。」

 オスカーは記憶を紐解くように、俺たちに話した。


 「間違っても騎士学校の教官が剣で討たれるのも考え辛いよな。ま、実際、切創などは無かったんだろ?ちょっと整理しよう。」

 俺がそう言うと、なぜかオスカーとお姫ズが輪になってズイッと前に頭を近づけた。


 狭い。

 まあ、いいけど。


 「呼び出されたのは早朝。鐘八つ前だろう。八つ以降なら他の教師たちも登校してくるから、目撃者がグンと増えるがそのような話もない。鐘七つくらいに呼び出されたとみる方が妥当だろうな。そこから繁華街まで、歩きで鐘半分くらいか。」

 俺がそう言うと、


 「辻馬車を拾うということは無いですか?」

 と、オリビィが聞いて来た。


 「それは多分無い。街からここまで離れているし、この学校以外は主だった施設もない。しかも早朝ときている。辻馬車の御者だって誰もいないところに馬車を走らせないさ。」

 俺がそう言うと、オリビィはハッとして、


 「そうですわね。」

 とだけ呟いた。


 「校長はどうやって登校したのでしょう?」

 ミカ嬢が聞いて来た。


 「侯爵家に馬車がないはずもない。」

 オスカーがにべもなく言った。


 婚約者候補なんだから、もうちょっと優しく言ってやれよ。

 「あら、校長は侯爵だったのですね。知りませんでしたわ。」


 ミカ嬢はそう言って口をつぐんだ。

 でもミカ嬢の考えは悪くない、と、俺は思った。


 「グスタフさんが、情けで馬車を貸したってことも考えられるな。」

 「うむ、先触れ兼迎えで教官の家へ馬車を差し向け、帰りも馬車を貸したとすれば自然か。」


 オスカーが俺の意見の補足をした。

 「面白くなってきましたね。」


 ルシア嬢の目が輝き始めた。

 「人一人が亡くなっているので、楽しまない様にね。」


 俺は仕方なく突っ込んだ。

 「ええ、私の頭の中で考えるだけにとどめておきます。先程のように、皆様に叱られることのないようにいたしますので、ご心配なく。」


 すました顔でルシア嬢は言い切るが、その脳内が駄々洩れになるのが創作オタだって俺は知っている。

 「それならばそれで良かろう。まあ、歩きなり馬車なりで繁華街まで行って、彼は何をしようとしたのか?」


 オスカーが素早く切り上げ、話を進めてきた。

 「そればかりは、本人に聞くしかないが、もう聞けないな。ただし、退職を言い渡されたことは、相当な心の負担になっただろう。急激な心の負担は、如実に体に現れる場合がある。緊張すると喉が渇いたりな。」


 俺がそう言うと、

 「確かにそうだが、その程度で命を落とすことがあるのか?」


 と、若者代表のオスカーが疑問を口にした。

 あるんだよ、ストレスによって急激に血圧が上がって、それ切っ掛けの脳溢血や心筋梗塞なんてね。


 ただ、この場でそれを言うのは適当か。

 俺は若干逡巡してしまった。


 「あ!そう言えば私のお爺様がそうでした。叔父様が魔物に襲われて帰らぬ人となったことがあったのですが、その時のショックでお爺様もお亡くなりに。」

 ルシア嬢が自らの実体験を示してくれた。


 「うん、そういう精神的苦痛によって、人の身体は脆くあるようだ。ルシアさんの実体験があるようにね。ただ今回がそうだったかはわからない。外傷がないということなら毒の可能性もある。まあ、ここで僕たちが話をしていても無駄ってことだな。」






 俺はそう言って話を切り上げるのだった。

 「え?終わり?」

 

 残念そうな声を漏らしたのはルシア嬢であった。

 






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