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新生児から始まる異世界ライフ~愛情いっぱいに育てられた俺は剣も魔法も極めます~  作者: 天斑 蒼
第五章 アベル君と騎士学校。

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583.アベル君と国有財産。

583.アベル君と国有財産。




 「なんてもんがドロップするんだ。」

 ドミトリさんは、しばらく経って喘ぐように声を出した。


 「そんなもんかな?何個か出たよね?」

 俺は後ろのローズと、横に座るアンネに聞いてみる。


 「四つは出ました。」

 ローズがそう言うと、

 

 「アベル様は、単独で深紅の大穴に行かれた時、二つ三つ抱えて帰っていらしたでしょう?」

 そうだったな。


 そのうちの一つが、バルドさんの奥さんであるカテリーナさんのお土産になっている。

 ちょっと大仰なお土産だったわけだ。


 反省しておこう。

 半年以上も経っているし、今更だけど。


 「ああ、もういい!深紅の大穴とヴァレンタイン領のダンジョンの異常性は今に始まった事じゃないからな。ギルバートが大量の予算を要求するはずだ。」

 ドミトリさんはそう言うと、頭をガリガリ掻いた。


 搔くごとに、クマ耳がピョコピョコで出たり消えたりするのが可愛い。

 おっさんの耳なんだが、こればかりは仕方がない。


 「でだ、これが騎士学校のダンジョンから出たのは間違いないんだな?」

 ドミトリさんは、俺にまっすぐ目を向け聞いて来た。


 それに対し、俺も真摯に受けて立とう。

 「間違いありません。自分たちで持ってきたものですから。」


 さらにドミトリさんの聞き取りは続く。

 「となると、教師はそのことを知っているのか?」


 あの時点で、教官に見せるわけにはいかなかった。

 「知りませんね。取り上げられるのが目に見えていたので。」

 

 「うむ。ちょっと面倒な話なんだがな。」

 そこまで言ってドミトリさんは言い淀む。


 「セイナリアのダンジョンはセイナリア市の所有だ。それはわかるな?」

 ドミトリさんの確認に、


 「はい。」

 俺は短く返事をする。


 「セイナリア市のダンジョンということは、王家のダンジョンということになる。」

 セイナリア市自体が言わば領地と同じだ。


 その領地は王家の物。

 「ヴァレンタイン領のダンジョンはヴァレンタイン家のダンジョンですからね。」


 だから俺は、自分の家に置き換えて答える。

 「その採掘権を冒険者ギルドがお借りしているという形だ。わかるな。」


 「もちろん知っています。」

 そういうことだと聞いていたからね。


 ここからが、ドミトリさんの核心部分になる。

 「ところがだ、騎士学校のダンジョンは王家のダンジョンではないのだ。」


 「え?あ、国の。」

 一瞬、俺の頭がパニクった。


 「そうだ。騎士学校は国の学校だ。つまり騎士学校のダンジョンは国のダンジョンということになる。」

 ダーー!そこまで考えが及ばなかった。


 「そうなると、ここでの買い取りは?」

 やばい、超面倒くさいことになる。


 「ちょっと無理だな。出所はハッキリしている。誰が所持しているのかもわかる。しかし大本が国有財産となると、ちょっと我々でも手が出せない。」

 ギルドでは買い取り不可とドミトリさんは言いきった。


 「でも好きにしていいと教官からは言質を頂きましたよ。」

 自分で言っていてどうしようもないと分かる。


 筋が違うのだ。

 「その教官の所有物でもないからな。」


 「では学校の責任者に話を付ける以外ないですね。」

 俺がボソリと言うと、


 「そうだな。君はコネクションがあるのだろう?」

 ドミトリさんは目を細めて俺に言う。


 「そうですね、無いことは無いです。まあ、そこで話が付けば、ギルドを通さなくても直に宝石屋へ売れますしね。」

 なんだか悔しいから言ってやった。


 「おい、おい、目の前にぶら下げておいて、そういうことを言うなよ。」

 結局、ルミナ夫人へのお土産を買いに行かねばならなくなったようだ。


 はあ。

 「これを宝石屋さんで売ってはダメなのですか?」

 

 アンネが至極真っ当なことを聞いて来た。

 「売るとこう言われるんだ。国の物を勝手に売るとは何事だってね。」


 「ああ、面倒ですね。」





 アンネはちょっと拗ねたように言うのだった。




読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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