558.アベル君と王家の会話。
558.アベル君と王家の会話。
ちょっとバツの悪い思いをしたが、まあ、みんな笑顔なら悪くはないさ。
家族は笑顔がいい。
親のしかめっ面や、憤怒の顔など見たくない。
見ていいモノじゃないさ。
「学校は楽しいですか?オリビィ。」
王妃が、夕食の家族の会話をオリビィに振った。
「ええ、騎士学団の幹部会にも無事に入れましたし、旦那様もすぐそこにいらっしゃいますから、楽しいですわ。」
俺は関係ないよね。
「二人の姫たちとも仲良くやっていますよ。」
オリビィが更に言った。
「ミカ殿とルシア殿か。オリビアが仲良くしているのなら良いが、肝心のオスカーとはどうなのだ?」
オリビィに国王が聞いてくる。
「お兄様?然して興味がなさそうな感じですよ。ねえ、旦那様。」
俺に振らないで。
「僕は幹部会以外の繋がりがあまり皆とは無いから分からないね。」
「そうなのです。もっと私を学校内で構って頂いてもいいのですよ?」
「お互い学年が違いますから、そういう訳にも行きますまい。」
俺はそう言って、オリビィと言葉上の距離をとった。
「もう、旦那様ったら。でもお兄様は婦女子には興味が無いのかしら。やっぱり…」
オリビィがまたよからぬ想像をしようとするので、
「オリビィ、そう言う想像はもう止めなさい。僕は口を利きたくなくなりますよ。」
と、釘を刺した。
「ええ、そうですよ。そのような噂が出ないよう、今日はアベルに手伝って頂いたのでしょう?」
王妃もすかさずオリビィを窘めた。
「ごめんなさい。もうそのような事は考えません。だから口を利かないなど、言わないで、旦那様…」
涙目になったオリビィは、王妃じゃなくて俺に許しを請う。
実際、こういう上下関係の互い違いも止めて頂きたい。
切に願う!
でもまあ、同じ学校に居て、同じ寄宿舎に居るんだから早めに言っておいた方がいいかもしれない。
「オスカーはとある女性と付き合ってお出でですので。」
俺がそう言うと、オリビィは不思議そうに、
「お兄様が女性と付き合っている?」
と、反芻した。
「アベル、その話はオリビィには時期尚早ではなくて?」
王妃が俺を止めようとするが、
「いや、アベルの読み通りすぐに耳に入るだろう。」
国王は俺の考えと同じだったようだ。
「けど…」
王妃はまだ早いと思っているらしい。
あんなBLを書く王女に兄貴に女がいたくらいどうってことなかろう?
ないよね?多分。
「旦那様、お相手が誰なのか知っているのでしょう?」
「うん、知っていますよ。オリビィも知っていると思います。」
「私もですか?」
「ええ、学校関係者ですから。」
「学校関係者と言うと、先生とか?」
「Exactly」
「「「い、いぐ?」」」
テーブルについている三人が「ファッ!」って顔をしてこちらを見た。
「なんでも無いです。忘れて下さい。」
俺はそう言ってから、すました顔で料理を口に運んだ。
「旦那様、何と仰ったのです?」
忘れろと言ったのに、オリビィは食いついてきた。
聞き分けのない子だなぁ。
「とても遠い国の言葉で“そのとおり”という意味らしいです。昔姉と言葉遊びをしていて覚えていたんですね。自分でもびっくりしました。」
「ほう、シャーロット教授とそのような遊びをな。で、どこの国の言葉なのだ?」
ほら、オリビィが食いつくから、国王まで乗っかって来たじゃないか。
「覚えておりません。何分幼少期なので。申し訳ありません、陛下。」
ここは素直にすっとぼけよう。
「いや、いいのだ。小さいころの記憶が無いのは当たり前だからな。それがいきなり口に出るのも然り。人の記憶とは不思議なものだ。」
よし!なんとか国王も誤魔化せたようだ。
何か疑念を持ったかもしれんが、持ったところで俺から何が出るわけでもないし。
ふう、ちょっとお遊びが過ぎたね。
「それで、お話を戻すようで申し訳ないのですが、お兄様の相手というのは何方なのでしょう」
オリビィはなおも気になるようだ。
そりゃそうか、答えが半端だったしな。
隠れてBL書いているようなむっつりは、そりゃ気になるだろう。
「ライラ先生ですよ。」
俺は、シレっと言ったのだった。
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