566.アベル君とダンジョンパーティー学校編。
566.アベル君とダンジョンパーティー学校編。
「姉さん、みんな見てるよ。」
「いいわよ。久しぶりだもの。」
そう言って、ロッティーは抱きしめる力を更に入れる。
「ほんの一つの月程度じゃないか。」
「一つの月もでしょ。」
こっちの世界ではひと月を一つの月って言うんだ。
まあ、いつもの癖だから俺は構わないんだが、周りがそれを許さなかった。
ざわざわと、大いに同級生も魔法大学校の生徒たちも騒ぎ始めた。
「姉さん、そろそろ。」
「うん、そうね。」
そう言うと、ロッティーは俺から身体を離し、ローブの乱れを直し、魔法大学校の生徒の方に向き直ってから、
「はい、これからこちらの先生の言うことを聞いてください。」
そう言ってから俺の髪形を直し、何事もなかったように学生の中に入っていった。
「今のは何なんだ?」
パオロがわざわざ俺に近づいて聞いてきた。
「コミュニケーションだよ。お前の母親は抱き着いたりしないのか?」
俺がそう言うと、パオロは困った顔になり、
「そりゃするけど、こう公の場で…するかぁ。母様ならするな。でもなぁ」
「けど、美男美女姉弟の熱烈なハグ!!あんなの見せられたら、みんなおかしくなりますよ。」
そう言ってマヤが絡んできた。
「ええ、何かのお話になりそうなひと時でした。」
そう言ってきたのはフランカだ。
そうか?確かにロッティーは熾天使に見紛うばかりの美貌だが。
俺は、ああ、そうだった、そうだった。
「あの、アベル様。」
デカいパオロの後ろから、俺に声をかけてきたものがいる。
「ん?アンネか。」
アンネがパオロの後ろから顔出した。
「お久しぶりです、アベル様。」
「キャー!何!この子かわいい!!」
アンネを見たマヤが騒ぎ始めた。
「アベル様、この子、耳!耳が!エルフ?エルフなんですか?」
「マヤ、うるさいよ。」
俺はマヤを窘めた。
「あう、ごめんなさい。」
素直にマヤは謝ってくれたが、俺に謝っても意味はない。
「こいつは、俺の乳兄弟でアンネローゼって言うんだ。エルフって言ってもクォーターだから、僕らとそんなに変わらんさ。多分。マヤ、謝るのはこいつにだ。」
「いいですよ、アベル様。首都も限られたところにしかエルフはいませんし。珍しいですよね?」
「珍しいけど、ごめんね。私、田舎者だから、つい珍しい人とかモノを見るとはしゃいじゃって。」
ちょっと涙ぐみながらマヤが謝罪した。
「はい。謝罪は受け取りました。これでいいですよね?アベル様。」
そう言って、マヤの頭をなでながらアンネが言った。
「お前がそれでいいならな。んで、お前も入んの?カミラもか?」
「え?パーティーに入れてくれるんですか?」
パッと花が咲いたような笑顔になったアンネが俺ににじり寄った。
「え?ヴァレンタイン教授閣下はどう言っていたんだ?」
「あちらの先生に従いなさいとだけ。」
花咲く笑顔から、ちょっと困った顔になったアンネが答えた。
「じゃ、うちの教官に従うしかないんじゃないかな。勝手に決めていいんならお前らが入ればうちは無敵になるけど。」
俺がそう言ったら、パオロが反応した。
「おい、待てアベル!無敵とはどういうことだ?この子はそんなに強いのか?」
そう言って、パオロが詰め寄ってくる。
「アンネは俺と同じD級冒険者だ。魔法と治療魔法をどちらも使える。俺のパーティーメンバーだったんだ。」
俺がそう言うと、パオロとフランカの顔が険しくなった。
「アベル、その、アンネローゼさんをパーティーに入れるのか?ずっこくないか?」
「そうですよ!ズルです!ズルいですよアベル様!」
パオロとフランカの猛抗議が始まってしまった。
「あら、それじゃアンネはあなたたちが持って行ってもいいわよ。私がアベルのところに入るから。」
来た早々、そんな不遜なことをいう人間…いや、言うものは一柱しかいない。
バ神のカミラだった。
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本作は長編となっています。
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