551.アベル君とところで何し来たん?
551.アベル君とところで何し来たん?
題名通り、ミカ嬢、オリビィ、そして黙って突っ立っていたルシア嬢に聞いてみた。
「で、君ら何し来たん?」
「今朝ほど、見学に来ると申しましたが。」
ミカ嬢がそう言うと、
「旦那さまが発起人の魔法サークルとやらに興味があったのです。」
とオリビィが言う。
「お二人のお付き合いで。」
最後にボソリとルシア嬢は言った。
「見学は自由にしてもらってもいいよ。とりあえず紹介しよう。こいつは僕の同級生、パオロだ。南のカッローネ男爵嫡男で、去年この学校の武道大会優勝者。腕は立つよ。」
俺はそう言って、お姫ズにパオロを紹介した。
「珍しく褒めるなよ。照れくさい。」
パオロはそう言いながら、後ずさりで距離をとる。
「大会優勝した時の事は、覚えていますよ。見事な試合でした。」
オリビィが言った。
王妃とオリビィは来賓として大会に来ていたからね。
言われたパオロは、
「王女殿下からのお褒めの言葉、ありがたき幸せにございます。」
そう言って跪き、首を垂れる。
「嫌です!止めて下さい、パオロ先輩。ここは学校内ですよ。」
オリビィは跪くパオロに慌てて言った。
「あ、はい!王女殿下!」
オスカーは俺がらみで会うことが多かったから、パオロも慣れたみたいだが、オリビィとの接触はなかったから、緊張しているらしい。
俺みたいに王族との接触が多い家臣嫡男がおかしいのだが。
「まあ、一年いてもこの学校の風習には慣れない者も居るってことだよな。」
俺はパオロの背中をポンと叩いた。
「っだよ、うるせぇな。」
そう言ってパオロは赤面した。
それを見たフランカが可笑しそうに笑っていた。
そのフランカに俺は手を向けて、
「フランカは幹部会だから、三人とも知っているよね。」
俺がそう言うと、お姫ズは小さく頷く。
「彼女は市井の出だが、剣術と魔法、座学において優秀な成績を収め、この学校に籍を置くことが出来た才女だ。侮らぬように。」
俺がそう言って紹介すると、
「言い過ぎです!アベル様!そんな大した者じゃないのです。でも、皆様、よろしくお願いいたします。」
そう言って、フランカは挨拶をした。
「こちらこそ、フランカ先輩。」
明るくオリビィが言うと、続いて顔を固くしてミカ嬢が
「こちらこそよろしゅう。」
と、言い、更にルシア嬢も、
「よろしくお願いします。」
と、ペコリとお辞儀をした。
さて、次がミカ嬢にとって難物なんだろうが、ニックはたいして気にもしていない顔をしている。
「続いて、こっちが僕の同級生で、サークル仲間のニックだ。彼も剣術と座学において、優秀な成績で以てこの学校の門戸を叩いた一人だ。強いよ。ただし、まだ魔素は感じられない。そこでこのサークル内で訓練を行っているんだ。」
「アベル様から強いなど言われると、こそばゆいですね。ニックです。見てのとおりの犬獣人ですが、よろしくお願いします。お姫様方。」
そういって、ニックは手を胸に当て優雅に礼をした。
なんだ、ニック、カッコいいじゃん。
やるなぁ。
「ニック先輩。よろしくお願いします。」
オリビィは相変わらず明るい。
で、ミカ嬢だが、彼女を見ながら、俺はついニヤ付いてしまった。
「なんです?その顔は?」
ミカ嬢がムカついたように俺に言って来たが、
「別に?」
と、だけ言っておいた。
「ふん!」
と、憎々しげに鼻を鳴らしたミカ嬢だったが、ニックに向き直ると、
「こちらこそよろしゅうお願いします。」
と、固い口調だったが一言言って、コクリと頭を下げた。
「偉い、偉い。」
と、俺が言うと、
「なんです!もう、馬鹿にして!」
と、ミカ嬢は言って、ソッポを向いてしまった。
そこへ、
「あの、お二人とも、よろしいですか?」
と、ルシア嬢が言ってきた。
「ああ、ごめん、どうぞ。」
俺がそう言ってルシア嬢を促し、
「よろしくお願いします。」
そう言って、ルシア嬢はニックに礼をした。
さすが人種のるつぼ、バーム公国公女はデミヒューマンにも慣れていらっしゃる。
「さて、ニック続けようか。」
「はい!」
ニックは、中断していた深呼吸を始めたのだった。
なんだかオリビィの視線が痛いが、気にしない!
読んでいただき、有難うございます。
本作は長編となっています。
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